夕食中に、昨年レッドワーブラーズのコーチをなさっていた稲嶺誉さんの話になりました。
現在は古巣である福岡ソフトバンクホークスのファームのスタッフになられています。
稲嶺さんは、選手として超一流とは言えなかったのですが、選手時代から身体は小柄ながらその情熱は群を抜いていました。北海道時代は首位打者3回、並々ならぬ努力の人だったと思います。
多分1年目だったと思うのですが、1軍を経験してファームである雁の巣での練習に戻ってきた時、当時ホークスだった井口さん(現ロッテ)と熱く技術論を語っていた、キラキラした瞳がとても印象に残りました。
守備では名手でならした稲嶺さんでしたが、勝てると思った試合で痛恨のトンネル守備をやらかしたり、3位で臨んだクライマックスシリーズでは劇的とも言える同点タイムリーのヒットを放ってお立ち台にあがるなど、まさに天国と地獄、両方を見てきた人でした。
野球人としては不利な条件の多い中、どうやって自分を生かせるかをいつも考えていた方です。
1軍メンバーとしてはいつも当落線上ぎりぎりのライン。油断すれば即2軍行き。
一度は捨てたスイッチヒッターに戻したり、打撃フォームも何度も変えたことか。
内野だけでなく、外野もこなすほどのオールラウンドプレーヤー。
塁上に立てば、エンドランのサインであれよあれよという間に1塁から3塁に到達。あのロケットスタートは今でもはっきりと脳裏に焼きついています。
稲嶺さんは私たちファンにはとても優しい穏やかな方ですが、レッドワーブラーズ(以下RW)時代は、選手に対して非常に激しい気性を露にすることが多々ありました。
それは、ともすればつかみかかるのではないかと思えるほどの荒々しさで、話しかけることすら遠慮してしまうほどでした。
厳しい世界で自分が生き残るためにあらゆる努力をしてきたからこそ、自信を持って怒り、そして指導をしてきた方なのだと思います。
その指導力は、昨年のRWの守備にも現れていました。
2008年のRWの守備はお世辞抜きでアイランドリーグでもトップクラスだったと思います。稲嶺さんの模範的な守備の手本、徹底した指導力を改めて感じました。
厳しい言い方になってしまいますが、メンバーの怪我などもあり、残念ながらRWは昨年ほどの守備力には欠けています。今考えると稲嶺さんの力は本当に大きかった。
人に好かれることを気にする人が多い中、稲嶺さんは人に嫌われることも厭わず、選手に本気でぶつかってくれる稀有な存在でした。
超一流でなかったからこそ、素晴らしい指導者である。
彼はNPBに戻るべくして戻った方なのだと思っています。
でももっとRWにいて欲しかった。守備力でNPBに指名される選手を出せたかもしれない。今となっては実に惜しいことです。