漫画「ドラえもん」の第8巻に「マッドウオッチ」という一話があります。

 

 

この話を読んでいて、秘密道具が、「驚時機」(きょうじき)と書かれていたので、これは「狂時機」ではなかったかと、ネットで調べて見ると、やはり、かつては「狂時機」だったものが、改変されているようですね。

やはり、「狂」という字が、「不適切」と判断されたのでしょうかね。

 

この話。

子供の頃は、特に、何も思うことなく、読んだのですが、「相対性理論」や「時間」に興味を持って、色々と、本を読んでいる今となっては、なかなか、面白い話。

 

冒頭、のび太は、ママに、何か、説教をされている。

ママの説教は、一時間は、続く。

もうすぐ、静香ちゃんが遊びに来るのに、何とかならないかと、ドラえもんに相談。

そこで、ドラえもんが、取り出したのが「狂時機」です。

 

この「狂時機」は、「時間」を、限られた範囲で、コントロールすることが出来る。

この「狂時機」を持って、ママの前に戻った、のび太は、部屋の時間を、早回しにする。

のび太を除いて、部屋の中の「時間」は、早く、流れる。

長時間、怒り続けたママは、疲れて、説教を終えるが、部屋の外の「時間」は、それほど、経っている訳ではない。

 

そして、ドラえもんは、のび太に「狂時機」を返すように言うが、のび太は、その部屋の「時間」を遅らせ、ドラえもんを残して、部屋を出る。

たまたま、部屋の前を通りかかったママは、部屋の中で、ほぼ、動かない、ドラえもんを見て、中に入るが、ママもまた、その部屋の「時間」の流れに取り込まれる。

 

そして、家に遊びに来た静香ちゃん。

のび太は、部屋の「時間」を遅らせ、ほぼ、動かない、静香ちゃんの姿を眺める。

 

いつの間には、眠ってしまった、のび太を、静香ちゃんが、起す。

のび太は、慌てて、「時間」を、元の流れに戻す。

 

静香ちゃんが、帰るために部屋を出る。

それを、追いかけた、のび太は、部屋の中で、ほぼ、止まっている、ドラえもん、ママ、パパの姿を見て、慌てて、「時間」の流れを、元に、戻す。

 

そして、静香ちゃんと、家の外に出ると、すでに、夜になっていた。

 

この、不思議な「時間」の流れ。

なかなか、面白いですよね。

この「時間」というものを、自由にコントロールすることが出来れば、色々と、面白いことが出来る。

 

実は、「相対性理論」によると、車に乗って走っている人は、ただ、道に立っているいる人と比べると、「時間」の流れが、遅くなる。

新幹線に乗っている人は、更に、「時間」が、遅く流れ、飛行機に乗っている人は、更に、「時間」が、遅く流れる。

しかし、その差は、ごくごく、僅か。

この「時間」の流れの差を、実感するには、光速に、近づかなければならない。

 

さて、同じ、藤子F不二雄さんのSF短編に「倍速」という話があります。

 

主人公の「倉札」は、何をしても、人より遅い。

いわゆる「ノロマ」な人。

そのため、何をしても、上手く、行かないし、周囲の人と、上手く、行かない。

就職をしても、目立たないように、ひっそりと生きている。

 

しかし、この倉札は、ある時、マッド・サイエンティストの「魔土災炎」に出会い、「倍速時計」というものを貰う。

 

この「倍速時計」は、持っている人が、周囲の「時間」の流れを、コントロールするためのもの。

いつも「ノロマ」で、失敗ばかりの倉札は、この「倍速時計」を使って、周囲の時間を、わずかに遅らせることで、「素早く」行動できる人間に変わり、周囲から、驚かれることに。

 

 

この、何となく「ノロマ」な人。

周囲を見ていると、確かに、居ますよね。

でも、本人にとっては、わざと「ノロマ」にしている訳ではなく、それが、自分のペースなのでしょう。

そういう人は、生きて行く上で、損をすることが多いのではないかと想像します。

 

例えば、仕事、働く時など。

自分は、一生懸命、仕事をしているつもりでも、周囲からは、のんびりとしているように見えてしまう。

そのため、「急げ」「早くしろ」と、怒られることになるのでしょう。

そして、同僚たちからも、「あいつ、真面目に、仕事をしていない」と、悪い目で見られてしまう。

これでは、なかなか、会社に、居づらいという経験をすることも多いでしょう。

 

人には、それぞれ、その人の「ペース」というものがある訳ですが、社会に出ると、特に、「仕事」という環境では、なかなか、それは、許されない。

僕にも経験がありますが、辛いことです。