「三角関数」と聞くと、拒否反応を起す人も、多いのではないでしょうか。
中学、高校の数学の中に登場する「三角関数」は、とても、難しく、よく分からない。
僕自身、数学というものが、あまり得意ではなく、その中でも「三角関数」は、最大の難関だった。
以前、どこかの議員が「三角関数など、日常生活に必要ないので、学校で教える必要は無いのではないか」という趣旨の発言をして、ネットの記事などに取り上げられていました。
ここに「三角関数」が登場するということは、この「三角関数」が、難解なものだという感覚が、その議員にもあったということなのでしょう。
しかし、この議員の発言は、全くの無知から来るもの。
「三角関数」は、「日常生活に必要ないもの」どころか、「日常生活のあらゆるところで必要なもの」というのが、上の本を読めば、分かります。
そもそも、「三角関数」が、なぜ、生まれたのか。
元々は、古代の天才たちが、「三角形」の特長に気がついたことが始まりです。
その中でも、特に「直角三角形」。
この「直角三角形」を使えば、実際に、測ることが出来ないものでも、長さ、距離を測ることが出来ることに気がつきます。
これを「三角法」と言うそうです。
古代ギリシャの哲学者タレス(紀元前624年頃~前547頃)は、この直角三角形を利用して、エジプトのピラミッドの高さを計算しています。
また、岸から海に浮かぶ船までの距離も、この直角三角形で測ることが出来ることを示したそうです。
また、同じ古代ギリシャの地理学者エラトステネス(紀元前275頃~前194頃)は、この直角三角形を応用して、地球の外周の距離を計算しています。
その計算結果は、4万6千キロメートル。
現在、地球の外周の距離は、約4万キロメートルと測定されているので、それほど、誤差な無い。
また、古代の天文学者たちは、この「三角法」を使って、夜空に光る星の位置を、正確に測定していたそうです。
紀元前2世紀頃に活躍をした天文学者ヒッバルコス(前190頃~前120頃)は、この「三角法」で使用する、角度から距離を求める数値を一覧表にしたそうです。
これを、更に、発展させたのが、古代ギリシャの天文学者プトレマイオス(83頃~168頃)です。
この天文学者「プトレマイオス」という人物。
あの「天動説」を完成させた人物として有名ですよね。
プトレマイオスの著書「アルマゲスト」は、古代ギリシャ天文学の集大成だそうで、以後、1500年に渡って読み続けられるベストセラーとなる。
なぜ、プトレマイオスが完成させた「天動説」が、1500年もの間、信じ続けられたのか。
それは、昔の人たちが、無知で、愚かだったから、と、言う訳ではありません。
昔の人が「天動説」を、当たり前のように信じていたのは、プトレマイオスが、この「アルマゲスト」で解説をした「天動説」が、矛盾なく、天体の運行を説明することが出来ていたから、と、言うことになります。
つまり、人々は、この「天動説」を、疑う余地が無かったということ。
さて、プトレマイオスは、「天動説」を、どのように解説したのか。
この「天動説」とは、宇宙の中心に地球があり、この地球の周りを、星々が回っているというもの。
これは、地球を中心にして遙か彼方を回っている「天球」というものを想定し、その「天球」に、星が張り付いていると考えれば説明がつく。
そして、「天球」は、一日に約361度、回転し、一年が経つと、元の位置に戻ります。
ここまでは、簡単。
しかし、当時、肉眼で、星の動きを観察していると、この「天球」の動きに従わない、不可思議な動きをする星が、いくつかあることに、天文学者は気がついていました。
それを、「惑う星」、つまり「惑星」と名付けます。
実は、この「惑星」は、水星、金星、火星、木星、土星の五つ。
つまり、太陽系の惑星たちです。
当然、当時の人たちは、そのようなことは知らない。
では、プトレマイオスは、この「惑星」の動きを、どのように説明したのか。
プトレマイオスは、この惑星の動きを、「導円」と「周転円」という、二つの円を使って説明しました。
惑星は、「天球」に張り付いている星々とは別の場所にある、この「周転円」の上にあり、この「周転円」の中心が、「導円」を回っています。
当時、全ての星は、同じ速度で、同じ方向に動いていると考えられていたのですが、五つの惑星は、独自に、この「導円」を回る「周転円」を回っていると説明することで、速度の変化や、向きの変化を、矛盾なく、説明することが出来たそうです。
この図。大きな弧が、「導円」で、この「導円」の上を「周転円」が、回っている様子です。これが、「天球」に張り付いていない、「惑星」の動きです。
この図。中心が地球で、その周囲を「惑星」が回る様子です。
地球から見れば、惑星が、複雑な動きをしているのが分かります。
この状態を元に、地球から観測することが出来る惑星の様子を、矛盾なく、説明が出来るようにまとめたのがプトレマイオスの「天動説」ということになります。
つまり、肉眼で、星を観測している限り、プトレマイオスの「天道説」に、矛盾を感じることは無かったということ。
それが、1500年にも渡って、「天動説」が信じられた理由です。
しかし、望遠鏡が発明されると、肉眼で見ることが出来ないものも観測をすることが出来るようになり、「天動説」では、説明が付かないことも発見されるようになる。
ここから「地動説」が生まれる訳ですが、その時は、宗教の問題もあり、社会に「地動説」を認めてもらうことは、なかなか、困難だった。
この漫画、「天動説」が信じられていた時代に、「地動説」を研究する人たちの物語だそうですね。
内容は、史実ではなく、フィクションのよう。
個人的には、未読ですが、面白いという評判のようです。