無題ひゃっはー | You and I can (not) be "Genius"

You and I can (not) be "Genius"

喰人のブログ。。。

大好きなアニメのことや、毎日の生活などの話題が中心です。

たまーに自作小説を書いたりします


今回は、もう出来たとこまで結構うpります
Ep.8までですかね

9も出来てんですけどなんか10000文字までらしいんでむりっした

んじゃ、暫しお付き合いをば

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Ep.6《霞む月 浮かぶは龍》

決勝には、A組が危なげなく勝ち上がってきた。
会場は《市街地》ステージ。
二回戦のステージと同じだ。
B組の控え室では、全員が隠しきれない闘気を漲らせていた。
「…今回も作戦は同じでいく」
隼人は静かに言った。
「だが、今回は激戦は必至だ。前回までの様に後ろが空くことはないだろうな」
「いいぜ。その方が燃える」
間髪入れずに、レオンが応えた。
「テメェの出番はねェよ、レオンハート。俺が全員止める」
「レオンも榊原も、そこまでだ」
隼人が脱線しかける二人を止める。
「だが、俺たちにならできる。そうだろ?みんな」
力強い頷きと共に、応えが返る。
「なら、アレやろうぜ?」
全員が立ち上がり、円陣を組む。
そこには、渋々ながらも榊原もいる。
全員が、一つになった。

『右の手に剣を!』
『左の手に盾を!』
『右の剣は敵を穿ち!』
『左の盾は王を守る!』
『この信念を糧とし!』
『一つでも多くの屍を遺せ!』
『この勇気を以って!』
『王の通る道を創れ!』
『この手に栄光を!』
『この胸に希望を!』
『我が王に勝利を!』

そして隼人は言った。
「よし、勝とうぜ!」

B組の面々は控え室から会場へと向かった。
試合開始の合図が鳴るのを静かに待つ。
「隼人、この戦い、負けても誰もお前を責めねぇよ」
レオンが隼人に声を掛ける。
「悪ぃ、聞こえなかったんだが、誰が負けるって?」
「ハハッ…だったな」
そして、開始の合図が鳴り響く。
全軍が、突撃した。

「どう思う?」
隼人はまたも隊列を作らせず、バラバラに動いていた。
正面を隼人、半蔵、鳳仙で固め、左右から囲む様な進軍のやり方だけを緩い縛りとして設定しただけだった。
「そうで御座るな。自分らだけに眼を向けていたら囲まれるで御座るし、かといって自分らを見過ごすことは出来ない、いい作戦かと」
「鳳仙は?」
「また【精霊の眼】で座標を静に教えるのが一番じゃないか?」
「そうだな。だけど、静の矢は上限ギリギリだ。外せば俺たちは信頼できる遊撃を失う。これはリスクが高いと踏んだんだが」
鳳仙は一度考え、
「…俺らが考えつく作戦は隼人なら考えてるんじゃないか?」
「そうとも限らない。自分で考えることが大事なんだよ…おっと、来るぞ」
その言葉で三人は臨戦体制を整える。
すると直ぐに目の前に数人の敵が現れた。
流石はA組。全員が名だたる名家の跡取りであったり『血統書付』だ。
「【剛拳:破城鎚】」
拳圧に圧され、敵が一瞬怯む。
その隙を逃さず、半蔵が前に出る。
その前に隼人がフォローを入れる。
「その罪は水。蒼に濡れる網を以って、その罪を懺悔せよ…」
水の網、『水蓮蒼』を発動し、敵を濡らす。
「『雷童子』」
アスファルトから水を伝って、半蔵の雷の術式が敵に直撃する。
昏倒状態に陥った敵はそのまま戦闘不能になった。
「進むぞ」
今はただ進むだけだ。

