映画「桜の園」を観賞。

公開は、1990年。

 

 

原作は、吉田秋生さんの漫画「桜の園」ですが、映画は、雰囲気は残しつつも、大きく、改変されているので、別物と思った方が良いでしょう。漫画も、とても良い漫画で、大好きな漫画です。

 

 

さて、映画「桜の園」ですが、今回の観賞で、二度目。

一度目の観賞は、恐らく、もう25年くらいも前の話で、その時は、いまいち、ピンと来ませんでしたが、今回、二度目の観賞では、とても、良い映画だと思いました。

やはり、年を取ると、色々と、分かることもあるということなのでしょう。

 

基本的には、女性向けの映画だと思います。

この映画を見て、「良い映画」と思う男性は、純粋に、「映画」というものが好きな人だろうと思います。

 

さて、物語。

 

舞台は、「桜華学園」という女子高。

この桜華学園では、毎年、学校の創立記念日に、演劇部が、チェーホフの「桜の園」を演じるのが、恒例になっている。

 

創立記念日当日、午前8時の、少し前。

演劇部の部室で、舞台監督を勤める、2年生の「城丸」という生徒が、彼氏と密会をしている場面から始まる。

ここから、午前10時、舞台「桜の園」が開演するまでの間の演劇部生徒たちの様子が、ほぼ、リアルタイムに、描かれて行きます。

 

主役は、中島ひろ子さん演じる、三年生で、部長の「志水」。

そして、物語の中で、スポットが当てられるのが、志水の他に、白島靖代さん演じる、同じ三年生の「倉田」と、つみきみほさん演じる三年生の「杉山」の二人。

 

冒頭から登場する、宮澤美保さん演じる「城丸」は、狂言回しのような役回り、と、言うことになるのでしょうかね。

午前10時に始まる舞台に向かって、右往左往、走り回ることになる。

 

城丸と密会をしていた彼氏が、部室を出て行くと、ほぼ、入れ替わりに、志水が、部室に入ってくる。

志水は、禁止をされているパーマを、髪にあてていた。

しばらく、城丸と志水が、部室で話をしていると、次々と、部員たちが、部室に集まって来る。

 

しかし、そこで、話題になったのが、杉山のこと。

他の高校の生徒たちと、昨夜、喫茶店でタバコを吸っていたところを警察に見つかったという話で、果たして、これから、どうなるのか。

今日の「桜の園」は、無事、開演することが出来るのか。

 

演劇部顧問の里見先生が、部室に来る。

そして、他の部員たちは、ホームルームに行き、志水と、城丸を相手に、里見先生が、話をする。

これから職員会議で、「桜の園」が行われるかどうかが話されるということ。

そして、杉山も、学校に来ているということ。

 

倉田が、遅れて、学校に来て、部室に入って来た。

電車を乗り過ごしたということ。

ホームルームを終えた部員たちが、再び、部室に集まって来る。

それぞれ、舞台が開演するまでの、練習、準備に、取りかかることに。

 

原作の漫画にしろ、映画にしろ、テーマになるのは、女子高に通う女の子たちの恋愛模様ということになるのでしょう。

漫画と映画では、内容に違いがあるのですが、どちらも、よく描かれている。

 

杉山が、部室に来る。

杉山は、集まっている部員たちに、謝罪をする。

そこに、校内放送で、志水と杉山が、呼び出される。

二人は、部室から、呼び出された部屋に移動するが、そこには、二人だけ。

志水は、杉山から、昨日の事情を聞くが、それは、噂の内容とは、かなり違っていた。

しかし、問題を起したことには、変わりない。

そして、杉山は、志水に言った。

 

「志水さん、倉田さんのこと、好きでしょう」

「何で?」

「見ていると、分かる。そのパーマも、倉田さんに見せるためでしょう」

 

志水は、見透かされていたことに戸惑うが、否定はしない。

 

職員会議では、里見先生が、「桜の園」を開演するために、激しく、議論をしていた。

他の先生たちは、「今年は、中止し、また、来年」と言う。

しかし、今の三年生にとっては、今回が、最後の「桜の園」。

何とか、開演をしたいという里見先生の主張が通り、「桜の園」は、上演が決定する。

 

部員たちは、大急ぎで、舞台に出るために準備を始めることに。

 

さて、今回、映画を見ていて、個人的に、気になったのが、白島靖代さん演じる「倉田」というキャラクター。

 

背が高く、男っぽい見た目で、宝塚の男役のよう。

実際、昨年、二年生の時の「桜の園」では、男性の役をして、下級生には、倉田のファンも居る。

しかし、今回は、女性の役をするということで、悩んでいた。

創立記念日が近づくにつれて緊張が高まり、出来れば、舞台に出たくないと思っている。

今日、遅刻をして来たのも、そのため。

 

舞台の中止が無くなったということで、部員たちは喜んでいたが、倉田は、志水と二人になった時、内心を打ち明けた。

 

「火事でも、地震でも良いから、今からでも、舞台が中止にならないか」

「自分には、女性の役は無理だ。男の役だったら、何でも良いのに」

 

志水は、倉田をなだめるが、倉田は、やはり、落ち着かない。

そして、ついに、一人になった時に、火災報知器の非常ベルを押してしまう。

 

この、志水と倉田。二人の話すシーンが、とても、良いんですよね。

女性としての悩み。

志水が、倉田に、優しく、話しかける。

 

そして、志水は、倉田に、「好きだ」と打ち明ける訳ですが、実は、杉山は、志水のことが好きなんですよね。

しかし、志水と倉田が、二人で写真を撮る姿を、離れたところから見るだけで、本心は、打ち明けない。

このシーンも、とても良い。

 

そして、午前10時過ぎ、「桜の園」が開演したところで、映画は、終わる。

 

この「桜の園」には、同じタイトルで、2008年に公開されたものがあるそうですね。

監督も、同じ、中原俊さんですが、どうも、リメイク作品という訳ではないようです。

しかし、どうも、あまり評価は、高いものではないようですね。

面白いのかどうか。