以前、紹介をした「オイラーの公式」「オイラーの等式」と同じように、素人が見て、「何だ、これは」と不思議に思う公式が、もう一つ。
それが、「E=mc²」です。
この公式を導き出したのは、あの「アインシュタイン」です。
この公式、何が不思議なのかと言うと、
「E(エネルギー)=m(質量)c(光速)²」
右辺と左辺を見ると、「エネルギー」と「質量」が、「=」で結ばれている。
「エネルギー」と「質量」って、同じものなの? と、言う疑問。
「エネルギー」というものは、基本的には「物を動かすための力」と、言うことになる。
「質量」とは、一般的なイメージとしては、物質の「重さ」ですが、正確には、物質の「動かしにくさ」ということになる。
具体的には、例えば、鉄の玉は、地球上と月の上では「重さ」は変わりますが、「質量」は変わりません。
ゴムのボールと、鉄の玉を、無重力の中に浮かべると、やはり、ゴムのボールよりも、鉄の玉の方が「動かしにくい」ということになる。
この「動かしにくさ」が、「質量」です。
と、ここまで来ても、なぜ、「エネルギー」=「質量」なのかは、よく分かりませんよね。
そもそも、アインシュタインは、どこから、この公式を導き出したのでしょう。
1905年、26歳のアインシュタインは、「特殊相対性理論」を発表します。
この「特殊相対性理論」は、「ガリレオの相対性原理」と「光速度不変の原則」を組み合わせ、観測者によって、「時間」と「空間」が変化をするということを証明した画期的なもの。
ニュートンは、「時間」も「空間」も、誰に対しても、絶対的に同じものという認識の元、物理の理論を組み上げました。
この「絶対時間」「絶対空間」の考えは、世界の常識だったのですが、アインシュタインは、それを覆し、「時間」と「空間」は、観測者によって変化をし、しかも、この二つは「時空」として、切り離せないものだと「特殊相対性理論」で証明しました。
ちなみに、止まっている人に比べて、動いている人の時間は遅れ、空間は、進行方向に向かって縮みます。
この、時間の遅れ具合、空間の縮み具合は、「ガンマ係数」によって計算出来るそうです。
さて、ここで、アインシュタインは、こう考えます。
「時間と空間が同じものなら、同じ単位で表すことが出来るはずだ」
ということで、それを媒介するのが「c(光速)」でした。
つまり、「c」を媒介にして、「時間」と「空間」の両方を表すことが出来る。
光速は、一秒で、約30万キロ。
つまり、30万キロ=1秒、を基本にして、「時間」も「空間」も表すことが出来るということ。
そして、更に、アインシュタインは、あることに気がつきます。
それは、
「エネルギーの大きさもまた、観測者によって、変化をするはずだ」
と、言うこと。
アインシュタインが、この時、考えた「エネルギー」とは、「光のエネルギー」です。
「光」は、「波」であるのと同時に、「光子」という粒でもあります。
アインシュタインは、同じ1905年に発表した「光量子仮説」の論文で、「光」が「光子」という粒もあるということを証明し、ノーベル賞を受賞しています。
この「光子」は、質量は「0」ですが、「エネルギー」を持っています。
この「エネルギー」もまた「特殊相対性理論」によれば、観測者によって、その大きさが変化をしなければならないという結論になる。
この時、アインシュタインが行った「思考実験」が、上の本に紹介をされていますが、ここで説明をすると、なかなか、ややこしいことになるので省きます。
一言で言えば、この「思考実験」により、「エネルギーを放出すれば、その分、質量が減る」ということを、アインシュタインは、気がつきます。
そして、その「エネルギ-」と「質量」を計算した結果が「E=mc²」ということになります。
この「特殊相対性理論」で、「時間」と「空間」が同じものだと気がついたのと同じように、アインシュタインは「エネルギー」と「質量」もまた、同じものだということに気がつく。
それが「E=mc²」です。
「時間」と「空間」が、同じ単位で表すことが出来るように、「エネルギ-」と「質量」もまら、同じ単位で表すことが出来ます。
それを媒介するのが、「c(光速)²」です。
アインシュタインは、また同じ1905年に、この「E=mc²」についての論文も発表。
このアインシュタインの公式が正しいということは、1932年、イギリスの物理学者「ジョン・コッククロフト」と「アーネスト・ウォルトン」の実験で確認されました。
水素の原子核を加速し、リチウムの原子核にぶつけると、2個のヘリウム原子核が出現。その時、質量の総量の0.2パーセントが減ったということ。
この時に減った質量と、生じたエネルギーの量を計算すると「E=mc²」と、ほぼ、一致をしたということ。
さて、この「E=mc²」の公式によれば、一円玉1枚(約1グラム)を、全て、エネルギーに代えることが出来れば、日本の家、約8万3千戸の1ヶ月分のエネルギーを生み出すことは出来るそうです。
ちなみに、広島に落とされた原子爆弾は、わずか1グラム弱の質量をエネルギーに代えたもの。
とてつもないエネルギーですが、なぜ、このようなことが起こるのか。
それを理解するには、まだ、勉強不足です。