宮沢賢治の小説「やまなし」。
こちらもまた、素晴しく、良い小説です。
小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。
と、冒頭に書かれています。
「クラムボンはわらったよ」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ」
「クラムボンは跳ねてわらったよ」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ」
とても、印象的なフレーズ。
まるで、詩を読んでいるよう。
「クラムボンはわらっていたよ」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ」
「それならなぜクラムボンはわらったの」
「知らない」
この「クラムボン」とは、何でしょう。
色々な説があるようですね。
個人的には、宮沢賢治の創造した生き物のような気がする。
蟹の子供たちが、川の底から、上を見て、話をしている。
一匹の魚が泳いでいるが、突然、何かが、飛び込んで来て、飛び込んで来たものと魚は、姿を消す。
十二月。
大きくなった蟹の子供たち。
泡を吐きながら、月光の中、上を見ている。
兄と弟、どちらの泡が、大きいか。
その時、何かが、天井から落ちてきて、また、浮かび上がる。
それは、「やまなし」だった。
よく熟して、おいしそうな「やまなし」。
あと二日も待てば、「やまなし」は、自然に、下に沈み、美味しい、お酒が出来る。
親子の蟹は、自分の穴に帰って行く。
さて、この小説は、「青い幻燈」と書かれている。
そして、「雪渡り」では、四郎と、かん子は、キツネの「幻燈会」に出かけて行く。
この「幻燈」というもの。
僕は、藤子不二雄「オバケのQ太郎」で、初めて、知りました。
正ちゃんとQちゃんが、手作りの「幻燈機」を作り、上映会をするという話。
確か、その「幻燈機」の作り方も、物語の中で、紹介されていた。
写真とか、絵とか、何でも、壁などに、大きく映し出すことが出来る。
藤子不二雄A「まんが道」でも、手作りの「幻燈機」で、二人で、上映会をするエピソードが登場します。
藤本さん、我孫子さんの二人が、子供の頃に、実際に、経験したことなのでしょう。
昔は、学校で「スライド」を見ることがありましたが、この「スライド」は、「幻燈機」と似たようなものですよね。
恐らく、今の学校には、そのようなものは無いでしょう。
もっと、手軽で、便利なものがありますからね。