映画「危険な女」を鑑賞。

公開は、1959年。

原作は、松本清張の小説「地方紙を買う女」ということ。

映画は、55分と、短いもの。

この映画の他にも、小説「地方紙を買う女」は、何度も、テレビドラマ化されているようですね。

それだけ、有名な作品ということになるのでしょう。

小説「地方紙を買う女」は、この短編集の中に、収録をされているようです。

 

 

さて、映画の方の物語。

 

ある小さな売店で、一人の女性が、ある地方紙を探していた。

「昨日の分は」

と、女性は、売店の男に聞く。

「昨日は、来なかったじゃないか」

「毎日、取っといてくれって言ったでしょう。この新聞の連載小説を楽しみにしているんだから、毎日、読まないと駄目なのよ」

「じゃあ、明日、また、手に入れておきますから」

このやり取りを、偶然、売店に来た男が聞いていた。

男は、「杉本」と言い、その小説を書いている作家。

こんな、若くて美人の女性が、自分の小説を楽しみに読んでくれているのかと、女性に、関心を持つ。

 

翌日、その新聞社で、杉本は、編集者に「君の小説には、色気が無い。だから、女性に人気が無いんだ」と言われ、「いや、僕の小説にも、女性のファンがいる」と、小説を楽しみに、地方紙を買っている女性が居たという話をして、その新聞社の馴染みの女性記者「篤子」に、その女性のことを調べてもらうことにした。

 

女性の名前は、「潮田芳子」と言った。

あるバーで、働いている。

夫は、結核で、療養中。

バーで働いているのは、夫の療養のためのお金を稼ぐため。

 

しかし、その直後、杉本は、売店で、芳子が、新聞を買わなくなったことを知る。

理由を聞くと、売店の男は、「小説が、つまらなくなったからと言っていた」と、杉本に話す。

小説は、あれから、次第に、面白くなって行っているはず。

何かおかしいと、杉本は感じ、少し、調べて見ると、芳子が新聞を買わなくなった直前、その新聞に、ある男と女の心中事件の記事が載っていた。

そして、その日の同じ新聞の記事のある写真に、心中をしたという男女の姿と、芳子らしき女性の姿が写っているのを見つけた。

芳子が、毎日、その新聞を買っていたのは、この心中事件と関連があるのではないか。

そう思った杉本は、自分で、芳子に接近。

芳子に、あるかまを掛けてみることにする。

 

さて、小説と映画とでは、やはり、物語に、多少の違いがあるのでしょう。

映画の方では、物語の展開に、やや、強引かと思える部分もありましたが、なかなか、面白いことは、面白い。

 

やはり、昔の日本の映画は、良いですね。

個人的に、昔の日本映画が好きなのは、その当時の日本の社会、風俗を見ることが出来るというのも、一つ。

 

若い頃の大滝秀治さんが、悪い男の役をしていましたね。

主役の「杉本」を演じていた芦田伸介さんや、「芳子」を演じていた渡辺美佐子さんは、名前だけなら、知っているといったところ。

 

この小説「地方紙を買う女」は、テレビドラマとしては、1957年、1960年、1962年、1966年、1973年、1981年、1987年、2007年、2016年と、9回も、映像化されているようですね。

松本清張に詳しい人としては、有名な作品ということになるのでしょうか。

 

2016年のドラマで、杉本を演じたのは、当時、72歳の田村正和さんということ。

見ておけば良かった。