その上司は、一言でいうとデキる人だった。
全てにおいてソツなくこなして、頭がよく、論理的な人だった。
コミュニケーションの達人で、しかもイケメンだった。
元々は誰もが知っているイケてる会社にいた人で、
見るからにスマートで育ちの良さが滲み出ていた。
年齢は上司が学年で1個だけ上だったが、全ての面で圧倒的な差があった。
そのブラック企業に入社した当初、まだ10人に満たないベンチャーだったが、
現在は100名を超える会社に成長している。
業界未経験で入社したワイは、初日からかなり詰められた。
業界未経験で仕事ができないから、というわけではない。
20代後半だというのに、ワイは社会人として礼儀も何もかもが終わっていた。
ワイは新卒で金融機関に入社後、SEの真似事をしていたのだが、2年で辞めている経歴がある。
その後、他業種に興味を持って専門学校や夜間の大学に入ったりしたのだが、実質ブラブラとしていた。
夢に向かって専門学校へ行くという大義名分を持って、実質逃げまくって、親にも迷惑をかけながら、5年くらいを無駄に過ごした。
だから、20代後半になって、社会人としての礼儀や組織での立ち居振る舞いや、人とのまともなコミュニケーションが、
全く身についていない、アラサーに仕上がっていた。
それでいて、プライドだけ高かった。
自己啓発本とか、他人の成功例とかをとにかく読み漁り、
自尊心だけ高くなった、典型的な意識高い系使えないやつだった。
その状態で、その会社に入社し、その上司に出会った。
#2に続く