こんにちは。
この記事のタイトルは、
『北海・バルト海の商業世界』 の帯に書かれている挑戦的な言葉。
北欧好きとしては、こういう本にはわくわくします。
世界史に関心のある方なら、文明発祥の海といえば地中海と
思われるでしょう。
勿論、それは事実ですし、中世~近世にかけても
イタリアのルネサンス期にヴェネツィア商人などが
地中海交易で活躍していました。
それとは別に、北方で広がった交易ネットワークがあり、
商業活動が繁栄していたのです。
目次は上記のとおり。
主にページが割かれているのはハンザ(同盟)。
リューベック(ドイツ)、ベルゲン(ノルウェー)、ゴットランド島(スウェーデン)、
ノヴゴロド(ロシア)など北海とバルト海の沿岸地域からなる
商業ネットワークです。
どの章も面白そうだと思ったのですが、
特に気になるヴァイキング関連の章から読みました。
第Ⅳ章 交渉するヴァイキング商人(小澤 実)は
ヴァイキングとキエフ・ルーシ、ビザンツ帝国のネットワークについて解説。
第Ⅴ章 中世アイスランドの商業(松本 涼)は
「ラックスデーラ・サガ」の一場面などから、中世のアイスランドにおいて
主要な輸出品であった羊毛布ヴァズマールとその生産者である女性に
ついて詳述されています。
12~13世紀のハンザ全盛期にも興味があるので、
他の章も順に読んでいこうと思います。
ハンザといえば、昨年読んだ皆川博子さんの小説が面白かったです。
時は12世紀。
ハンザ都市のリューベック、ゴットランド島、ノヴゴロドを舞台にした物語。
主人公は、商人を目指す少女たちです。
当時、船で各都市を廻って活動する女性の交易商人は
非常に珍しい存在でした。
小説、戯曲、詩をまじえた新たな試みで描かれる中世ヨーロッパの
商業世界。
人々の営みが生き生きと脳裏に浮かんでくる良作でした。
拙作 『The DANELAW』 2巻で商業について書く予定なので
色々資料を読んでいるのですが、なかなか話がまとまらず
苦戦中です……。
北方碧 (JAMIE)