『日常診療における精神療法』 | リリカルうつろぐ。

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双極性障害の移ろいゆく心を語るブログです。
ただの雑談もあります。

『日常診療における精神療法~10分間で何が出来るか~』というタイトルの本を読みました。

 

 

 

 

面白かったです。

 

 

タイトルの通り、10分間の精神療法で何が出来るかを、主だった精神疾患について、それぞれを専門にしている精神科医が執筆し、まとめた本。若手精神科医に向けて書かれた本なのかな?

 

 

患者側からすると、毎回診察で支払う通院精神療法(30分未満)330点:¥990(3割負担)または¥330(1割負担)の内訳がわかる本です。

 

それを知るために¥2,376(kindleなら¥2,200)ですけどね。相変わらずこの手の本はするよね(笑)

 

そしてサブタイトルは『10分間』となっているけど、私が通うクリニックは『5分間』です。

 

 

 

記載されていた、主な精神疾患については以下の通り。

 

  • 統合失調症スペクトラム障害
  • 双極性障害と関連疾患
  • 抑うつ障害
  • 不安症
  • 強迫症および関連症
  • 心的外傷およびストレス因関連障害
  • 解離症
  • 身体症状症および関連症状
  • 摂食障害
  • 睡眠–覚醒障害
  • 物質関連障害および嗜癖性障害
  • パーソナリティ障害
  • おとなの発達障害(発達症)
  • 発達障害のある子ども

 

 

 

私が気になるのは双極性障害だけど、双極性障害の本を読み漁っていたので、知っていることばかりだった。

 

 

 

初診のポイントは、

『双極性障害を見逃さない!』これしかないよね。

 

見逃さないポイントが色々と書かれていたけど、完全に見逃されていた私としては、今更これを読んでも…という感じ。

 

 

再診は、主に心理教育メインかな。その中でも私が気になった部分をご紹介。

 

 

 

症状の変化に目を光らせる。

客観的には変化がないように見えても内面は常に症状に翻弄されていると考えるべきだろう。患者の訴えを見逃してしまうと、それがエピソードにつながりかねない。さらに症状があっても医師に語らない場合が多く、寛解期においてもミクロレベルで揺れている患者が多いことを念頭に置きながら症状を問い直すことが重要である。

 

コレね。すごくわかる。安定してそうに見えるから、淡々と3分ぐらいで診察を切り上げられちゃぁ、症状を見逃されてしまう。しかも毎回同じ質問じゃなく、手を変え品を変え色んな方向から聞いて欲しい。自分でも何が普通で何が症状かを、未だによくわかっていないから。

 

 

 

精神療法

双極性障害に苦しむ患者の場合には、躁状態へのこだわり、社会機能低下へのコンプレックス、環境変化への脆弱性、病識や認知機能の障害などがあり、特別な配慮が必要となる。

 

自分以外の双極ブログを拝見していると、社会機能低下へのコンプレックスで悩んでいる方は多いなという印象。

 

私も、今でこそ落ち着いているけど、少し前まではバリキャリだった時の自分と、無職、または底辺デザイナーの今の自分と比較して、悔しい思いをしていたし。

 

そもそも、バリキャリだった自分=軽躁だったわけで、躁状態へのこだわりと言えばそういうことになる。

 

そういった心理面のフォローも医療でしてくれるなら、非常に助かるなと思った。

 

 

 

当事者会の利用

当事者会はそもそも他者のために活動することを通じて自己を回復する場であり、何かをしてもらう場ではない。つまり当事者会そのものが社会活動であり、むしろデイケアよりもひとつ上のステップと位置付けることが出来ると筆者は考えている。

 

この本の中の双極性障害を担当された鈴木映二先生は、双極性障害の当事者会「ノーチラス会」の理事長をされていて、当事者会の治療的効果の研究もされているらしい。

 

私は当事者会には参加していないけれど、当事者会の利用も治療に効果的なんだね。以前にも書いたけど、ブログを通じて同じ双極さん同士の交流も、私は治療的だと思っているよ。

 

 

 

終診

患者から治療中止を提案する場合、躁状態の再発の初期兆候であることも多いので注意が必要である。

 

結局、何かしようとすると、直ぐに躁状態と結びつけられてしまうのが双極性障害の性(さが)でしょうか。一応、終診になることもあるみたいだけど、基本的に終わらないっぽいです、通院。

 

でも将来的には、画期的な治療法が発明されるかもしれないし、II型は終診出来るかもしれないし、先のことはわからないし。私はいずれ精神科の通院を辞めたい希望。(←これが躁的と言われるんでしょ?はじめに戻る。)

 

 

双極性障害で気になったのは、そんなところかな。

 

 

 

 

 

あとアルコール依存症(物質関連障害)で、双極性障害が出てきていたので、そちらもご紹介。

 

過去に大量の飲酒歴があるが、今は飲んでいない場合、なぜ辞めたのかを尋ねる。明確な理由がないのに飲む気がしなくなったのであれば、気分変動が潜在している可能性がある。

 

はいはい。わかりますよ。私のことですね。酒だけに限らず、ベンゾODも辞めたし、タバコも辞めたし。別に身体的理由はなく辞めてます。必要なくなって、依存対象が去っていったんだよね。気分変動が存在していましたね、これ。

 

 

抑うつ状態でアルコール使用障害のある患者

そのような患者の一部は実は双極性障害であり、気分安定薬が奏功する可能性があることも気に留めておくべきである。

 

おそらく双極性障害で、アルコールに限らず何かしらの依存がある人は多いんじゃないでしょうか。

これは別の本に書いてあったんだけど、双極性障害の症状が落ち着くと、併存する他の症状も落ち着くことが多いらしい。

 

双極性障害と見抜けるかどうかは医師にかかっているので、私たち患者としてはあまり出来ることはないけど。

 

稀に、私のように気分安定薬をリクエストして双極性障害と診断名が変わった人もいるので、まぁ治療には積極的に参加した方がいいですよ、という感じです。

 

 

 

 

 

この本は面白すぎて、まだまだ書きたいことがあるんだけど、この辺にしておきます。

 

とても勉強になりました。

 

うちの先生は薬物治療メインだけど、それでも毎回診察で、この質問には何の意味があるのかなぁ、どう答えて欲しいのかなぁと思っていたことが、実は精神療法だったと理解出来ました。

 

それにこの手の本は、読むだけでも精神療法的というか、心に効く感じがします。

 

高いけど、おススメです。

 

 

 

参考

【双極性II型って?】治療について3*心理教育*