ボークスのIMSシュペルター。
発売直後の2011年に購入したものの、老後まで作る時間がなさそうだなと放置していました。
コロナ自粛で思いのほか余暇を持てたので、昨年4月から製作を開始し、半年かけて10月に完成しました。
あまりに大変だったので、これから作る人の参考になりそうなことをいくつか書き残しつつ、キットのレビューをしたいと思います。
まずはカラー。
悩み出すとキリがないのですが、私は以下の写真のように仕上げました。
使用した塗料は
白=グランプリホワイト(クレオスのMrカラー)
金=ゴールド(クレオスのMrカラー)
銀=スーパークロームシルバー2(クレオスのスーパーメタリック2)
すね・ホーンなど=ミッドナイトブルー:すみれ色=1:1(クレオスの水性ホビーカラー)
腹部・手など=ミッドナイトブルー:すみれ色=1:3+つや消し剤(いずれもクレオスの水性ホビーカラー)
となっています。
ゴールドについては、各社のものを買ってきて比較してみたのですが、クレオスのゴールドが一番落ち着いていて、ザラつき感もなく、個人的な趣味に合いました。
原作の設定画に合わせて、もっと黄色っぽいカラーがいいという人もいるかもしれませんね。
個人の好みが最も反映されるポイントだと思います。
なお、白い部分とホーン・すねなどは、クレオスのプレミアムトップコート(光沢)を最後に吹いています。
初めて使ったのですが、ツヤツヤになりますね。
大変なのが組立て。
例によって、説明書どおりに組立てられません(笑)。
以下の部分は、明らかな不具合があり、加工が必要です。
○ ふくらはぎ部の装甲
取り付け位置がずれています。
装甲側の取り付け用の出っ張りの半分をニッパーで切り落とせば、ずらして挿せるようになり、きちんと取り付けられます。
○ 肩装甲の内側
パーツが相互に干渉して取り付けられません。
デザインナイフで干渉する部分を切り取る加工が必要です。
結構な手間なので、仮組みしてよく検討した方がいいです。
その他、作業が面倒だった部分を御紹介。
○ ホーンと剣のつか
いずれも縦割りのパーツ分割で合わせ目消しが必要です。
1パーツにすることも無理でなかったろうに、どうしてこんな手間のかかる分割にしたのか理解に苦しみます。
特に、剣のつかは、先端部に白いパーツを挟み込む構造になっており、塗り分けが面倒な上、見てのとおり、溝がいくつも彫られているので」、合わせ目消しもやっかい。
段落ち処理をして縦割りのモールドと割り切った方が楽かも。
○ 肩装甲
肩側面の細かいモールドを潰さないためだと思いますが、3つに分割されており、面倒な合わせ目消しを要します。
さらに、赤い目のようなマーキングが、デカールではなくモールドなので、複雑な曲線に合わせた塗り分けを要します。
結果として、私のような未熟な人間は、合わせ目消しの失敗やら、赤いマーキングの塗装の失敗やらで、塗装のやり直しを無数に繰り返すことになりました。
肩側面の模様と赤いマーキングのいずれもデカールにしてくれれば、単なる2分割で真っ白に塗装すればよいだけのパーツだったと思われ、製作が相当に楽だったと思うのですが。
○ 刀身
左右に曲がっていました。
ぬるま湯につけて出来るだけ真っ直ぐにしましたが、最後まで完全な真っ直ぐにはなりませんでした。
やや軟質の素材であることから加工もしにくいです。
ヤスリがけして少し薄くしておかないと、鞘に入れると塗装がハゲます。
最後に、ちょっと感想めいたことを。
学生時代から秋葉原のショールームでモーターヘッドの作例を見てはため息をつき、「いつかこんなものを自宅に飾ってみたい」と思っていました。
「ボークス」と言えば、手の届かないあこがれのブランドという感覚に近かったです。
近年、IMSのシリーズが販売され、ガレージキットよりもお手軽な価格で、かつ、比較的ユーザーフレンドリーなキットとして発売されたことは素晴らしいと思います。
造形にも大変満足しており、「ツヤッツヤのシュペルターを自宅に展示したい」という夢をかなえてくれました。
ただ、他方で、前記のような明らかな不具合がある状態で販売しているのはどうかなと思いました。
また、やたらとパーツ分割が多い割にほとんど可動しないとか、前記の「なんでデカールにしないの?」という箇所など、総じて、試しに自分で作ったらすぐに感じるであろう疑問の数々が放置されている印象を受けます。
造形が素晴らしいだけに、商品としてはやや画竜点睛を欠く印象。
こうした点さえ改善されれば、世界に誇れる一流の商品になると感じました。なにせ美しい。
ボークスの今後の益々の発展と進歩を切に願っています。