前回、放送された、NHKの大河ドラマ「べらぼう」。
平賀源内が、亡くなりましたね。
安田顕さん演じる平賀源内は、はまり役でしたよね。
安田顕さんを主演に、平賀源内の生涯をドラマにして貰いたいと思うところ。
平賀源内は、牢の中で病死することになる訳ですが、なぜ、平賀源内が、獄中で死亡することになったのか。
人を斬って、牢屋に入ったことは確かなようですが、なぜ、平賀源内が、人を斬ったのか。
その経緯については、いくつか、説があるようですね。
ネットで調べて見ると、有力な説は、二つ、あるようです。
一つは、高松藩の家老が残した記録。
それによれば、ある大名の庭の普請を、源内は、ある町人と共に、請け負うことになったそうです。
しかし、その経緯には、ちょっとしたトラブルがあり、源内は、和解のために、町人と一緒に、家で、酒を飲むことに。
翌朝、源内が目を覚ましたところ、普請に関する書類が無い。
源内は、町人が盗んだものと思い、口論の末、町人を斬ってしまったというもの。
一つは、斉藤月岑という人物の残した記録。
この記録によれば、動機は、よく分からないようですが、親しい人物、二人が、源内の家に泊まり、翌朝、その二人と、源内が口論になり、源内は、二人に斬りかかる。
そして、一人が亡くなり、一人が、軽傷を負ったというもの。
どうも、源内は、この事件を起す前から、精神的に不安定な状態にあったようですね。
時折、癇癪を起すようなこともあったようなので、何か、突発的な、何かがあったのだろうと想像をするところです。
やはり、平賀源内は、様々な分野に才能溢れる人物でしたが、何か、一つのことを貫徹することが出来なかった印象。
そして、源内が、最も、力を入れていたと思われる、鉱山開発などの「産業の発展」を目指したものは、ことごとく、失敗に終わった。
やはり、忸怩たる思いがあったのではないでしょうかね。
年齢も、50歳を超えて、焦りから、精神的に追い詰められた部分もあったのかも。
ドラマでは、謀略によって、源内を陥れる格好になっていましたね。
煙草の中に、何か、薬物が仕込まれ、それで、源内には、幻覚、幻聴が起こるようになる。
そして、意識を失ったところ、殺人事件の容疑を掛けられてしまった。
当然、源内本人もまた、自分が、何をしたのか、分からない。
なかなか、面白い脚本でした。
獄死をした平賀源内ですが、その墓を、親交の深かった杉田玄白が、自費で建てることになる。
そして、墓碑銘の中には「ああ非常の人、非常を好み、行いこれ非常、なんぞ非常に死するや」と、書かれているそうです。
当時、平賀源内を知る人にとって、源内は「非常」な人だったのでしょう。
つまり、普通の人間では無かった。
さて、平賀源内と親交の深かった杉田玄白。
著書である「蘭学事始」の中でも、平賀源内について、触れています。
杉田玄白は、「蘭学事始」の中で、平賀源内を「生まれつき物の理解が早く、才能が優れ、時代の風潮にかなった人物」と評している。
エピソードも、いくつか。
オランダの「カランス」というカピタンが江戸に来た時、宿所で、酒宴があった。
カランスが、一つの「金入れ袋」を出して、「この袋の口を開けて見て下さい。開けられた人に、これを差し上げましょう」と言ったそう。
その袋の口は、「知恵の輪」のようになっていた。
酒宴の客は、次々と試してみたが、誰も、開けることが出来なかった。
が、それを手にした源内は、しばらく考えた後、その口を、見事に開けてみせる。
そこから、源内とカランスの交流が始まったそう。
また、ある日、カランスが、「スランガステーン」という碁石のようなものを取り出し、源内に示した。
源内は、その「スランガステーン」について、色々と質問をする。
翌日、源内は、その「スランガステーン」と同じ物を持って来て、カランスに示した。
カランスの持っていたものは、インドのセイロンで手に入れたもの。カランスの聞いた話では、これは「大蛇の頭の中から出る石だ」と言う。
しかし、源内は、「これは、龍の骨で作ったものだ」と反論。
カランスは、「龍は、この世に存在しない。どうして、その骨で作ることが出来るのか」と、更に、反論する。
そこで、源内は、小豆島で取れた龍歯につづいている龍骨を見せ、「これが龍骨である。私がお見せした『スランガステーン』は、この龍骨で作ったものである」と言い、それを聞いたカランスは、大変、驚いたということ。
ちなみに、「龍骨」とは、ネットで調べると大型哺乳類の化石で、生薬として使われたそうです。
ゾウやサイ、馬、鹿、イノシシ、ナウマンゾウなどの化石だそう。
まさに「本草学者」としての平賀源内の面目躍如。
さて、獄死した平賀源内ですが、実は、密かに、田沼意次によって牢から助け出され、田沼の領内で暮らしたとか、故郷の讃岐に戻ったという説もあるようです。
しかし、これは、よくある「英雄が、実は、生き延びていた」という伝説の一種でしょう。
平賀源内の生涯。
ぜひ、時代劇で、見てみたいですね。