知っていますか?昨日の法改正。 | 英国とミニチュアと私

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 日本の国会議員は、約130万円の月給のほか、月100万円の文書通信交通滞在費をもらっています札束

 「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(以下「歳費法」)に定められていました。

 

 昨日(2022年4月15日)、国会で可決された法案により、この文書通信交通滞在費の内容が変わりました。

 ツッコミどころが多すぎですが、出来るだけ簡潔に。

 

鉛筆 これまでの仕組み

 

 旧歳費法は、「各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額100万円を受ける。」と定めていました(9条1項)

 

 しかし、このお金、使い道の報告義務がなく、お金が余った場合の返還義務もなし。

 月末に議員になって働いたのが1日でも、月額100万円の満額が支給される…という至れり尽くせりで、こんなの国会議員が使いたい放題だろうムキーと批判されてきました。

 

 こうした批判を受けてなお、一部の政党は使い道の公開を拒み、法律で定められた使い道と異なる用途にお金を使い込んでいた疑いがますます濃厚となっていました。

 

 こうした状況下で行われたのが、昨日の法改正です。

 

虫めがね どうなったのか

 

 改正後の歳費法では、お金の使い道が変更され、「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」となりました(国会法及び国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案参照)

 旧法では、「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」だったわけですから、使途が大幅に拡大されたと読むのが素直な条文の解釈でしょう。

 名称も「文書通信交通滞在費」から「調査研究広報滞在費」に改められました。

 

 「法律で定められた目的以外にお金を使っているんじゃないか?」と批判されて、あわてて法改正して使い道を拡大したわけです。

 すげぇな、この国日本

 

 しかも、改正後の使い道の「国民との交流」ってなんでしょう?

 緊急事態宣言下でキャバクラに行った議員がいましたが、そういうやつですかね。

 国会でワニの動画を見ていた議員がいましたが、あれは「調査研究」でしょうか(笑)。

 

 そもそも使い道について「~等」という曖昧な書きぶりにしていたことが抜け穴となっていたわけですが、その大事な抜け穴は改正後も温存されています。

 使い道の報告義務も、余剰金の返還義務もなし。

 結局、国会議員がどうとでもごまかせますえー

 

 他方、在任期間を問わず満額支給だった点は、日割り支給に改められました。

 ただ、これは任期の最初くらいしか関係ないわけで、合理的ではありますが、大した話ではないと私は思っています。

 

おにぎり 「お手盛り」って聞いたことありますか?

 

 国会議員が、自分たちの受け取るお金を自分たちで決める権限があるから好き放題にやれるわけです札束

 こういう状態を、自分の茶碗に自分でご飯を盛ることに例えて、「お手盛り」と言います。

 

 一般にお手盛りは望ましくないので、例えば、会社法では、取締役の報酬等を定款又は株主総会の決議によって定めるものとして、取締役会で勝手に決められないようにしています(同法361条1項)

 こういう法律を作ったのは国会ですよ?

 自分たちは?

 

 国会議員の待遇を何らかの形で所管する外部機関を作るべきだと思います。

 これが、今回のドタバタで本来議論されるべきことだったと私は思っています。

 

カメラ ちなみにメディアは

 

 今回の法改正は、多くのメディアが批判的に受け止めているようです。

 ただ、私が昨日・今日に見たニュースでは、「日割支給にするとともに、名称を変更する改正がなされた」という報道の仕方が多く見られました。

 

 事の本質は、お金の使い道を拡大したことであって名称の変更じゃないんですがえー

 権力の監視がメディアの仕事というなら、まともに仕事してくれと思いました。