映画「いつか読書する日」。

この映画、個人的に、好きなんですよね。

公開は、2005年。

 

 

主人公は、田中裕子さん演じる「大場美奈子」。

そして、岸部一徳さん演じる「高梨槐多」。

 

美奈子は、50歳。

朝は、牛乳配達の仕事で、昼間は、スーパーで働いている。

これまで、結婚歴はなく、独身で、一人暮らし。

趣味は、本を読むこと、ラジオを聴くこと。

 

高梨もまた、50歳。

役所の児童課に勤める公務員。

高梨には、病気で、余命、わずかな妻が居る。

 

実は、二人は、高校の同級生で、当時、交際をしていた。

しかし、高梨の父親、美奈子の母親は、当時、不倫関係にあり、ある事故で、亡くなってしまう。

親の不倫は、町の知るところとなり、高梨と美奈子も、交際をやめ、距離をとるようになった。

そして、そのまま、別々の人生を歩み、互いに、50歳。

 

二人は、今でも、同じ町に住み、高梨は、毎日、美奈子が配達をする牛乳を飲むのが日課となっている。

そして、もはや、余命、わずかな高梨の妻は、夫が、本当に好きなのは、美奈子であることを知っていて、ある日、美奈子に、ある事を告げる。

そこから、高梨と美奈子の歯車がまた、回り始めるのだが……。

 

互いに、好きなまま、離れなければならなかった。

そして、その思いを抱えたまま、ずっと、近くで、生活をしている。

なかなか、切ない話で、何気ない映画ですが、とても、良かった。

 

さて、この映画を思い出したのは、先日、アマゾンプライムで見た「ガレッジセールミステリー・アンティーク探偵ジェニファー4・消えた花婿」を観賞したため。

 

主人公のジェニファーは、仕事で、古い、有名ブランドのウエディングドレスを手に入れる。

しかし、そのウエディングドレスのポケットの中に、血のようなもののついたハンカチが入っていた。

興味を持って、そのウエディングドレスについて調べてみると、35年前の結婚式で、花嫁が着たものだということが分かる。

しかも、その結婚式では、結婚式から披露宴に向かる、わずかな間に、花婿が行方不明になるという事件が起きていた。

 

この、ハンカチについているのは、花婿の血で、花婿は、殺害されたのではないか。

ジェニファーは、いつものように、好奇心から、勝手に、事件を調べ始める。

 

ハンカチを調べてもらったとこと、それは、確かに、人間の血で、しかも、花婿と、血液型が一致した。

しかし、警察は、いつものように、取り合ってくれない。

ジェニファーは、当時の、結婚式の出席者たちに、聞き込みを始める。

 

その中から出てきたのは、「その日、花嫁と花婿は、結婚式の日とは思えない、険悪な感じだった」ということ。

 

そして、ジェニファーは、結婚式当日のフイルムを手に入れ、それを再生して、見ていると、不自然な出来事に気が付いた。

 

それは、聞き込みの中で、当時、花婿の家の庭師をしていた人の息子が、「花嫁のことは、親しくないので、詳しいことは知らない」と答えていたこと。

しかし、その動画の中で、わずかな時間だが、その庭師の息子(今は、自動車修理の仕事をしている)が、花嫁と、親し気に話をしている様子が、映っていた。

 

その矛盾をジェニファーが知った時、庭師の息子が、警察に出頭し、「花婿は、自分が殺した」と、自白をする。

これで、事件は、解決かと思われたのですが、なんと、花嫁だった女性の方もまた、「花婿を殺したのは、彼ではない。花婿を殺したのは、自分だ」と、警察で、自白をした。

 

花婿は、自分が殺した、と、自白をする二人の男女。

果たして、嘘をついているのは、どちらなのか。

 

ウソ発見器にかけた結果、嘘をついているのは、男の方だということが分かった。

男は、女をかばって、嘘をついていた。

 

実は、当時、庭師の息子、そして、花嫁は、互いに、好意を寄せていて、それは、二人とも、理解していた。

しかし、身分の違い(花嫁は、裕福な名士の家庭の娘、ちなみに、花婿の方も、裕福な家庭だった)から、互いに、恋愛関係に発展させることは無かった。

しかし、結婚式の当日に、花婿は、これから結婚をする花嫁が、自分の家の庭師の息子のことが好きだということを知ってしまい、それに嫉妬をして、庭師の息子を、衝動的に殺害しようとしていたのを、花嫁が発見。花嫁は、庭師の息子を助けようとして、思わず、花婿を殺害してしまったのだった。

 

花婿の遺体を隠した二人は、その秘密を抱えたまま、結婚式以来、35年。

互いに、結婚をすることなく、また、互いに、接触をすることなく、互いの人生を過ごして来た。

しかし、お互いのことを、好きだという感情は、35年の間、変わらない。

 

この二つの物語。

どちらも、長い間、互いに好意を持ち続けながらも、意識して、距離を取り続けたということ。

そして、その思いは、何年絶っても、変わっていない。

そこが「美しい」ということになるのでしょうが、おそらく、これは、「離れているから」こそ、互いへの感情が、変化をしないのでしょうね。

好きだからといって、一緒にいる時間が増えれば、互いに、嫌な面も見えて来る。

それでも、一緒に居られるのかどうか。