その頃、B組の拠点の中間地点は炎の壁に囲まれ、敵の侵入を阻んでいた。
「俺の遊撃での万能性ってのァ、こンなやり方だろ、隼人」
それでも、何人かは壁を抜けて入って来る。
しかし即座に遊撃部隊に潰されてしまう。
「隼人くんの部隊毎に振り分けるっていうのは妙案だったみたいね」
そういうのは榊原の隣で弓を構える静だった。
彼女はその梓弓で、炎の壁の更に外を威嚇しているのだった。
ところで、基本的にこのクラスマッチは良俗倫理に反しない限り何を着てもOKということになっている。
なので榊原はいつもの着崩した制服な訳だが、静は「この方が気合が入る」と神社の娘らしく白の小振袖に緋袴という巫女スタイルだ。
しかし、サイズを間違えたのか、彼女の胸囲はギリギリだった。
「ホントに良俗倫理に反してないのかァ?これじゃァただの風俗だぞ?」
「榊原くん、何かしら?」
聞こえなかったようだが、静は榊原に質問した。
「…なンでもねェよ」
まだ、本当の意味で壁を破る者は現れない。

隼人の【精霊の眼】のおかげもあり、隼人たちB組の主力三人は早くも相手のフォートレスとクイーンのいるビルの前にいた。
「ここだな」
「何も無いように見えるで御座るが…」
「ここにいるのは確実だ」
隼人が言ったその時、
「ありゃ、もう着いたの?」
ビルから出てきた一人の女子生徒に出くわした。
「…隼人」
「違う。クイーンじゃない」
「むっ、もしや、桐崎寧々殿に御座るか?」
半蔵が問う。
女子生徒は頷き、
「そうそう。アタシが桐崎寧々。よろしくねっ!」
「…涼風鳳仙」
「藤原隼人だ」
「向井半蔵に御座る」
それぞれつられて自己紹介をする。
ハキハキと話す最近見ないタイプの女の子だ。
だが、そんな印象も、次の言葉で霧散した。
「あ、いいよいいよ自己紹介なんて。アタシ、切り刻む人の名前は覚えない主義なの」
その言葉に三人の表情が変わる。
一人は一層無表情に。
一人は苦笑いを浮かべ、
一人は残念そうに眉を下げた。
「隼人殿。ここは自分が」
「…解った」
残念そうな忍者に、苦笑いを浮かべたまま応え、隼人は鳳仙と共に走り出す。
「ちょっと、アタシ、このビルに敵入れない様にって織田くんに言われてるから簡単に通せないな」
寧々も走り、二人を止めようとする。だが、見えないナニかに動きを止められる。
そして、
「あれ?あのエセ忍者がいない?」
「エセじゃないで御座るよ!?何を酷いこと言っちゃってくれちゃって御座るかっ?!」
自分の直ぐ傍で声が聞こえた。
つまり、
「姿を消す神祇?」
「その通りで御座る」
既に二人はビルに入った。
これで後は半蔵がどれだけ時間を稼ぐかだ。
「【朧月夜】」


Ep.7《魔王》

「やけに静かだな」
隼人は、人の気配のほとんどしないビルで、【精霊の眼】を使った。
「…!」
「どうかしたか、隼人」
「このビルにはクイーン一人しかいない、だと?」
「場所は?」
「屋上だ」
敵影が無いと分かれば、遠慮することはない。
二人は加速術式を存分に遣い、屋上へと向かった。

「…なァ、誰か来そうか?」
榊原が静に訊く。
「私の『鷹の眼』は炎の壁の向こうが少し見えるくらいだから。それ以上に伸ばしたら直ぐにフォース無くなっちゃうし」
「使えねェ…」
視線を元に戻すと、感じたことのあるフォースが漂っていた。
「来るぞ、デカ巫女」
「ちょ、誰がデカ巫女よッ!変態ッ!!」
「黙れ。来るって言ってンだよ」
「来るって?」
「…魔王だ」
その言葉には応えず、静は梓弓を強く引く。
「『華椿』ッ!」
スピードと威力のどちらも彼女の矢の中では上位に位置するその自慢の矢が、避けられた。
「榊原くんっ!」
静が榊原を呼ぶ頃には、もう榊原は神祇の発動を終えていた。
「【魔女狩りの王よ】」
炎の巨人が榊原の背後から発顕した。
炎の壁の向こうから、少年の声が榊原の元に届く。
「久しぶりだね、榊原。覚えているかな?」
「そらァこっちのセリフだ、勇次くんよォ」
「それは良かった。覚えていなかったら悲しいからね」
炎の向こうにいるせいで姿はハッキリとは見えないが、その背格好からすると、160cm前後の小柄な少年の様だった。
170cmと長身の静に比べると、かなり小さい。
だが、そこに纏う雰囲気には、言葉で言い表せない不気味さがあった。

