柳田国男「日本の昔話」から、もう一つ、気になるお話が。
それは、「鶯(うぐいす)姫」というお話。
この「鶯姫」。
昔々、駿河国に住んでいた竹取の翁が、ある日、竹林に入ると、鶯の巣の中で、一つだけ、光り輝いている卵を見つける。
その卵を、家に持って帰ると、その卵が割れ、中から小さな、美しいお姫様が生まれます。
以下、あの有名な「竹取物語」と、全く、同じ話が続きます。
もっとも、語り継がれた話なので、ごく短く「竹取物語」が、まとめられた格好。
普通に考えれば、「竹取物語」が先にあり、その「竹取物語」を、どこかで聞いた人が、子や孫に語り継ぐうちに、「鶯姫」に、何時の間にか、変化をしたということになるのでしょう。
人の語る話というのは、語り継がれるうちに、いつの間にか、変化をして行くもの。
それが、自然です。
しかし、元々、「鶯姫」のような語り継がれた話があり、それを、誰かが「竹取物語」にまとめたという経緯も、考えられない訳ではないですよね。
色々と、考えると、面白い。
そもそも、柳田国男は、どういう意図で、この「鶯姫」を、この本に収録したのでしょうか。
「竹取物語」と同じ話を、なぜ、わざわざ、「日本の昔話」の中に含めたのか。
ちなみに、一般的に「昔話」と聞いてイメージする「桃太郎」「浦島太郎」「一寸法師」などは、この「日本の昔話」には収録されていない。
こういった、「昔話」は、また、別のものなのでしょうかね。