さて、「数学」によって、「宇宙」のことを説明することが出来るのなら、その瞬間の宇宙の状態を、完璧に把握することが出来れば、未来の宇宙を正確に予測することが出来るのではないか。
そう考えたのが、フランスの数学者「ピエール=シモン・ラプラス」です。
この考えは、「ラプラスの悪魔」と呼ばれるものですが、実は、「宇宙の、その瞬間の状態を、完璧に把握する」ということは、不可能だということが、「量子力学」の登場によって、明らかにされました。
ドイツの物理学者「ヴェルナー・ハイゼンベルク」という人物が、ある不思議な事実に、気がつきます。
電子の運動量(p)と、位置(x)のかけ算が、(p*x)と(x*p)では、答えが異なるということを発見したのです。
なぜ、このような不思議なことを起こるのか。
このハイゼンベルクの論文を読んだ、ドイツの物理学者「マックス・ボルン」は、この電子の不思議な性質が、数学の「行列」と同じだということに気がつく。
この「行列」もまた、かける順序を入れ替えることで、答えが異なるそうで、これを「非可換性」と言うそう。
ここから、量子力学の一つ「行列力学」が、誕生する。
ここでもまた、純粋な「数学」だったものが、「宇宙」の構造に、関わることになる。
さて、ハイゼンベルクが、「なぜ、運動量と位置が、非可換なのか」ということを考えます。
ここから生まれたのが「不確定性原理」です。
つまり、「粒子の位置と、運動量は、その両方を、同時に決めることは出来ない」ということ。
これは、「量子」の、不思議な性質です。
量子は、必ず、「不確定」であり、この先、どうなるのかは、「確率的」にしか、分からない。
そのため、「ラプラスの悪魔」は、存在しない。
さて、今後、物理学では「一般相対性理論」と「量子力学」の融合が、大きなテーマだそうで、それは「量子重力理論」と呼ばれます。
しかし、この「量子重力理論」を構築するには、今の「数学」の理論だけでは無理のようで、新しい「数学」が必要となる。
そして、今、「超ひも理論」から登場した「ミラー対称性」が注目をされているそう。
この「ミラー対称性」とは、「数学的(幾何学的)には、全く、異なるように見えるものが、同じ物理法則を導く」という不思議な現象。
この「ミラー対称性」は、「超ひも理論」から離れて、今では、純粋に「数学」として、研究が進んでいるということ。
数学から、物理へ。
物理から、数学へ。
なかなか、面白い。