刑事コロンボ「忘れられたスター」を観賞。
この一話。
かなり、異色ということになるのではないでしょうかね。
犯人となるのは、かつて、ミュージカル映画の大スターだった「グレース」です。
しかし、今では、年を取り、第一線から退いている。
夫は、医学博士だが、今は、もう、引退をして、グレースと夫は、大豪邸で、悠々自適の生活。
そして、グレースは、あることをきっかけに、もう一度、ミュージカル女優として、復帰をしたいと考える。
が、夫は、それに、強く、反対をした。
そして、グレースは、夫を、自殺に見せかけて、殺害。
女優としての、復帰を目指す。
そこで、いつものように、コロンボ警部が、登場。
自殺ということに、疑いを持ち、捜査に取りかかる訳ですが……。
コロンボによる事件の捜査の経緯は、書きたいことの本題ではないので、省きます。
そして、この事件、物語の異色なところは、犯人である、グレースのこと。
実は、自殺に見せかけて殺された夫。
夫が、妻、グレースの女優復帰に強く反対をするには、理由があった。
それは、グレースが、脳腫瘍を患っていたこと。
そして、グレースの余命が、あと二ヶ月だということ。
夫は、このことを、妻、グレースには、秘密にしていた。
女優の復帰に、反対をしたのも、妻の余命を思ってのこと。
しかし、夫は、妻に、殺害されることになる。
コロンボによる事件捜査の中で、このグレースの言動に、やや、不自然なところがあります。
それは、最近の記憶が、かなり、曖昧であること。
何度、会っても、コロンボの名前を覚えることも出来ない。
そして、事件のことなど、まるで、無かったかのように、女優復帰に向けて、はしゃいでいる。
コロンボが、グレースが脳腫瘍を患っていることを知った時、
「彼女は、もう、夫を殺害したことも、覚えていないかも知れない」
と、言う。
つまり、グレースは、脳腫瘍の影響で、記憶障害を起していた。
そして、自分が、夫を殺害したことも、もはや、覚えていなかった。
それでも、コロンボは、グレースを逮捕しようとする。
すると、一緒に居た、グレースの旧知の役者仲間、「ネッド」が、
「私が、殺した。私が、あの人を殺したんだ」
と、嘘の自白をする。
仕方なく、コロンボは、ネッドを、連行することに。
「あなたの自白など、すぐに、覆されますよ」
と、言うコロンボに、
「何、二ヶ月は、粘ってみせる」
と、ネッドは、言う。
この物語の犯人である、グレースのように、もはや、自分の犯した罪が、記憶の中に、残っていないという場合。
果たして、その「罪を償わせる」ということに、意味があるのか、と、疑問に思うところでもある。
今、日本の刑務所の中。
受刑者の高齢化で、まるで、老人ホームのようになっているところもあるようですね。
かつて、「無期懲役」でも、大抵の場合、15年程度で、出所をすることが出来ていたという話も聞きますが、今では、この「無期懲役」が、ほぼ、「終身刑」のようになっているという話で、そういう人たちが、長年の刑務所生活の中で、老い、介護が必要な状態になっている。
その中には、認知症の受刑者も居る訳で、そういう受刑者は、もはや、自分が、何の罪を犯して、服役しているのかも覚えていない。
恐らく、自分が居る場所が、刑務所であるということも、分かっていないのではないでしょうか。
こういう人を、刑務所の中に置いていて、意味があるのか、と、思うところでもある。
しかし、刑務所から出したところで、他に行くところも無いでしょうし、結句、どこかの施設で、介護を受けることになるのでしょう。
何だか、とても、空しい話。
受刑者が起した事件の被害者にとっては、更に、空しいことかも知れない。
と、思うところです。
