さて、「仲人」というもの。
一体、何をする人なのだろうと疑問を持っていたのですが、特に、調べてみようとも思わなかった。
そして、この本に、「仲人」についての話が。
かつて、結婚をする人は、「お見合い」から始まるのが、一般的だった。
そして、「仲人」とは、「縁談の話を持って来て、取り決める」「それによって挙げられる結婚式、及び、その前後の準備、一切を司る」人、と、言うことだそうです。
つまり、お見合いの段取りをして、両者を会わせるところから、仲人の仕事だったようですね。
てっきり、仲人とは、結婚式に関する、何かの役目をする人だと思っていました。
明治時代、この「仲人」を立てない結婚は、「野合だ」と、非難をされる場合があったそうです。
仲人の存在は、その結婚が、社会的に承認されたものだと示す役割があったそう。
つまり、「仲人」とは、結婚適齢期の男女を、引き合わせ、お見合いが上手く行ったら、その交際を上手く行かせるようにサポートもする。
そして、両者が、目出度く、結婚となれば、その前後の準備の全般を司り、結婚式を挙げる。
更に、結婚をした若い夫婦の生活のアドバイスをするのも、仲人の役目だったということ。
つまり、「仲人」とは、巡り合わせた若い男女のサポートをし、結婚後も、その生活が上手く行くように、サポートをする存在。
と、言うことになるのでしょう。
そして、この「仲人」を務める人もまた、それで「一人前の社会人になった」ということを、証明することだったそうです。
つまり、誰かの「仲人」を務めるということは、自分自身もまた、「一人前の社会人」と、周囲に認められたということになる。
さて、この「仲人」が、「お見合い」の段階から、男女に関わる存在だったとしたら、戦後、「恋愛結婚」が主流になる中で、「仲人」の存在が、減ったのかと言えば、そうではない、と、言うこと。
国の調査では、戦前、約7割だった「お見合い結婚」ですが、90年代には、約1割。
しかし、結婚情報誌の調べでは、1994年でも、結婚式に仲人を立てた人が、6割強も、居たそうです。
つまり、この「結婚式に仲人を立てる」という習慣は、長く、日本の中に残っていた。
いわゆる「頼まれ仲人」というもの。
ドラマや、漫画の中でも、よくありましたよね。
会社員が、結婚をする時に、「誰に、仲人を頼むか」ということで、色々と、悩む。
この上司に仲人を頼めば、出世コースに、自分も、乗れるのではないか。
あの上司に、仲人を頼むと、あの上司が、気分を害するのではないか。
などなど。
しかし、この「結婚式に仲人を立てる」という習慣は、その後、急速に減少し、10年後の、2004年には、1パーセントに急落。
ほとんどの人が、結婚式でも、仲人を立てることが無くなった。
なぜなのか。
背景としては、非正規雇用の増加など、雇用構造の変化。企業意識の低下などが、考えられるということ。
つまり、職場の上司や、先輩に、仲人を頼むということを、しなくなった。
また、結婚とは、あくまでも、個人的で、プライベートなこと。
そのため、他人に関わってもらう必要はないという考えが、社会に広まったということのよう。
しかし、この「仲人」が、結婚に関わらなくなったということは、若い新婚夫婦が、「信頼し、頼ることが出来る第三者」が、居なくなったということでもある。
核家族化で、近くに、頼れる親族が居ない。
都会の中で、人付き合いもなく、頼れる第三者が居ない。
孤立をした生活の中で、出産、子育てと苦労の連続で、子供への虐待や、親の自死など、深刻な事態も起こっている訳で、「仲人」が居なくなったことが、良いことなのか、どうか。
僕は、結婚をすることが出来なかったので、「仲人」というものにも、縁が無かった。
もし、僕が、まともな仕事をしていたら、誰かが、「お見合い」の話でも持って来てくれて、その人を「仲人」に、結婚をすることが出来ていたでしょうかね。