さて、今回、放送された大河ドラマ「べらぼう」。
いよいよ「東洲斎写楽」の登場が、目前。
それに合わせてか、雑誌「歴史街道」の第二特集も、この「東洲斎写楽」でした。
ドラマの中での展開としては、幕府の「悪の黒幕」である一橋治斉の、いわゆる「被害者の会」に呼ばれた蔦屋重三郎。
松平定信を中心にした、その「被害者の会」から、蔦屋重三郎は、「平賀源内が、生きている」と、想像させるものを出版し、世の中を騒がせることを頼まれる。
なぜ、平賀源内が、生きている可能性を見せるのかと言えば、それは、将軍、徳川家治の嫡男、家基が、急死したことの真相を、平賀源内が、知っている可能性があるため。
そのために、平賀源内は、一橋治斉によって、消される。
蔦屋重三郎は、「平賀源内が、生きているかも知れない」と思わせるような浮世絵を出版することを考え出す訳ですが、そのプロジェクトの名前が「東洲斎写楽」という訳で、ドラマの中で、個人として「東洲斎写楽」が、登場する訳ではないよう。
そして、仲違いをしていた喜多川歌麿が、蔦屋重三郎の元に、呼び戻される。
やはり、あの「東洲斎写楽」の絵を描くのは、喜多川歌麿、と、言うことになるよう。
さて、雑誌「歴史街道」の特集を読むと、やはり、現在、「東洲斎写楽」は、阿波藩お抱えの能役者「斉藤十郎兵衛」というのが、最有力。
今のところ、この説に、異議を唱える理由はない。
しかし、それならそれで、色々と、疑問のあるところでもある。
まず、「斉藤十郎兵衛」という、絵師としては、全くの無名の人物を、なぜ、蔦屋重三郎は、大々的に、売り出したのか。
いわゆる「第一期」の東洲斎写楽の絵は、かなり費用のかかった、超豪華版の浮世絵といったところ。
なぜ、蔦屋重三郎は、無名の人物の絵を、超豪華版の絵として、しかも、一度に、大量に、売り出したのか。
これが、第一の疑問。
そして、東洲斎写楽は、「第一期」「第二期」「第三期」「第四期」と、短い間に、急速に、絵柄を変化させる。
特に、「第一期」「第二期」と、それ以降では、まるで「別人」が描いたと思われるほどに、絵が違う。
そして、浮世絵としての質も、芸術性も、急激に、低下をする。
これが、第二の疑問。
そのため、「東洲斎写楽」とは、複数、居たのではないかという説もあるよう。
また、「東洲斎写楽」とは、多くの人が関わったプロジェクトの名前ではないかという説もあるようで、今回の大河ドラマ「べらぼう」では、この説によって、物語が展開をするのでしょう。
そして、東洲斎写楽は、約10ヶ月という短い活動機関で、姿を消す。
これは、第三の疑問ということになりますが、これは、単に、「売れなかったから」という可能性が高い。
いわば、蔦屋重三郎は、東洲斎写楽を、見限った、と、言うことなのでしょう。
やはり、一番の疑問は、「第一の疑問」ですよね。
なぜ、蔦屋重三郎は、無名の斉藤十郎兵衛を、かなりの費用をかけて、大々的に、売り出すことにしたのか。
この点を、今回の大河ドラマ「べらぼう」で、どう描くのか、期待をしていたのですが、ドラマでは、斉藤十郎兵衛は、登場しないので、残念なところ。
個人的な推測としては、やはり、誰かが、資金援助をし、斉藤十郎兵衛を指名した上で、蔦屋重三郎を版元に、絵を描かせた、と、言うことになるのでしょうかね。