「…フォートレスとクイーンは同じ場所だ!」
「了解」
屋上に上がった二人を待っていたのは、金髪碧眼の少女だった。
その胸には、クイーンの証であるペンダントが掛けられている。
その、人形の様な美しい少女は、フリフリした可愛らしい服に身を包んでいた。
「ごきげんよう」
少女は、こちらに気付くと、にっこりと微笑み、スカートの裾を摘まんで会釈した。
つられて二人も会釈を返す。
「…これは厄介だな」
鳳仙が呟く。
「彼女を知ってるのか?」
「ああ。生徒会庶務、波瑠加・F・クラウディアだ」
「生徒会役員か…」
彼女は微笑みを崩さない。
「多少生徒会の心証が悪くなるのは仕方ない。行くぞ」
隼人はそう言って駆け出した。
「あら?来られるんですか?じゃあ、私も迎撃させて頂きますわ」
彼女は、その発育した胸の谷間から鉄塊を引き抜く。
「何?」
「【巨人の中の巨神、長の中の長。我が血盟に従いて、その力を現世に宿しなさい】」
鉄塊がみるみるうちに形を整え、だんだんと巨大化していく。
「【巨神兵オベリスク】行きますわよ?」
完成したのは、クラウディアを肩に乗せる程の巨大な鉄の兵だった。
「おい…精霊系の神祇だと?しかもオベリスクなんて、神クラスの聖霊じゃねぇか?!」
「あれが攻防一体の神祇【聖霊召還】だ」
「…使用限界時間は?」
隼人の問いに、鳳仙は首を振った。
「召還の段階ですでにフォースを遣っている。崩すか、クラウディアが自らが破壊を宣言するかしないとダメらしい」
隼人は歯噛みした。
「鉄塊の壁ってことかよ…」

「ホント、影薄い貴方にお似合いの神祇ね」
ビルの入り口付近で、寧々は虚空に言う。
「……流石に声を上げるバカはしない、か」
せめて気配を感じようと、神経を研ぎ澄ます。
しかし、息を押し殺しているはずの気配すら感じられない。
それが神祇の力なのかあのエセ忍者の力なのかは解らないが、流石にこの場を離れた訳ではないだろうと寧々は思う。
気配は感じられないが、鋭い真剣の様な殺気が、全方位からこちらを狙っているのだ。
チクチクとした感覚が心地よい。
なら、それに全力をもって当たるのが礼儀というものだろう。
「【業物揃い】」
寧々の神祇【業物揃い】は、鋭いモノの斬れ味を上昇させる神祇だ。普段は、兄の神祇と併用することで真価を発揮するが、単体でもその効果は絶大だ。
この神祇は寧々が『鋭い』と感じるものに適応される。即ち、極論そこら辺の砂ですら、彼女が『鋭い』と感じてしまえば刃物に変わるのだ。
そして、今回は、
「手刀ッ!」
斬れ味は練るフォースに比例する。そして、今回はかなりのフォースをつぎ込んだ。それ故、
「セァッ!!」
その手刀は地面のアスファルトですら鋭く切り裂く。
「さて、どこにいるのかなー」

