今日もライトノベルを読む予定はない -39ページ目
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「“文学少女”と穢名の天使」野村美月

劇場アニメ化も決定した“文学少女”シリーズの4巻目です。

今日もライトノベルを読む予定はない-“文学少女”と穢名の天使


今まで空気気味だった琴吹ななせがようやくメインヒロインになりました。

随所に引用されるガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」の一節一節が物語とリンクし、現代に生きる登場人物たちのつらく悲しい運命を、儚くも美しく彩っています。
大学受験で忙しい遠子先輩のいない中、なれない単独調査を強いられる心葉君が初めて他者と向き合い、深く関わろうとしていきます。ななせさんの気持ちに目を向けようとするところも、「あーじれったい!」と思いつつも心葉君の不器用な真面目さに感動しました。

ラストでは、美羽の生存と登場がいよいよ濃厚になってきましたので、次の巻を読むのが楽しみです。




“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)/野村 美月

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オペラ座の怪人 (角川文庫)/ガストン ルルー

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「今日もオカリナを吹く予定はない」原田源五郎

今日から、読んだ小説(主にライトノベル)の感想のようなモノを書いていこうと思います。
批評めいたことを書くことはできないので、ホントに簡単な「感想」になると思います。
ライトノベルのように、続編が何巻もつづくような小説ですと「あれ、前の巻ってどんな話だったっけ?」となる事が多々あり、不本意な読み直しをさせられる事になるので、それの予防という意味もあります。

という事で、記念すべき第1回目は原田源五郎著の「今日もオカリナを吹く予定はない」です。

今日もライトノベルを読む予定はない-今日もオカリナを吹く予定はない


7月に発売されたばかりで、しかもレーベルとしては地味でマイナー(個人的印象)な「ガガガ文庫」から出ているので、今のところ特に目立った取り上げられ方はしておりません。
私はアニメイトで新刊チェックをしている時に手に取り、ビビビっときたので購入に至りました。

しかし、この小説こそ私に「書評ブログをつくるお( ^ω^)」と思わせた作品なのです!!!

むっつりスケベで地味な高校生である主人公が、ある日電波気味の同級生の女の子から「あなたには才能がある!」と言われ、無理矢理謎の部活に入部させられる。その後はその謎の才能を駆使し謎の物体を破壊していくという、かなり「???」がいっぱいの内容です。
そしてこの小説が面白いのは、その「???」な部分をほとんど説明もしないし伏線っぽさも出さず、「???」を「???」のまま放置して話をじゃんじゃん進めて行っているところです。
当然主人公はこの「???」に関して様々な思いを巡らせ、推理し、向き合って答えを出そうとします。
終始ポカーンな流れで分けも分からず能力を与えられ戦いの場にかり出され奇妙すぎる敵と命をかけた戦いを強いられる彼ですが、第1巻では「とりあえず戦っている」という感じです。おそらく今後も色々と悩みながら戦ったり逃げ出したりすることでしょう。
この「???」が心理的なゆらぎの比喩表現だとかを言い出すと上手く文章化出来ないのですが、そういう読み方をすると単純な異能力バトルものとはひと味違う楽しみ方ができると思います。

以下、これまでふてくされながら嫌々参加していた彼が、部員のピンチを知り、初めて能動的に敵を破壊しに行く事を覚悟するシーンの一節です。

すべてが理不尽。
意味がわからない。
もういい。
くだらねえ。
全部終わらせる。
全てを断ち切る。
こんな理不尽な戦いを終わらせてやる。
そう。
そうだ。
やるしかない。

覚悟。
覚悟だ。
ここで逃げるわけにはいかない。


とても青い文章ですが、歳をとったせいなのでしょうか、痛く感動してしまいました。

あとがきで作者も冗談めかして「学園異能バトルに対するアンチテーゼ」と言っていますが、そういう要素もあります。
もちろん、こんな「???」だらけの話を一気に読ませる楽しい日常パートも充実しています。
電波ぎみだけど元気で正義感の強い部長の他、終始グラサンをしている邪鬼眼だけど憎めない良い奴や、従順な子犬のような天然ボケぎみの後輩等の部員との軽妙な掛け合いはかなり笑えますw

邪鬼眼と天然後輩に関してはまだまだ描写できる余地があると思うので、次の巻も楽しみです。
頼むから次の巻を出してくれ!!小学館!!

以上、とても長くなってしまいましたが感想を終わります。

今後は3行くらいで書き終わるよう心がけたいと思います。そうしないと長く続かないような気がするので。

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