息子は、産まれて間もない頃から風呂が好きであった。
今まで一度も風呂にいれて泣いたことはない。
ただ無表情に、お湯の中で漂い、気持ちよさをかみしめている。
１００枚以上息子の写真を撮っているが、その中で一番好きなのが沐浴している写真である。
その顔は、おかめ納豆のようなのだ。
不思議なもので、入浴中は天井ばかりみている。
◇
実家にて、母親が息子を風呂に入れてやっていた。
「ねぇ～～来て～～！見て～！」
呼ばれたので覗きに行くと、「鉄腕アトム～～♪」と言って、母親が高い高いをするような形でつかんでいる。
息子は、まだ首が座るか座らないかといった状態だったのだが、何とか湯に顔をつけないよう首を持ち上げている。
ぷるぷるぷるぷる
泣きそう。
どうやら、水面を恐れるばかりに、首の力を最大限振り絞って維持していたらしい。
「ちょ、ちょっと怯えてるよ！」
息子は再び元の姿勢に戻され、ほっとしていた。
こんなことがあっても、風呂好きは風呂好きのままである。
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