緊急事態宣言が発令され、まだまだステイホームを楽しむ時間が長いことを知った私は、ボードゲームを新たに仕入れることにした。
その名も「スライドクエスト」。
RPGゲームをアナログ化したような見た目で、おもちゃのようでもあり、息子も楽しめそうだと考えた。
土曜日に配達されることは知っていたのだが、午前中にはやって来なかったので、家族中で今か今かと待ちわびていた。
ブロロロッ・・・。
車の音がする度に、2階の窓から外を見つめ・・・
足音が聞こえる度に、そわそわしていた。
そしてついに・・・
ブロロロッ・・・。
「ねぇ!今また車の音が聞こえたよ!今度こそ荷物来たかも!!!」
私と息子は、すかさず2階の窓から偵察する。
夫は確信したのか、玄関にまで足を運んでいた・・・。
あまりに眼力を飛ばしすぎたためか、配達員の男の人が、ギョッとした表情で何かに怯えながら、こちらを見上げていた。
玄関から、夫が駆け上がってくる足音が聞こえた。
しかと荷物を抱えている!
やはりうちの荷物だったようだ。
「玄関のドアを5㎝ほど開けて、中から覗いていました・・・。」
「そりゃ、配達の人怖かっただろうね・・・。」
ドアの隙間からは怪しい男が覗いており、窓には母子の顔がはりついている・・・。
配達員にとっては、恐怖の館に映ったに違いない。
晩夏の怪談として、配達員の間で語り継がれるかもしれない。
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