宮沢賢治「注文の多い料理店」から「山男の四月」について。
この「山男の四月」というお話。
ちょっと、変わったお話で、なかなか、面白い。
しかし、ネットを見ていると、宮沢賢治の作品の中では、あまり、評価が高いものなのではないのかな、と、思うところです。
山男が出会った、怪しげな中国人。
山男は、中国人の口車に乗せられて、勧められた薬を飲んでしまう。
薬を飲んだ山男は、何と、自分自身が、薬と薬の箱に変化をしてしまう。
騙されたと思った時には、もう遅い。
中国人は、薬箱になった山男を、他の薬の入った荷物の中に入れる。
薬箱の山男は、他の薬箱たちもまた、自分と同じように、騙されて、薬箱になったということを知る。
何とか、元の身体に戻ろうと、山男は、他の薬箱と話をしながら、知恵を絞る。
さて、結末は……。
ネタバレをしてしまうと、この物語は、「夢オチ」です。
つまり、全ては、山男の見た夢だった。
何で、宮沢賢治は、この物語を「夢オチ」にしたのでしょう。
もう少し、別の展開は、無かったのか。
もっとも、この物語にもまた、色々と、複雑な、隠された意味が込められているのでしょうが、僕には、それを読み解くほどの力はない。
ただ、単純に、なかなか、個人的には、面白いお話でした。