また、新田次郎さんの小説を読もうと「山が見ていた」という短編集を購入。
長編を読むのは、ちょっと、億劫なところ。
少し、読んでみましたが、同じ短編でも、以前、読んだ「強力伝」に収録されていた作品とは、雰囲気が、大きく違いますね。
この「山が見ていた」に収録されているのは、とても、読みやすい文章で、物語も、分かりやすく、コンパクトにまとめられている印象。
エンターテイメント性を重視した、読者を楽しませるための短編小説といったところでしょうか。
やはり、プロの作家としては、こういう作品も書けないと駄目だというところなのでしょう。
さて、冒頭は「山靴」という、ごく短い作品。
主人公の健司は、山が好きなのだが、妻と妻の母が、健司が山に行くことには反対している。
健司は、入り婿で、実家に戻り、実の母親に愚痴をこぼしたりする。
健司は、嘘をついて、山に行こうとするのだが、その嘘は、簡単に見破られ、愛用の登山用の靴を妻に持って行かれてしまう。
どうしても、山に行きたい健司は、頑なに反対する妻と義理の母に愛想をつかし、黙って、友達と山に出かける訳ですが、借りた靴は、自分に足に合わず、雪山の中で、足に凍傷を負い、手術、入院をし、その後、家には戻らす、実家で過ごす。
そして、健司は……。
と、言う話なのですが、個人的には、やはり、「なぜ、そこまで、山に行きたいのか」と、言うのが、よく分からない。
やはり、登山が好きな人は、この短編を読むと、共感が出来るものなのでしょうかね。
もっとも、好きな物を、妻に禁止されたら、結婚生活は、辛いですよね。
価値観の不一致ということで、離婚をしても、仕方が無いでしょう。
さて、少し、余談。
昔、役者の船越英一郎さんが、松居一代さんと結婚をしていて、おしどり夫婦のように言われていた時がありましたよね。
その頃、テレビで、船越さんが、「映画が好きなんだが、家で映画を見るのを禁止されているんですよ。だから、DVDは買うのですけど、見れないの」と、話しているのを見た記憶があり、「これでは、結婚生活は、長くは続かないだろうな」と思ったのですが、やはり、思った通り。
その後、何だか、揉めに揉めていましたよね。
やはり、寛容さが無い人と一緒に居ると、夫婦でなくても、辛いところでしょう。