しばらく上司について仕事を覚えることになった。

 

新卒2年間だけSEの真似事をして、そこから逃げ出し、28,9の歳までモラトリアムに浸って時間を無駄にしてきただけの人生だったから、

 

全く仕事ができないプライドだけ高いモンスターだった(とはいえ、反抗的な態度を堂々とできるような度胸もなかった)

 

一方で、上司はエリート街道を一直線に歩んできた、どこからみてもできる男。

 

初日から開口一番、「君、変わってるって言われるでしょ?」と言われた、もちろん悪い意味で。

 

たった3分程度会話しただけで、こいつダメだと見抜かれたのだと思う。

 

まともに挨拶ができなくてボロクソに言われた。

 

案件のメールはすべて上司をccにいれるルールとなり、一通一通のメール文面でボロクソに言われた。

 

職務は違ったが、同期がどんどんと目立って成果を出して可愛がられていく中で、ワイは割と早い段階で、社内的にこいつダメだ、というレッテルが大きく貼られていた。

 

少人数での組織だと特に、一旦ダメなやつというレッテルを貼られた場合、本当に逃げ場がなくなるもので、社内に居場所がなくなりほんとキツかった。

 

先輩社員の中にはわけのわからんやつもいて、目をつけられ利用された(その人は早々にやめてしまったが、個人的な副業に利用されていたとあとでわかった)。

 

毎日徹夜残業で鬱になっていった。

 

中間を繋ぐ仕事だったので、クライアントと下請けの会社両方になめられてバカにされて、板挟みになった。

 

もちろん出世できるわけもなく、給料は20台後半で300万円台だった。

 

会社の飲み会が恐ろしく憂鬱だった。

 

飲み会の場で、体育会系的なノリで徹底的に潰すような儀式をされ、笑い者にされた。

 

こいつらまじでぶっ○してやろうと思った(本当にそれくらいの度胸があれば、もっとうまく立ち回っていただろう)。

 

会社が大きく成長していくにつれ、同期は出世しチームのリーダーを任され、中途入社で入ってきた人たちにも抜かれていった。

 

将来が全く見えなかった。

 

 



 

あの時の自分が、組織に合わなかったのは、当然だったと思う。

 

仕事ができない以前に、まず人としてダメだったし、プライドだけが高かった。

 

そのゴミのようなプライドを、上司が徹底的に潰してくれた。

 

本当に、それがよかった。人生を救われた。

 

30近くにもになって、めちゃくちゃに叱ってもらえたことは、今思うと本当にありがたかった。

 

年齢がワイが1歳年下だったこともよかった。上司は良い人だったので、年上に対しそこまで強く潰さなかったのでなないだろうか。

 

辛かったが、プライドがなくなり、とにかく上司や周りから仕事のやり方を吸収できるようになってから、少しづつ何かが変わり始めた。

 

そして救いだったのは、上司が優秀なコーチであり、邪悪な人ではなかったということ(上司の中には仕事は優秀だが邪悪な人もいた)。

 

自分のやり方がおかしいときに、その行動については容赦無く厳しく指摘をするが、

 

自分の人格を否定するようなことはほとんどなかった。激務で鬱気味にはなったが、全て自分の責任と自覚できた。

 

新卒の時にこういう人と会いたかったと思った。

 

 

 



上司には常にロジカルな会話を求められ、論理的思考力皆無だったワイは、ロジカルシンキング本を読み漁った。

 

ダメなやつというレッテルの中で、ただ目の前のことだけを頑張っていた。

 

ダメなレッテルを貼られた時、それを挽回するのは難しい。人よりも明らかな大きな実績を出さなければならないのだ。

 

ボクシングでチャンピオンに挑む挑戦者の試合と同様である。勝つには明らかなるKOが求められる。圧倒的勝利を印象付けられるようななにかが。

 

失敗した時は、またあいつか、となる一方で、

 

たまに成功しても、へーあいつがか、ラッキーだったね、周りのフォローがよかったねとなってしまう。

 

そして、クライアントとの関係性ができかけたタイミングで、そのクライアント仕事はもっと実績のある人間に回されていく。それも辛かった。とにかくコツコツと積み重ねるしかなかった。

 

 

 



ある時、一つのプロジェクトの成功事例が、会社でのワイの立場を変えた。

 

徐々にだが、あいつは危ういけど、最近よくやってる的な声を聞くようになった。

 

(当時のワイとしては)圧倒的というほどではないが、まずまずの勝利案件を積み重ねるうちに、次の案件もこの人でお願いしますと、上司が個別で言われたらしい。

 

自分の頑張ってるアピールではなく、他社からの口コミでのレコメンドが一つのポイントになる。

 

入社3年目にしてようやくクライアントの信頼を得た瞬間だった。






#3に続く