YouTubeで、アニメ「じゃりン子チエ」の三話が、新たに、配信されていましたね。

それが、こちら。

 

 

コミックスでは、こちらに収録されています。

 

 

このアニメ、そして、コミックスに収録されているエピソードは、個人的に、「じゃりン子チエ」の中でも、最も、好きなエピソードの一つ。

 

チエの天敵、同級生のマサルが、ある日、チエに「もう悪口は言わない」と宣言。

なぜかと言えば、「遺伝」について、勉強をしたから。

マサルは、遺伝の勉強をしたことで、チエが、将来、テツのようになると思い、「死ぬまで、どつかれるのは、嫌だ」と、チエに言い、その理由を書いた紙を、チエに渡す。

 

チエは、マサルの書いた紙を読む。

それには、チエが、父、テツに似ていて、母、ヨシ江には、全く、似ていないと書かれていた。

「自分は、テツに、似ているのか」

チエは、色々と考え、自分の笑った顔が、テツの笑った顔と似ているのに気がつき、ショックを受ける。

 

チエは、「親と似ていない人が、誰か、居たはずだ」と、考えた末に、「花井のおっちゃん(拳骨)と、花井先生(渉)が、似ていない」ということに気がつき、花井のおっちゃんに話を聞こうと出かける。

チエは、家に行き、花井拳骨に「遺伝について、教えてくれ」と言うが、拳骨は「遺伝? エンドウ豆のことか」と、メンデルの遺伝の研究の話を始めるが、当然、チエには、何のことか、分からない。

 

その日、学校では、父兄の運動会の話が出ていた。

チエは、ヒラメに、「チエちゃんのおっちゃん(テツ)、出るとええわ。走るの、速いから」と言うが、チエは、乗り気ではない。

なぜなら、チエが、走るのが速いのもまた、テツからの遺伝だから。

 

また、ヨシ江が、運動会に出ても、また、走るのが遅ければ、チエは、ヨシ江の遺伝を受け継いでいないということが分かり、これもまた、ショックを受けることになる。

が、花井拳骨の家から戻ったチエのところに、ヨシ江さんが、仕事から戻り、そこに、マサルの母親が、ヨシ江を運動会に出るように、誘いに来る。

ヨシ江は、マサルの母親の誘いを渋るが、そこに、花井拳骨が来る。

「ヨシ江さん、出ればええじゃないか」

と、拳骨は、言い、チエは、ショックを受ける。

 

なぜ、花井拳骨は、ヨシ江さんに、運動会に出るように勧めたのか。

そこには、遺伝に悩む、チエへの思いがあった。

 

実は、ヨシ江さんは、運動神経抜群、昔、地区のリレーで、テツに勝ったほどのランナーだった。

運動会で、その実力を見せつけたヨシ江を見て、チエは、「自分の走るのが速いのは、お母さんの遺伝だ」と、喜ぶ。

 

この「遺伝」というもの。

 

本人の力、努力では、どうにもならないものですよね。

母親、父親から、遺伝子を受け継いで、自分という人間が形成されている。

そして、基本的な容姿や、能力は、その両親から受け継いだ遺伝子の中に、組み込まれていて、それはもう、何を、どうしようが、変わらない。

 

恐らく、「才能」というものも、この「遺伝」の中に、含まれる。

チエが、「走るのが速い」というもの、母、ヨシ江からの遺伝。

 

この「才能」を持って生まれた人というのは、羨ましいですよね。

もっとも、人間社会の中で、一流になるには、その才能を磨く「努力」をしなければならない訳で、才能があっても、努力が出来なければ、「凡人よりも、やや上」という程度で、終わってしまうのではないでしょうかね。

 

僕が、小学生、中学生の頃、とても、絵を描くのが上手い同級生が、二人居た。

あれほど、絵が上手ければ、僕ならば、漫画家、画家、イラストレーターなど、夢が広がりますが、二人とも、その「絵を描く」という才能を伸ばすことなく、大人になって、平凡な仕事をしているのだろうと思います。

 

今、メジャーリーグで大活躍をしている大谷選手。

 

この人もまた、とてつもない「才能」の持ち主ですよね。

あのメジャーリーグの中で、打者としても、投手としても、超一流。

恐らく、どれほど努力をしようが、普通のプロ野球選手(それでも、とてつもない才能の持ち主)では、あれほどの、ホームランは打てないし、160キロの球は、投げることが出来ない。

 

大谷選手の「二刀流」が、日本で話題になり始めた頃、「自分でも、あれくらいのことは出来ただろう」と言う、いわゆる過去の大御所プロ野球選手が、何人か、居ましたよね。

昔は、投手は、投手に専念することが当たり前だったために、自分は、打者を、やらなかっただけだ、と、言う理屈。

しかし、恐らく、何時の時代の、どの選手も、大谷選手と、同じ「二刀流」は、出来ない。

もし、誰でも「二刀流」が可能だと言うのなら、大谷選手という見本が登場してから、もう、十五年くらい。

大谷選手と同レベルの野球選手が、何人か、登場していても、おかしくはない。

しかし、誰一人、真似が出来ないということは、大谷選手は、まさに、野球の長い歴史の中でも、特別です。

もって生まれた「才能」に、それを、伸ばすための「努力」が、今の大谷選手を作り上げているのでしょう。

 

逆に言えば、そもそも「才能」が無ければ、いくら努力をしても、超一流には、なれないということ。

自分に、何の「才能」があるのか。

見極めることも、大切なのではないでしょうか。

 

さて、「じゃりン子チエ」に戻りますが、この、ヨシ江さんの運動会の話は、テツとヨシ江さんの「出会い」の話にもなるんですよね。

乱暴者で、常識の無いテツが、美人で、優しいヨシ江さんと、どのようにして出会ったのか。

そして、どのようにして、二人の交際が、始まったのか。

これが、また、面白い。

 

さて、チエの「走るのが、速い」のが、ヨシ江の遺伝だと分かったマサル。

また、チエに、悪口を、言い始めることに。

 

「お前は、大人になったら、笑って、『こんにちは』というだけになるんじゃ」

 

と、マサルは言う。

これもまた、面白い。