宮沢賢治の小説「北守将軍と三人兄弟の医者」。
この小説は、如何にも、童話らしい童話、と、言った感じです。
北守将軍が、名前を「ソンバーユー」と言い、30年もの間、大軍を率いて、砂漠で戦っていた。
そして、戦争を終え、首都「ラユー」の町に凱旋をしたソンバーユーですが、長い間、馬に乗り、戦い続けたため、馬から降りることが出来なくなってしまっていた。
王様の使者として来た大臣は、馬から降りないソンバーユーを、謀反の疑いがあると言う。
ソンバーユーは、何とか、馬から降りることが出来るようにと、医者を訪ねることにした。
ラユーの町には、三人の名医が居た。
一番上の兄、「リンパー」は、「人」を診る医者。
二番目の弟、「リンプー」は、「馬や羊」を診る医者。
三番目の末っ子、「リンポー」は、「草や木」を診る医者。
そして、ソンバーユーは、三人の医者を、次々と訪ね、問題を解決してもらう。
無事、馬から降りることが出来、普通の人に戻ったソンバーユーは、王様と面会。
ソンバーユーは、将軍を引退することを王に伝え、後継者を指名し、三人の医者を、王に推薦する。
引退したソンバーユーは、生まれ故郷の村に戻り、そのうち、姿を消した。
みんなは、「将軍様は、仙人になった」と言い、お堂を建てる。
しかし、リンパー先生は、「自分は、将軍様の身体をよく知っている。どこかに、お骨があるだろう」と言った。
さて、この「北守将軍と三人の医者」について、ネットで調べてみると、宮沢賢治は、「西域」を舞台にした小説を、いくつか、書いているそうですね。
この小説もまた、その中の、一つ。
この「西域」とは、中国の西方の地域。
井上靖の小説「敦煌」なども、西域を舞台にしたもので、面白そうなので、いつか読もうと思いつつ、まだ、未読。
この「北守将軍と三人の医者」は、宮沢賢治が、生前で発表をした小説の中の一つ。「児童文学」に掲載されたそう。
しかも、10年に渡って、改稿が続けられていたそうですね。
ちなみに、上の角川文庫「セロ弾きのゴーシュ」に収録されたている作品は、宮沢賢治が、生前に発表した小説の全てを収録。
そして、付録として、二作品が、収録されているということ。
この作品の中の軍歌は、「唐詩選」を元にしているものだそうですね。
宮沢賢治は、このようなものにも、関心を持っていたんですね。
幅広い知識です。