【双極性II型って?】治療について2 *薬物療法* | リリカルうつろぐ。

リリカルうつろぐ。

双極性障害の移ろいゆく心を語るブログです。
ただの雑談もあります。

双極性障害の治療は大きく分けて、2つの柱に分かれています。

 
1)薬物療法
 
2)心理社会的療法
 
今回は、双極性II型に特化した薬物療法について考えてみたいと思います。
 
とはいえ、薬物療法について、個々の薬の説明はしないでおこうと思います。一応資料は揃っているものの、私が飲んでいる薬はラミクタールだけで、素人の私が実感の伴わない説明をする意味がないかと思いますので。(あ、でもリクエストがあれば、説明するのはやぶさかではないです。)
 
 
 
今回は薬物療法を受ける上で、知っておきたい事について考えてみたいと思います。
 
 
 
まず、双極性障害は原因がまだわかっていない疾患ですので、原因に直接働きかける薬はありません。
 
経験的に気分の波を抑える効果がわかった薬を使用しての対処療法です。いまだかつて、気分の波を抑えることを目的として、製薬し承認された薬はありません。待ち遠しいですが当分出てこないでしょうね。
 
 
Question
双極性障害の薬物療法について、一般的によく目にする言葉。
 
  • 双極性障害は薬物治療によって比較的コントロールしやすい疾患です。
 
  • 薬は生涯飲み続けなければいけません。
 
果たしてこれは本当でしょうか?これが今回のテーマです。
 
(長文が苦手な方は、1番下のAnswerまで読み飛ばして下さい。)
 
 
 
私は最初、そうなのだと鵜呑みにしていました。今でもそういった側面は確かにあると思っています。ただ双極性II型について調べるうちに、少し違う部分も見えてきました。
 
 
双極性I型については、歴史が長く、治療についてもある程度確立していると思います。 それでもコントロールが難しい方も多いとは思いますが。
 
しかし双極性II型については、どうでしょうか?まだ歴史の浅い疾患です。しかも疾患の概念も月日と共に変化し、まだ定まっているようにも思えません。日本で診断が急増したのは、ここ10年程ではないでしょうか。
 
そして双極性II型だけを対象にした研究は、世界中を探しても今はまだ殆どありません。もしあったとしても、II型障害の概念が急速に変化しているため、その当時の研究が現在の病態に合致しない可能性も高いのです。
 
日本うつ病学会が公表している、双極性障害の治療ガイドラインも、I型とII型を分けずに記載されています。分けて書こうとしてもII型障害のみのエビデンスがないので書けないのです。ただし、I型とII型が同じ治療で効果があるというエビデンスもありません。
 
 

ですので、薬でコントロールしやすいのか、生涯薬を飲み続けなければいけないのか、本当はまだわかっていないのです。

 
まだ双極性II型という疾患がよくわからない時代に、私達はそう診断され、それぞれの主治医により、手探りで治療を受けているのです。
 
 
 
以前「心の風邪キャンペーン」でうつ病ブームが到来した時、充分な休息と薬物治療により、2〜3ヶ月で回復し、半年程すれば完全復帰出来るなどと言われていた頃を思い出します。しかし蓋を開けてみれば、随分と治療が長引くケースが多いという現状がありました。そしてその一群が、現在の双極性II型ブームにつながっているのです。
 
こういった経緯もあり、現在スタンダードとされている治療法や考え方は、後年になり間違いだったとなる可能性があることを念頭に置いておいて下さい。
 
 
 
とはいえ、薬物療法なしでコントロールするのが難しいのも事実です。現在ある薬の中から、安定するまで試行錯誤を繰り返し、薬物療法を続けるしかありません。
 
 
薬物療法は、患者と主治医の共同作業です。どちらか一方だけの努力で成果は出ないと思います。是非、相談しながら自分に合う処方を見つけてください。患者は、服薬して何が変わったか、何が変わらなかったか、飲み心地や副作用を必ず伝え、主治医と共に、薬の評価をしていきましょう。
 
 
薬の効果が確認出来るまでの期間、ある程度「待つ」忍耐力も必要です。双極性障害は症状に波があり、薬の効果なのか波なのか、見極める時間が必要だからです。
 
ただ長期間、同じ薬物で治療を続けていても効果を実感出来ない場合は、合う薬が見つかるまで試行錯誤するしかありません。時間もかかり、副作用もあり大変ですが、今はそれしか方法がないので仕方ありません。本当に残念な事実です。
 
双極性障害に適応外の薬や、エビデンスに乏しい薬でも、効果がありそうなものは、試してみた方がいいと思います。何が自分に合うかは、試してみないとわからないのです。
 
もし主治医が、一見、双極性障害と関係なさそうな、訳の分からない薬を勧めてきたら、是非理解出来るまで質問してください。服薬するのはあなた自身ですから。
 
また、患者も薬の知識を身につけて、主治医に提案してみるという方法もあります。私は自ら飲みたい薬をリクエストしたことがあります。
 
そしてもし、主治医が全然相談に乗ってくれない場合や、長期間症状に改善が見られないのに薬剤調整をしようとしない場合は、セカンドオピニオンまたは、転院をオススメします。
 
 
 
そしてもうひとつのテーマ。
安定した後の、維持療法についてです。
 
 
本当に生涯服薬が必要なのかどうか。私は、双極性II型の人は断薬出来る人も多いのではないかと思っています。
 
これは人によって全然違うと思います。その人の現在の症状だけでなく、過去の病歴、遺伝的背景、生活環境なども関係してくると思います。 この維持療法についても、主治医とよく相談して下さい。間違っても自己判断で断薬しないようにね。
 
でも漫然と同じ処方で服薬せずとも、生活出来る可能性は充分にあると思います。双極性障害の薬は太りやすいものが多いですし、副作用もあります。減らせるのなら減らしたいですよね。
 
でも、まずは安定が目標です。減・断薬はしばらく安定状態が続いた後の話です。
 
 
Answer
薬物治療について書きたいことが沢山あり、長くなってしまいました。簡潔にまとめられなかったので、最後にもう一度、薬物治療を受ける上で知っておきたいポイントを書いておきます。
 
  • 双極性II型は、薬でコントロールしやすいのかどうか、本当はまだわかっていません。主治医とよく相談しながら自分に合った薬を見つけてください。
 
  • 双極性II型は、生涯服薬を続けることなく生活出来る可能性が高いです。