昨日、NHKで放送された「ファミリーヒストリー」。
歌手の、藤あや子さんのお話でしたね。
見ていて、気になったところが、一つ。
それは、24歳で亡くなったという、藤さんの祖母について。
なぜ、藤さんの祖母は、そのような若さで、亡くなってしまったのか。
番組の中で、藤さんの祖母が生きた時代の「農家の嫁」について、一体、どのような存在だったのか、解説が、されていました。
当時、農家に嫁いだ女性、つまり「農家の嫁」は、過酷な労働環境に置かれていたようですね。
何でも、「農家の嫁」は、「角の無い牛」と呼ばれていたとか。
つまり、「農家の嫁」は、「牛のように働け」ということだったのでしょう。
そして、「農家の嫁」が、病気になれば、その治療費は、実家が出すのが普通だったということ。
更に、病気になっても、医者に診てもらうということは希で、基本的には、祈祷師や民間療法に頼るのが、普通だったということ。
藤さんの祖母もまた、「農家の嫁」として、過酷な環境で働き、病気になっても、医者に診てもらうということは、無かったよう。
そして、盲腸の破裂によって、亡くなったそうです。
番組の中では触れられていなかったと思うのですが、恐らく、娘を「農家の嫁」に出す側は、金銭的な見返りを貰っていたのではないでしょうかね。
つまり、「農家に娘を嫁に出す」ということは、「娘を、労働力として、農家に売る」ということと同じだったのでしょう。
だから、病気になって、働くことが出来なくなれば、実家の方が、責任を持って、病気を治すのが当たり前、と、言うことだったのではないでしょうか。
だから、実家が、治療費を出すのが、当然だったのでしょう。
「人権」という考えの無かった時代、「人間」もまた「動産」だったとううことは、以前にも、何度か、書きました。
恐らく、藤さんの祖母が生きた時代には、まだ、そういう風習が、日本の中には、残っていたのでしょう。
この本の中にありましたが、借金の抵当として、「人間」を差し出す時に、証文の中に、「病気などになって、働くことが出来なくなれば、代わりの人を差し出す」と書かれたものもあるそうです。
まさに、「人間」もまた、「物」と同じ。
こういう時代、こういう社会に生まれなくて、良かったと思うところですが、恐らく、今でも、同じようなことで、困難な状況に置かれている「人間」は、多く居ることでしょう。
目に見えていないだけで。