さて、この本から、続いて「双子の星」について。

 

 

この「双子の星」という物語。

とても、読みやすく、また、素直に読めて、分かりやすい。

内容も、少し、ファンタジックな感じもあり、個人的に、気に入りました。

 

まずは、前半です。

 

主人公は、天の川の西に見える「チュンセ童子」と「ポウセ童子」という双子の星です。

二人は、小さな水精のお宮に住んでいる。

二人の仕事は、星の巡り歌に合わせて、銀笛を吹くこと。

 

二人は、歌いながら歩いていると、空の泉に到着する。

そこに「大烏(おおからす)の星」が、水を飲みに、やって来ます。

大烏が、泉で水を飲んでいると、そこに、意地の悪い、「蠍(さそり)の星」が、やって来ます。

蠍の挑発的な言葉に、怒り心頭な大烏。

チュンセ童子、ポウセ童子が止めるのも聞かず、大烏と蠍は、喧嘩になり、二人とも、大怪我をしてしまいます。

 

チュンセ童子、ポウセ童子は、まず、大烏を助け、傷が治った大烏は、野原の向こうに帰って行く。

しかし、蠍の傷は重く、何とか、傷は治したものの、うまく動けない。

チュンセ童子、ポウセ童子は、二人で、大きな蠍を担ぎ、連れて帰ってやることに。

 

大きく、重い蠍の身体は、小さな二人では、うまく運べない。

なかなか、先に進まず、二人とも、疲れて、死んでしまいそう。

そこに、王様の命令で、稲妻が、蠍と、二人を助けに来ます。

稲妻の持って来た薬で、蠍は、身体が治り、稲妻の力で、チュンセ童子、ポウセ童子は、無事に、お宮に戻り、仕事をすることが出来ました。

 

続いて、後半。

 

ある雨の晩、乱暴者の彗星が、チュンセ童子、ポウセ童子を、旅に誘いに来ます。

二人は、怪訝に思ったものの、彗星の口車に乗ってしまい、彗星につかまり、旅に出ることに。

しかし、彗星は、騙した二人を、途中で、振り落としてしまいます。

二人は、どこまでも落ちて行き、ついに、海の底に。

 

その海の底に居たのは「ひとで」たち。

二人は、この「ひとで」たちに、意地悪をされます。

そこに来たのが、大きな鯨。

二人は、鯨にも、いじめられますが、そこに、海蛇が、やって来ます。

 

海蛇は、鯨を一喝し、二人を助けます。

そして、二人を、海蛇の王様のところに連れて行きます。

二人が、空で、蠍を助けたことは、海の中にも広まっていました。

そして、二人を、竜巻に乗せて、空に帰してやることに。

 

二人は、無事に、お宮に戻りました。

そして、空の王様に、これまでの報告をし、また、仕事に戻ることにしました。

 

以上が、物語です。

さて、注釈。

 

この「チュンセ」と「ポウセ」という名前は、賢治と、妹のトシを暗示しているそうですね。

そう考えて読むと、また、違った面白さがあります。

 

大烏(烏座)、蠍(蠍座)が、水を飲みに来た「空の泉」は、夏の天頂付近に見える「冠座」のことだそうです。

 

ちなみに、「ひとで」は、「海星」と漢字で書くそうですね。

 

星を、記号で表すと「☆」ですよね。

これは、「ひとで」の形を同じ。

そのため、漢字で「海星」と書くのでしょう。

ちなみに、英語で、「ひとで」は「スターフィッシュ」と言うよう。

 

なぜ、「星」が「☆」なのでしょう。

 

ネットで調べると、この話は、古代エジプトまで遡るそうです。

 

古代エイジプトでは、「宇宙」を「海」に見立てていたそうですね。

そして、海の中に居る「ひとで」を、「星」に見立てていたそうで、古代エジプトの文字「ヒエログリフ」では、まさに、「星」を「☆」のような文字で表したそうです。

 

ちなみに、こちらの図案。

正確には、「星」ではないそうですね。

 

星を表す「☆」は、「五光星」と言い、上の図は、「五芒星」と言います。

 

この「五芒星」は、メソポタミアで、最古のものが発見されているということ。

つまり、「五芒星」は、「星」とは、全く、関係がない。

 

この「五芒星」は、魔術に使われるものでもありますよね。

 

大好きな佐伯日菜子さん主演のドラマ「エコエコアザラク」でも、黒井ミサは、この五芒星を使って、魔術を使います。