父きみじは、ほとんど漫画もアニメも観ない男だ。
そんな父きみじに、以前、ある関門が訪れた。
「聞いてくれ。わし、仲良くしてる後輩がいてな。その後輩がやたら観てくれ、観てくれ、最高すぎるって勧めてくるアニメがあるんだ。」
「で?」
「それが…萌え系なんだ。ちなみにそいつの嫁さんは、秋葉原のメイド喫茶のメイドだったんだ。」
「作品名が、色々聞かされたからごっちゃになってな。あんた、分かる?明日までに観るって約束しちまってな。」
「私、漫画もアニメも大好きだけど、萌え系は観ないから。」
「うさぎ?天使?にょにょ?モザイク?ご注文?魔法少女?○○娘?なんだっけ…よく分からん、助けてくれ。」
とりあえず、それらしきものにたどり着き、自分の部屋で夜な夜な萌え系アニメにチャレンジする父きみじ。
風呂上がり、父きみじの部屋にドライヤーを取りに行こうとドアを開けると…
よく分からないプログラミングをインプットして、バグった挙げ句、内部から煙りを出して故障した後のロボットのごとく、テレビの前に横たわっていた。
「めちゃくちゃ感動して泣けますからって言ってたのに…1ミリも頭に入ってこない…。」
ある意味泣きそうになっている父きみじを横目に、そっと扉を閉めたのであった。
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