宮沢賢治の短編「土神ときつね」。

どうも、奇妙な小説です。

 

 

何が「奇妙」なのかと言うと、この物語、男女の三角関係を描いている。

 

樺の木、これが、女性です。

この樺の木を、キツネと、土神の、二人の男が、恋をしている。

 

キツネは、言わば「軽い男」で、調子の良い話で、樺の木の気を引いている。

土神は、言わば「堅い男」で、樺の木の気を引きたいのだが、どうも、上手く行かない。

そして、土神は、キツネに対して、嫉妬の炎を燃やす。

 

そして、最終的に、嫉妬に狂った土神は、キツネを、思わず、殺してしまい、後悔をする。

 

なぜ、このような「男女の三角関係」、そして、「嫉妬」の話を、「童話」という形式で書いたのか。

ここが、どうにも、奇妙なところです。

一体、宮沢賢治は、この小説を、誰に読ませようと思ったのでしょう。

個人的には、子共に読ませるような内容ではない気がする。

 

宮沢賢治に、「女性」のイメージは、全く、無く、生涯、結婚をしていないということは知っていたのですが、ネットで、経歴を調べると、中学卒業直後、入院をした時に、病院の看護婦に恋をし、「結婚をしたい」と両親に話したのですが、「若すぎる」ということで反対され、結婚をすることが出来なかったそうですね。

また、高瀬露という女性が、宮沢賢治に好意を持ち、一時、積極的にアプローチをしていたものの、どうも、高瀬露の情熱的な行動を、宮沢賢治は、厄介に思うようになり、結局、失恋。

高瀬露は、賢治を恨み、周囲に賢治の悪口を言いふらしたとか。

 

しかし、どうも、この高瀬露と、宮沢賢治との間の逸話は、多くの創作が加えられているという話もあるようです。

 

やはり、宮沢賢治も、男女の問題で、色々と、悩んだのでしょうね。

その結果、「土神ときつね」が書かれたのかも。