Snowy prince・80「愛」
ユノは随分と疲れている様子で、
僕の背中に体重をかけ、頭もぴたりとくっ付けている。
一国も早く城へ連れ帰ってあげたいけれど、
馬を急がせると、その分体が大きく揺れてしまうから
ユノに負担を掛けないために、敢えてスピードを抑えた。
ユノは何も喋らず動きもしないから
もしかして眠ってるのかと思い、
僕の腹に回した腕をぎゅっと握ってみる。
「んー?なに?」
「あ、ううん。何でもない。大人しいから心配で(笑)眠って落馬したら大怪我だからね。」
「大丈夫だって。(笑)お前の背中と夜の空気が気持ち良いから味わってるだけだよ。」
どうしてだか、少し寂しそうな雰囲気の様子が気になったけれど
城へ戻ったらたくさん時間はあるのだからと思い、
今は何も聞かずに、城へ戻るまで僕も黙っていた。
城へ着くと、帰宅していたはずのミノが僕らを出迎えてくれて、
ユノを気遣い、手を携えながらゆっくりと馬から下ろしてくれた。
「ありがとう。ごめんな、手を借りて、」
「あぁ、いいえ、こんな事なんでもありませんよ。それより、、、ユノ先生おかえりなさい。」
「(笑)、ただいま。」
「ね、ミノ、どうしたの?今夜はもぅ帰ってたんじゃ?」
「帰ってたよ。」
「え。じゃ、どうして?」
「こんな真夜中に、全力疾走してる馬の音が聞こえたら、誰だって気が付くっての(笑)」
そうか…納得。
それからミノは、ユノに新しい靴を差し出して取り換え、
ユノが背負っていたリュックを持ち、
僕はユノが肩に掛けていた袋を受取ったのだけど
予想よりはるかに重かったから、
二人とも「おぉ~っ」、と声を上げてよろめいてしまった。
「ちょ、、、なに、これ??めちゃくちゃ重いんだけど、、、ちょ、一回下ろそう、ミノ。」
「本当に無理だよ、これ。、、、ユノ先生、これを山からずっと持ってたの?」
そんな僕らを見て、ユノは大笑い。
「ぷっ!なーはーはー(笑)お前たち、まだまだだな~。それ大事な物なんだから気を付けて運んでくれよ。ほら、頑張れ、頑張れ(笑)」
部屋に着くなり、僕とミノは指示通りにそっと荷物をおろし、
その後はソファーに体を投げ出して倒れ込んだ。
二人とも息が上がって、最近のトレーニング不足を痛感する始末。
「あぁ~、もぅダメ。肩が痺れちゃった、」
「同じく、、、汗びっしょりだよ、」
それにしても、リュックは破れてしまいそうに膨らんでいるし、
もうひとつの布袋も同じくらい大きい。
原石の山に行っていたのだから
石であることは容易に想像出来るけど、この量はちょっと度を越えてる、、、。
「、、、ね、ユノ。こんなにたくさん、何が入ってるの?すごく重いけど、、」
「あぁ、そのふたつは同じものが入ってる。ミノ、両方とも開けてみて。」
「あ、はい。」
袋の口を開けると、大量の細長い黄金のブロックが
一気に床へ流れ出した。
「これ、どうするつもりなの?、、、こんなにたくさん、、、ね、まさかこれを人間界へ持ち出して売るとか、そんな事考えてないよね??」
「チャンミン!、、、そんなハズないだろ!ね?ユノ先生?」
余計な雑音を耳に入れてしまったばかりに、
僕の口から出た言葉は最低だ。
けど、どうかユノの答えが違いますようにと
祈るような気持なのは否定できない。
バスルームで手足と顔を洗う
無邪気なユノの背中に問いかけた。
「、、、ユノ、どうするの?これ。」
「んん?あ~。小さいけど、売ればかなりの価値があるぞ、それ。人間界では有り得ない程、純度の高い黄金だからな。」
「ユノ先生。どういう事?まさか、、、」
どうしよう、、、
すごく焦って心臓が激しく脈打ち、嫌な汗が滲んでくる。
「ユノ。ユノがそんな欲の塊だとは思わなかった。、、、僕たちにはもぅお金なんて要らないでしょう?どうしてこんな、」
「チャンミン、落ち着けよ(笑)。それは、俺の物でも、お前の物でもない。これは、これから人間界へ旅立つみんなへの贈り物。安心して。」
ユノの言葉と、優しく微笑む顔を見て、
僕は咄嗟に、自分の口を両手で押さえた。
そうだ、、、
ユノはそんな人。私欲なんて無いに等しい。
分かってたはずなのに。
言ってしまったことを取り消す事は出来なくて
浅はかな自分を攻めるしかない。
「ユノ、、、ごめんなさい、、、僕、」
「(笑)、俺に出来る事はないかなって、ずっと考えてた。とにかく、生活するためには現金が必要だからな。これを売れば、、、ん~~~、指三本くらいにはなると思うんだけどなぁ、」
「でも、、、でもユノ先生。石の長は許してくれたのですか?長の許可が無ければ、こんなことは出来ないはずです。」
「もちろん。、、、祖父は、俺の想いを全て受け入れてくれたから、、、だから、実現できた。」
「祖父?、、ユノ、祖父って言ったの?今。」
「あぁ。もし信じられないなら、古い記録を調べればわかるって、じいちゃんが言ってた。」
僕もミノも、驚きすぎて言葉が続かずに顔を見合わせるだけで、
無意識に息を少しずつ吸い続けて、
終いには苦しくなって、一度大きく息を吐き出した。
「ぷっ(笑)ホンットにお前たちは(笑)」
そうツッコミたいのはこっちのほうだ。
ユノは意外性がありすぎて予測が出来ない。
これから聞く話が、更にそれを上回るなんて
この時点での僕らは、想像もしていなかった。
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
うわぉ♪(* ̄Oノ ̄*)
約10日ぶりのSnowyですが
どうですか・・・
ちゃんと繋がってますかね( ̄ー ̄;
流れを取り戻せてますでしょうか

T1ST0RYから抜け出せずに居ましたが、
やっと書けて、気分がスッキリしましたン

※リコメ完了しています♪みなさん、いつもありがとぅ~


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