藤子不二雄さんの漫画に登場する有名な脇役キャラクターの「小池さん」。
この「小池さん」は、あの「トキワ荘」で暮らしていたこともある「鈴木伸一」さんがモデルだというのは、有名な話。
では、なぜ、「鈴木さん」ではなく、「小池さん」という名前なのか。
それは、初登場の時、鈴木伸一さんが、小池さんの家に下宿をしていたため、漫画の中でも、「小池」という表札のかかった家に、鈴木さんが居たため、読者は、その「鈴木さん」を「小池さん」と誤解をし、それが、定着したということ。
今、漫画「オバケのQ太郎」を、久しぶりに、読み返しています。
この「藤子F不二雄全集」には、「オバケのQ太郎」が、雑誌に掲載された順に、全ての作品が、収録されているものと思います。
ちなみに、「てんとう虫コミックス」の「オバケのQ太郎」全6巻は、「傑作選」ということで、選ばれた作品が収録され、しかも、雑誌の掲載順とは、違っているようです。
ちなみに、こちらは、復刻版ということのようで、しかも、巻数も、収録作品数も、大幅に、昔の単行本よりは増えているということのよう。
さて、上の「藤子F不二雄全集」の「オバケのQ太郎」第一巻を読んでいて、「小池さん」の初登場シーンに、改めて、気がつきました。
それは、「週刊少年サンデー」の1964年27号に掲載された「Qちゃんのおつかい」という作品。
犬が、おつかいをしている様子を見て、正ちゃんが、犬を褒める。
すると、Qちゃんは、「おつかいなら、自分だって出来る」と、パパやママ、伸ちゃん、正ちゃんらに、おつかいを頼まれ、出かけて行く。
当然、Qちゃんが、まともに、おつかいが出来る訳もないのですが、その中に、「太田さん」の家に行き、パパの言葉を伝えるというのがあったのですが、Qちゃんは、太田さんの家が、どこにあるのか、分からない。
そこで、太田さんの家が、どこにあるのかを聞くために、Qちゃんが入ったのが、「小池」と書かれた表札のある家。
その家の中に、「鈴木伸一」が居て、ラーメンを食べていた。
そして、二度目の登場が、「週刊少年サンデー」の1964年30号に掲載された「ハエたいじ作戦」という作戦。
手強いハエが、一匹。
Qちゃん、伸ちゃん、正ちゃんの三人は、このハエを退治するために、ドタバタ、奮闘するのですが、その時、Qちゃんが、ハエを追いかけて、「小池」と表札のある家に、飛び込む。
その家の中に居たのが、やはり、ラーメンを食べている「鈴木伸一」。
これでは、読者が、「鈴木伸一」さんを、「小池」さんだと思うのは、当然ですよね。
ちなみに、鈴木伸一さんが、この本の後書きを書いています。
当時、藤子不二雄さん、石森章太郎さん、そして、もちろん、鈴木伸一さんら、トキワ荘に居たメンバーが集まって、アニメ制作会社「スタジオ・ゼロ」を立ち上げた。
しかし、すぐに、アニメの仕事が来る訳でもなく、また、アニメの仕事は、相当に大変だと実感をしたところに、藤子不二雄さんに「週刊少年サンデー」から、「お化け漫画」の発注が来る。
この「お化け漫画」を、「スタジオ・ゼロ」の漫画家たちで作画し、「スタジオ・ゼロ」の運転資金にしようという話になり、生まれたのが、「オバケのQ太郎」です。
コマ割りと、Qちゃんは、主に、藤本さんが描き、正ちゃん、伸ちゃんらの家族を、安孫子さんが描き、ゴジラや、よっちゃんなどの脇のキャラクターさんは、石森さんが描いたそう。
そして、ある時、藤子スタジオのアシスタントから、「鈴木さんが出ていますよ」と、教えられたそう。
見てみると、トキワ荘時代に、仲間内で描いていた、鈴木伸一さんの似顔のキャラクターが、登場している。
当時、鈴木さんは、鎌倉の「小池」という人の家に下宿をしていたそう。
ちなみに、鈴木さんは、ラーメンに限らず、麺類なら、何でも好きだそうです。
漫画の中で、小池さんが、いつもラーメンを食べているのは、藤子さんが、ラーメンが好きだから、と、言うことのようです。