雑紙「ニュートン」の今月号。
特集は、「宇宙と数学」ということで、早速、購入。
個人的に、昔から不思議に思っていること。
それは、「なぜ、数式を解くことで、宇宙の状態が分かるのか」ということです。
特集記事を読むと、この疑問は、僕だけのものではなかったようですね。
ハンガリー出身の物理学者「ウィグナー」は、「数学」と「宇宙」が、一致することを不思議に思い「数学の自然科学における不合理な有効性」という論文で「数学の自然科学における途方もない有効性は、ほとんど神秘的なものであり、それについての合理的な説明は存在しない」と、その論文の中で述べているということ。
また、アインシュタインも、「宇宙で最も理解できないことは、それが理解可能であるということである」という言葉を残しているそうで、「宇宙が理解できる」というのは、もちろん、「数学を手段にして」ということ。
さて、本論に入るのは、少し、置いておいて、まずは、プロローグのようなものを、昔、読んだ、いくつかの本から。
数学というものは、もちろん、この「宇宙」の仕組みを説明するために考え出されたもの、と、言う訳ではありません。
元々は、人間が、社会の中で生活をして行く上で、必要だったので、使われ始めたものなのでしょう。
人類は、知能を持った時から、「物を数える」ということは、自然に行われていたのだろうと思います。
例えば、食糧である木の実が、「一つ」「二つ」「三つ」と、数えなければならない。
そして、その木の実を、仲間の中で、平等に分けるということになれば、もしかすると「割り算」のようなものも、行われていたのかも知れない。
そうだとすれば、その逆である「かけ算」のようなものも、自然に生まれたものと思います。
そして、数学が、発展をすることになったのは、「0」という数字が生まれたことで、これは、5世紀のインドで生まれたということのよう。
もちろん、それ以前から、世界の様々な文明で、高度な数学が使われていたことは、建造物や、残された記録によって、分かっている。
しかし、「0」を、「数字」として認識をしたのは、これが最初ということのよう。
そして、「0」が、「数字」ということになれば、不思議なことが生まれます。
このように、数直線上に「0」を置くと、右には「1、2、3、4、5」と数字が続くのは、理解出来ますが、「0」より、左に来る数字は、どう理解をすれば良いのか。
この問題に、右の数字には「+」、左の数字には「ー」を付けて、便宜的に、理解をすることにした。
しかし、これは、あくまでも、数学という学問の中で、便宜上、設けられた決まり事で、この「ー」の数字は、実生活には、役に立たないと、当初は、思われていたそうですね。
しかし、この「-」の数字は、その後、実生活でも、必要で、欠かせないものになる。
例えば、「借金」。借金の「ー」は、増やしたくないもの。
そして、「気温」。「ー」の温度は、あまり、体験したくない。
さて、このように、数学を歴史を見ていくと、色々と、面白いことが分かる。
当初は、あくまでも「数学」という学問の中で、純粋に、概念として生み出されたものが、その後、不思議と、実生活に合致し、応用されるようになる。
高校生の数学の授業で学ぶことになる「i」という数字。
この「i」を、授業で習った時、とても、不思議に感じたんですよね。
この「i」は、「虚数」と呼ばれ、「2乗すると『ー』になる数」ですよね。
果たして、このような数が、必要なのか。
そして、実社会で、何かの役に立つのか。
とても、疑問でした。
この「i」は、数学の発展の歴史の中で、「二次方程式」を解くために、生まれたもの。
この「二次方程式」を解こうとすると、どうしても、「2乗すると『ー』になる数」が、必要になって来る。
中学の数学の授業では、こういう場合、「解なし」という答えにするように習ったはず。
そして、数学の歴史としても、この場合、「解は無い」という扱いがされていたようです。
しかし、この「二次方程式」の解を出すために、「2乗すると『ー』になる数」として、便宜上、「i」を使うことが決められ、全ての「二次方程式」に、解を出せるようになった。
しかし、当初、この「i」も、実生活には、必要の無いものを考えられていたはず。
しかし、今、そうではない。
この「i」は、物理学の中で、非常に、重要なものとなっている。
上の式は、「量子力学」で、非常に重要な「シュレーティンガー方程式」です。
この中に「i」が、存在している。
つまり、「i」という数字が無いと、最先端の物理学である「量子力学」の研究は出来ない訳で、ここでも、純粋に、概念から生まれた数が、実生活に、欠かせないものとなっている。
なぜ、「数学」によって、「宇宙」そして「この世界の様相」が、説明出来るのか。
とても、不思議です。
雑紙「ニュートン」の特集については、次回。