ナターシャ・グジーのコンサートには1度は行ってみたいと思っていました。
想像していたよりもはるかに素晴らしいコンサートでした。
ナターシャは、とても美しい人で、
その外見にぴったりの清く澄んだ高い声と
民族楽器のバンドゥーラの音色が
心の中に静かにまっすぐに入ってきて、
心が震え、涙が流れました。
彼女は、誰も責めません。
批判もしません。
チェリノブイリで、体験したことを静かに語るだけでした。
父がチェリノブイリ原発で働いていたこと
6歳の時、爆心地から3.5Km地点で被爆したこと
爆発が夜中に起こったので、どんなことが起こったのか誰もよく分かっていなかったこと
次の日は、みんな普通の1日を過ごしたこと
その次の日に、たいしたことはないけれど念のため3日間だけ避難するよう言われたこと
3日間だけなので、何も持たずに避難するよう指示されその通りにしたこと
そしてそれから23年間、故郷に帰ることができずにいること
彼女の家は、取り壊されて土に埋められてしまったということも
彼女の友だちやその子どもたちにも放射能の影響が続いているということも
彼女は美しい声で静かに語るのでした。
さだまさしの歌が、彼女の心に深く染み入るということで、
「秋桜(コスモス)」と「防人の歌」を歌ってくれました。
「秋桜」を歌うとお母さんを思い出すと言っていました。
「防人の歌」を歌う時は、どんな思いでいるのでしょう。
彼女の故郷ウクライナの空もきっと青く高いに違いない・・・・
幼い頃に遊んだ森は・・・
お母さんと一緒に世話した庭の花々は・・・
最後にみんなで歌った「故郷」が、
あんなに素晴らしくって泣ける歌だとは知りませんでした。
私は、さださんをメッセンジャーだと思っていますが、
彼女もまた、選ばれたメッセンジャーだと思いました。