(いやいやいやいやいや!!あの御仁はふざけておられるで御座るか?!何を包丁で食材切る感じでアスファルト斬ってるで御座るよ!!しかも手刀!手刀に御座る!!これはアレで御座るか?!自分、料理されちゃうで御座るか?!はいっ今回は生きのいい半蔵くんを使いまーす、って、嫌で御座るよそんな番組!!もうなんかgdgdで御座る!!!!)
半蔵は、切り裂かれたアスファルトの直ぐ横で汗をダラダラ流しながら一瞬でそこまで考えた。
流石A組というか何というか、今までのクラスマッチがお遊戯会の様な規格外さだった。
しかも、
(大体の位置は割れているで御座るな…)
先ほどの一撃には、明確な殺意と自信があった。
前者は本気でいらないと半蔵は思う。
(こういうのがいるから戦争はなくならんので御座る。自分はこんなにラヴアンドピースで御座るのに…全く、これだから貧にゅ…うわっ!?すっごい睨まれた!睨まれたで御座るよ!!?)
口元は笑っていたが、眼が笑っていなかった。
寧々の胸囲うんぬんの話は置いておこう、と半蔵は固く誓ったのだった。
だが、まだ完全に見つかった訳ではないだろうと半蔵は思う。
(それなら、こちらから仕掛けるで御座る!)

「勇次くゥンよォ…その壁、どォやって抜けるよォ?」
榊原は、炎の前に立つ勇次に向かって挑発する。
やり過ぎな挑発であればカインが止める。止めが入らないと言うことは、これは必要な挑発なのだ。まさかそんなことはないだろうが、この挑発に乗って自分から来て火傷してくれるなら万歳だ。それに、もし入って来ても、彼の神祇はこれだけの人数がいれば恐れるものではないと知っていた。
「そうだな。流石に俺一人じゃ無理だ。だから、援軍を頼もうかと思ってな。榊原の術式は結構密接に精神と関係している。時々いるけど、気合で変わるヤツっていうのか?というわけで宜しく」
「…了解、織田くん」
炎の向こうに、もう一つの影が加わる。
「【悲嘆の思考】」
「ンなッ…クソッ…たれがァ…」
榊原が膝をつく。
そして、それに合わせるかのように、炎の壁もゆっくりと薄くなる。
「…僕の神祇【悲嘆の思考】は、対象者にネガティヴな思考を植え付ける神祇だ…榊原くんにはもってこいだね…」
「…ッ!あんたねッ!!」
静が梓弓の弦を引く。
と。
「【自己中心(エゴイスト)】」
そのまま、動けなくなった。
「なん…なのよ…これ…?!」
「悪いな。俺の神祇【自己中心】だ。自分と対象者の動きを止める効果がある」
「嘘…そんなの、アリなの?!」
「悪いが、勝たせてもらう。全員、突撃!!!」
応じる声が一斉に響き渡る。
(もう…ダメ…)
静が諦め掛けたその時。
「ん?誰だ、お前」
先頭部隊の一人が、声をあげた。
「僕はカイン。ここは通さないよ」
小柄な、ともすれば女子生徒に見られかけないほど線の細いカインが、集団の前に仁王立ちしていた。
「カインッ!逃げて!!」
静は必死に声をあげた。
だが、カインは静に微笑みかけるだけで、その場を離れようとしなかった。
「僕は今までいっぱい助けてもらったから、今度は僕の番だよ」
カインは眼を閉じ、すぅ、と息を吸い込んだ。
「【痛みを分けよ】」
「【辛さを分けよ】」
「【我が力は友と共に】」
「【友の痛みは我が痛み】」
「【その痛みを刃とし】」
「【敵を討て】」
もう一度すぅ、と息を吸う。
まるで、体の痛む箇所を確認するように。
「【博愛の劔】」
フォースで形取られた刃を手にするカイン。
「僕や、僕の仲間が受けた痛み、苦しみ、辛さを、受け止めて貰うよ!!」
そしてその劔を、振り下ろした。

隼人は、考えていた。
どうせ、たかが高等部のクラスマッチだ。
熱くなる必要はない。
だが、彼らを勝たせたい気持ちが増していく。
この感覚は理論では片付けられない。
そして、彼は口を開く。
「鳳仙、五秒だけ時間を稼いでくれ」
「…了解した」
鳳仙が頷き前に出る。
彼の行動を無駄にしないように、急いでフォースを練る。
たった五秒が、途轍もなく長く感じた。
そして、
「いいぞ!避けろ!」
本当は避ける必要はないが、隼人は叫んだ。
狙いはオベリスクのみ。
彼は練ったフォースを術式に変換する。
波の様にアルファベットや数字、普通では理解出来ない記号が、一瞬のうちに流れていく。
そして彼は、術式を展開した。
「【術式解体】」

