今回、放送された「べらぼう」ですが、まさか、斉藤十郎兵衛が、このような格好で、登場するとは。

やはり、「写楽=斉藤十郎兵衛」説が、有力となる中で、存在を無視するということにはならいでしょう。

これまで、悪の限りを尽くして来た一橋治斉。

前回の放送では、松平定信らの企みを見抜き、返り討ちを食らわすという展開でしたが、今回は、蔦屋重三郎のアイデアで、将軍、徳川家斉をも巻き込んで、一橋治斉を退治することに成功。

全て、丸く収まったといったところ。

 

阿波藩お抱えの能役者、斉藤十郎兵衛が、何と、一橋治斉の、そっくりさんだった。

一橋治斉を退治した後、この斉藤十郎兵衛を、「替え玉」にするという作戦。

いわゆる「影武者」ですよね。

 

写真の無い時代。

恐らく、人の顔というものは、どれほど、有名な人であろうが、その人と、直接、面会をしたことがある人でないと、知らないはず。

例えば、天下人となった、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の存在は、庶民の誰もが、知っていたのでしょうが、その顔は、庶民は、誰も知らなかったはず。

今から考えれば、何とも、不思議な感覚ですよね。

 

権力者の「影武者」として有名なのは、やはり、武田信玄の影武者、と、言うことになるのでしょうかね。

これは、黒澤明監督の映画「影武者」でも有名です。

 

 

武田信玄は、「三方原の戦い」で、徳川家康を破り、いよいよ、上洛かと思われたところで、亡くなってしまった。

そして、死の間際、「自分の死を、三年、隠せ」と遺言を残す。

この逸話を元にしたのが、映画「影武者」です。

主演をしたのは、仲代達矢さん。先日、亡くなってしまって、残念。

 

この映画「影武者」は、元々、勝新太郎さんが主演をするはずだったんですよね。

しかし、撮影が進むにつれて、勝新太郎、黒澤明の対立が激しくなり、勝新太郎さんは降板。

そして、仲代達矢さんが、主演をすることになる。

個人的に、仲代達矢さんが出演をした映画、ドラマなど、黒澤監督の映画しか見た記憶がない。

 

映画「乱」もまた、仲代達矢さん主演の黒澤監督の映画。

 

 

この映画「乱」は、海外での評価と、日本国内での評価が、大きく異なる。

日本では、「史上最大の赤字を出した映画」という評判もあるようで、個人的に、黒澤監督の映画に関心を持ち、色々と見るようになってからも、長く、見ることは、無かった。

しかし、やはり、海外での評判の通り、実際に、見てみると、かなり面白い。

なぜ、日本国内での評価が低いのか、よく分からないところですが、もしかすると、モノクロ時代の黒澤監督の映画が素晴しいので、色鮮やかなカラー映像に、日本人は、違和感があるのかな、と、思うところ。

 

そして、個人的に好きなのは、「用心棒」「椿三十郎」での、三船敏郎さん演じる「三十郎」の敵役。

特に、「椿三十郎」でのラストの決闘シーンは、時代劇の名場面。

 

 

 

三船さん演じる「椿三十郎」と、仲代さん演じる「室戸半兵衛」が、間近に向かい合い、両者の「居合い」によって、一瞬で、勝負がつく。

このシーン、何度見ても、見事としか言いようがない。

 

話が逸れましたが、権力者の影武者の話。

 

フランス、ルイ14世の時代。

監獄の中に、「鉄仮面」を被った人物が、収容されていたんですよね。

この「鉄仮面」の男は、監獄の中で、とても丁重に扱われていたそうで、当時から、「一体、誰なんだ」ということが、話題になっていたよう。

 

この「鉄仮面」の男。

ルイ14世の「双子の兄弟」ではないかという話を、以前、見たことがあるんですよね。

そして、途中で、この「鉄仮面」の男が、実際のルイ14世を入れ替わり、そこから、ルイ14世の活躍が始まったという話。

 

しかし、ネットで調べてみると、この話は、どうも、フィクションだそうですね。

アレクサンドル・デュマの「三銃士」の中に出て来る話のようで、史実とは考えられていないよう。

 

また、「大坂夏の陣」で、真田信繁(幸村)は、複数の影武者を立てて、徳川家康との決戦に挑んだという話も。

この逸話。

史実かどうかは、分かりませんが、恐らく、当時、真田信繁の顔を知っている者は、敵軍には、全くと言って良いほど、居なかったはずで、実際に、影武者が立てられれば、敵軍は、かなり混乱したのではないでしょうかね。

 

複数の人物が、同じ格好をして、「我こそ、真田信繁である」と宣伝をして、敵陣に飛び込めば、相手は、それを信じるしかない。

 

また、「影武者・家康」という有名な本もありますよね。

 

 

個人的に、未読なのですが、確か、徳川家康は、複数、居たのでは、という俗説を元にした小説だったはず。

 

写真の無い時代。

相手を、本人なのかどうか、確認するのは、なかなか、難しいものだったのかも。