漫画「ドラえもん」の第七巻に「ママのダイヤを盗み出せ」という一話が、収録されています。

 

 

ある日、のび太は、物置の隅で、ママの子共の頃のアルバムを見つける。

そのアルバムを、懐かしく見ていたママだったが、ママのお母さん(つまり、のび太の母方の祖母)が、写真の中で、大きなダイヤの指輪を付けているのを見つけて、悔しがる。

 

「このダイヤの指輪は、自分が、お母さんから貰う約束をしていたのだが、無くなってしまった。その時に、怪しい二人組が居たので、その二人が、盗んだのに違いない」

 

ママは、のび太に、そう話す。

その大きなダイヤの指輪。お金に換算すると、一体、いくらになるのか。

 

のび太と、ドラえもんは、タイムマシンに乗って、そのダイヤの指輪を確保することにする。

そして、過去に向かった、のび太と、ドラえもんは、子共の頃のママに出会うが、当然、ママは、のび太と、ドラえもんのことなど、知るはずがない。

 

ママは、お母さんから、ダイヤの指輪を貰う約束をし、その指輪を持って、空き地に「お嫁さんごっご」をしに、出かける。

しかし、「お嫁さんごっご」の途中で、紙芝居屋が、やって来て、ママと、その友達は、ダイヤの指輪を放り出し、紙芝居を見に行ってしまう。

 

その様子を見ていた、のび太と、ドラえもんは、「仕方ないな」と、ダイヤの指輪を拾い、「さすがに、このまま、持って帰るのはマズいだろう」と、ママのお母さんに、ダイヤの指輪を返しに行く。

すると、ママのお母さんは、「それは、ガラス玉よ。良い機会だから、持っていって」と、その指輪を、のび太と、ドラえもんに渡す。

 

ダイヤの指輪を無くしたと思い込んだ、子共のママは、お母さんに叱られながら、空き地で、指輪を探すハメに。

 

「きっと、あの、怪しい二人組が、持って行ったのよ」

 

と、ママは、恨み節を、言う。

 

つまり、「ダイヤの指輪を持って行った、怪しい二人組」とは、のび太と、ドラえもんのことで、この二人が、未来から来て、指輪を持って行ったことで、指輪は、無くなった、と、言うことになる。

 

この「タイムパラドックス」は、タイムトラベルものでは、よく使われる物語の流れですよね。

つまり、「タイムマシンに乗って、過去に行き、その過去を変える」という行為は、すでに、「時間の流れ」の中で、決まっていたことだった、と、言うこと。

映画「ターミネーター」の第一作が、このパターン。

 

 

さて、この「過去に行って、過去から、物を、未来に持って帰ると、どうなるのか」。

 

これを、とても、面白く描いたのが、映画「サマータイムマシンブルース」です。

公開は、2005年。

 

 

ネットで調べて見ると、元々は、舞台で上演された作品だそうですね。

この話が、舞台で、どのような演出になっているのか、興味のあるところですが、映画は、とても、面白い。

 

ある大学にあるSF研究会。

夏休みのある日、このSF研究会の部室に、何と、タイムマシンが現れる。

暑い夏の日に、部室のリモコンが壊れてしまった。

「昨日に行って、壊れていないリモコンを、持って来たら良いんじゃないか」

と、言う話になる訳ですが、ここから、とんでもない大騒動が巻き起こることに。

 

SF研究会の部員たちは、タイムマシンに乗って、「昨日」と「今日」を、行ったり、来たり。

この「タイムトラベル」による伏線が、様々に張り巡らされ、一度、見ただけでは、よく分からないところも、二度、三度と見ていると、「ああ、ここは、こうなっていたのか」と、分かるようになる。

 

瑛太さんの、映画初主演の作品だそうですね。

そして、瑛太さんが、恋心を抱いているカメラクラブの女子学生の役で、まだ、ブレイクをする前の、上野樹里さんが出演している。他に、ムロツヨシさん、真木よう子さんも出演しています。

 

この映画の冒頭近くで、部員の一人が「俺のビダルサスーンが無い」と騒いでいるシーンがあります。

銭湯に入っている時に、自分の使っているシャンプーの「ビダルサスーン」が、無くなってしまった。

 

実は、このシーン。

 

その部員が、「昨日」無くなってしまった「ビダルサスーン」を、取り返そうと思って、「明日」から、タイムマシンに乗って「昨日」にやって来て、自分から「ビダルサスーン」を盗んだということになる。

だから、「ビダルサスーン」は、消えてしまった。

これは、「ママのダイヤを盗み出せ」と、同じ、時間の流れの構図。

 

監督は、あの「踊る大走査線」の本広克行さん。

そういえば、「踊る大走査線」シリーズは、今後、どうなるのでしょうね。

また、織田さん演じる青島を主人公に、制作されるのかどうか。