9うpりますねー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
Ep.9《藤原》
「『藤原』って、どこにでも居そうなのに全く聞かないんだよね。君を見て思ったよ。でもさ、藤原くん、君の【術式解体】は異常すぎた。そう思って、僕は親に連絡を取らせてもらった。『藤原って聞いて何か知らないか』ってね」
ギリ、と隼人が奥歯を噛む音が鳳仙やレオンの居る辺りまで聞こえてきた。
「そうしたら、なんて返ってきたと思う?『藤原』は、最強の『血統書付』だ、だってさ」
今度は、鳳仙たちがハッとする番だった。
「隼人が、最強の『血統書付』だって?」
たまらず、レオンが口を開いた。
「その通りだ。レオンハートくん。『藤原』の性を名乗れるのはこの世で一家しかないんだよ」
「まさか…そんな…帝門と同じ位の力を持ってないとそんな事…」
「そうだろう、隼人くん。君の先祖はあの『藤原鳴路』のはずだ。違うかい?」
隼人はずっと俯いたままだ。
何かに耐えて居る様にも思える。
近くにいた静が、耐えきれなくなったように隼人の傍に駆け寄る。
「隼人くん!」
「来るなッ!」
「ッ…」
突然の叫びに、静は固まった。
その動きにハッとした隼人は、眼を見開き、そしてまた目線を下に戻し、絞るような声で言った。
「頼む…俺に…近づかないでくれ…」
それは、悲痛な叫びでもあった。
そして隼人は、夜雲の方に顔を向けた。
「…ああ…俺は、俺の先祖は『藤原鳴路』だ」
それを聞いたレオンがコソコソと静に訊く。
「静、藤原鳴路って、誰?」
「…私もよく分からないの…」
静はまだ、隼人の拒絶の辛さを抱えていたが、なんとかそれだけを返した。
「藤原鳴路。黎明期末期の英雄のことで御座るな」
すると、二人の間からニュっと出てくる影があった。
「半蔵、お前、何してた?」
「自分、討伐依頼を伝えに来た寧々殿の兄上殿に殺されかけていたで御座る」
「そうか…それで?」
「藤原鳴路は結構有名で御座るよ。黎明期…はご存知で御座るか?」
「あのね、どこまで馬鹿にするのよ。人類が神界に昇る前の時代のことでしょ?」
静が呆れた様に返答する。
「そうで御座る。因みに神界での時代を神代と言うで御座るが、兎に角、藤原鳴路はその黎明期末期の英雄なので御座る」
「英雄?」
「第三次世界大戦をたった一人で終戦させたリヴァイアサンという御仁が色々あって神になろうとしたので御座る。そしてそれをリヴァイアサンの死を以って止めたのが、彼の実の息子である藤原鳴路、ということに御座るな」
「その通りだ、半蔵」
言葉を返したのは、隼人だった。
「俺は確かに『藤原』の家の人間だ。だが、それがどうかしたか?」
隼人の瞳は、夜雲を真っ直ぐに捉えた。
「いーや、どうもしないさ。僕はただ、個人的な興味本意で話しているだけだよ。生徒会長として、生徒のことはできる限り把握しておきたいんだ」
その眼力をスルリと躱して、夜雲は言った。
「まぁ、これからに期待しよう」
彼は踵を返し、校舎の方に向かって歩きだした。
春馬や他の上級生も続く。
一人、帰り際に半蔵を親の仇の様な眼で見ていた上級生が居たが、きっと寧々の兄だろうと推測した。
「ああ、そういえば、今回のクラスマッチの優勝はA、B組の二クラスになると思うよ。優勝、おめでとう」
思い出した様に言って、夜雲は再び歩きだす。
隼人は、後ろの方で騒ぐクラスメイトの声を聞きながら、強く奥歯を噛んでいた。
自分は、化け物だ。
それは、比喩でも何でもない。
自分には、人以外の血が流れている。
そのせいで、彼は小さい頃から疎まれ、望まれない子として忌み嫌われていた。
母親は、彼を産むと同時に死んだ。
父親は、物心つく頃には消えていた。
親の温もりも、優しさも、彼は知らない。
ずっと彼は一人で、『藤原』の研究所に籠り、研究を続けた。
彼に混ざる血は、神鬼と呼ばれる父親のもの。
神鬼は、神界の神が人界に降りてきた姿。
神はフォースの塊。
故に、半神鬼の彼も、常人では考えられない量のフォースを有している。
怪物、化け物。
どれほど口汚い言葉を投げ掛けられるより、人外である事を意識させられるのが辛かった。
自分の姿は、みんなと変わらないのに。
自分の言葉は、みんなと変わらないのに。
自分からみんなは離れていく。
今度こそはと飛び込んだ教導院でも、また失うのか。
彼は振り向きたくなかった。
振り向けなかった。
自分は人間ではない。
人外の化け物。
人と交わることは出来ても、心を通わすことは出来ない。
上辺の笑顔は、心の醜さを顕す。
捻じ曲がった心は、苦笑しか漏らさない。
彼は笑い方を忘れた。
それは、必要ないものだから。
彼は戦い方を覚えた。
それさえあれば、生きて行ける。
人外は人外らしく醜く生きればいい。
誰もが彼から離れていくのだから。
瞳からは涙が溢れた。
笑い方も忘れたのに、泣き方だけは忘れられなかった。
そのまま、倒れていく。
身を守る様に前傾で。
誰か信じられる人がいたなら、大きく後ろに倒れられるのだろうか。
独りの彼にはわからない。
倒れていく。
意識もなくなっていく。
視界が黒くなる直前。
口に含んだのは、地のような、血のような、鉄の味だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、やっとでてきました
黎明期←鳴路たちの居た時代
神代←神々へと昇華した時代
新世紀←現在
みたいな時系列となっておりますな
ついに隼人くんの暗い過去も明らかに
なっちゃんの彼方くんとは対照的な主人公ですなwww
なっちゃんこと夏雛さんの『MAjICA』も宜しくです
俺とジャンルを被せた上に面白いので、読者を悉く取られて行っている気がしないでもないですが、
面白いので是非是非
んじゃ、また次回の更新でお会いしましょう