隼人は、ただ手を突き出しただけの様にも見えた。
しかし、それは見るものが見れば直ぐに分かったはずだ。
彼はその手から、普通ではあり得ない程の量のフォースの弾丸を放ったのだ。
ただの聖神では、一生かかっても創り出せないフォースの塊。
それをものの五秒で創り上げた隼人に、鳳仙は驚きよりも恐怖を感じた。
そして、結果…
「えっ?」
クラウディアのオベリスクは消滅…否、吹き飛んだ。
「悪いが、こっちも本気だ」
そう言って隼人は未だ唖然とするクラウディアの胸元のペンダントを破壊しようと突きを放ち…


止められた。


「なに…?」
「悪いけど、一旦中止ね」
隼人の突きを止めたのは、少し長めの黒髪を後ろで一つにまとめた男子生徒。
その顔は整っていて、何処からどう見てもイケメンと言わざるを得なかった。
「僕は帝門夜雲。生徒会長だ。初めまして、藤原隼人くん」


Ep.8《罪と罰》

「突然で悪いけど、討伐依頼だ」
夜雲はフレンドリーに話し掛けてくる。
「討伐依頼、ですか。こういう行事に参加している場合は招集され無いと聞いていますが」
しかし、相手は隼人だ。何処までも無表情に、最低限の敬意を以って対応した。
「ねぇねぇ、なんであの人会長相手にあんな言い方できるの?」
「それが隼人だ」
後ろの方でコソコソクラウディアと鳳仙が話す。
「通常ならそうだけど、今回は魔物がこの会場に侵入したってことで君たちに白羽の矢が立ったって訳だね」
「…討伐するのは?」
「聖府認定Aランクの超大物『ドラグーン』。それも二体」
「…聖府の、教導院に対する無関心が表に出てきましたね。それも二体ですか」
「片方はもう殆ど討伐が終わってる。時間の問題だろう。だから君たちはもう片方に向かってくれ」
「了解しました」
軽く礼をして、隼人たちはその場を離れた。
「藤原…か。ちょっと調べてみようかな」
残された夜雲は呟き、隼人たちの後を追った。

それと同時、榊原や織田などの中間部隊や、レオンなども同じ話を聞いていた。
話をしていたのは、キッと引き締まった顔つきの男子生徒。
その制服は黒地に金の刺繍が施された制服一般生徒のものとは違い、真っ白の制服だった。
その制服は、風紀委員のみが身に着けられるもの。
腕の腕章には、『委員長』と刺繍が入れられている。
「…という訳だ。何か質問は?」
風紀委員長、草薙春馬は、腰に黒と金の剣を挿していた。
豪奢でもあり、地味でもあるという矛盾した剣。
だが、その剣からは禍々しい何かが発せられていた。
カインの【博愛の劔】を打ち破った突然の乱入者に、最初は全員戸惑ったが、彼の話を聞くと、次第に冷静さを取り戻していた。
「…ないなら解散だ。ドラグーンを討伐しろ!」

隼人たちが現場に着いた時、既に交戦は始まっていた。
「…何か、おかしくないか?」
鳳仙が隼人に尋ねる。
通常のドラグーンは全長約5m程の龍で、赤い鱗を持ち、地を這うように動く。
しかし、目の前のドラグーンは体長こそ変わらないものの、その体は赤いというより、むしろ…
「茶色い?」
クラウディアが感想を述べる。
「…どうした、隼人?」
何も言わない隼人に、鳳仙が訊くと、
「ヤバい…」
「え?」
予想外の答えが返ってきた。
「ドラグーンが変異し掛けてるのか…」
変異、それは神界から堕ちてきた魔物が人界と何らかの反応を起こして、通常とは違う性質を生み出すこと。
往々にして、それらの変異種は通常の魔物より数段強い。
「茶色、ということは…」
「ねぇ、あれ、サナギみたいじゃない?」
クラウディアが鳳仙に言う。
「…サナギ」
その言葉に、鳳仙ではなく隼人が反応する。
「…まさか!」
隼人は叫び、走り出した。
「どうした隼人!?」
「あれは変異種じゃない!進化の途中のサナギだ!」
だが、その隼人を抜き去る影が二つあった。
それは、夜雲と春馬だった。
「来たれ、精霊の加護。我にその力を貸し与え給え」
「総てを斬り裂け、天叢雲!」
夜雲の術式は、上位術式の中でも特に難しい『精霊喚起』系の術式。
精霊の力を借り、擬似的に精霊と同化する最上位の術式だった。
対する春馬は、腰に提げた剣を抜く。
その剣の名は《天叢雲剣》。
素戔嗚尊が、八岐大蛇を討伐する際に遣った魔剣。
その刃は時代と共に鋭さを増し、万物を斬り裂くと云われる。
そして、二人の攻撃がドラグーンに届く。
夜雲の拳はドラグーンを確実に撃ち抜き、春馬の天叢雲剣は一振りで尻尾を斬り落とした。
だが、
「…骨が二、三本砕けたかな…そっちはどう、春馬?」
「ギリギリ、と言うところか…当たり所は良かったが、次も同じ様に斬れるとは限らない」
二人の会話に、遅れて到着した後続部隊も含め、その場に居た全員が背筋を凍らせた。
…否、たった一人を除いて。
「隼人!」
鳳仙が叫ぶ。
彼の視界の先では、隼人が相も変わらずドラグーンに向かって走っていた。
上級生の、しかも生徒会長と風紀委員長が二人がかりでも勝てるか分からない敵に突撃する隼人を、クラスメイト達が口々に止める。
「ヤめろ隼人ォ!」
「戻ってこい!!」
彼らは声を出せても、近づくことは出来ない。
力の差を、嫌と言うほど理解しているのだ。
隼人との、ではなく、敵との。
今すぐ隼人を連れ戻したい。
しかし、敵がそれを許してくれない。
もうすでに隼人はドラグーンの目の前だ。
「…お二人とも、下がっていて下さい」
隼人は静かに言った。
「なに…?」
「下がっていて下さいと言ったんです。それでもそこにいるなら、命の保証はしかねます」
そう言って隼人はドラグーンと対峙した。
「【神の裁き】」
隼人の広げた掌から鎖が幾重にもわたって飛び出す。
それは意思を持っているかの様に動き、ドラグーンを絡め捕らえる。
ドラグーンも、大きく抵抗し、鎖が揺れる。
「【我が血を啜り、結束の力を固めよ】」
隼人は空いた片方の手の親指を、犬歯で浅く切り裂いた。
ゆっくりと血が流れる。
手を振り、血の一滴が鎖に触れると、鎖が血の緋に染まり、それまで暴れていたドラグーンの動きを抑えていく。
契約型強化術式【血の代償】。
自らの血の代償として、自己や武器の威力を増加させる術式だ。
「【死してその罪を懺悔しろ】」
片手から滴り落ちる血が、剣の様な、槍の様な形に固まっていく。
隼人はそれを天に放り投げて言った。
「【断罪の一撃】」
堕ちてくるその血の刃を、地に縛られたドラグーンに避けることは不可能だった。
魔物特有の、この世界から消え去る時に発する鈍い光と共に、ドラグーンは灰となって消えた。
「…罪には、罰を」
十字を切り、隼人はゆっくりと、首だけを回した。
そこに在るのは、今度こそ恐怖の感情。
誰もが彼を化け物として見ていた。
「…藤原くん、少し話がある」
そんな彼に話し掛けたのは、夜雲だった。
「何でしょうか?」
「君は、『血統書付』だね」

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どーでしょーか

もーなんかいっぺんにいろいろあって大変大変!みないな

夜雲くんなんか悪い人みたいだけどホントはいい人だよ!とか言ってみたり

さて、次回からやっとこさメイジくん登場です

M中の現高1生とか『ゼロの魔導師』みた人なら分かると思いますが、同一人物です。はい。

まだ名前だけだけどwww

さて、これからの隼人くんが心配になりつつも次回をお楽しみにー