未来から来たカメラのセールスマン、ヨドバが売ったカメラの一つが「ミニチュア製造カメラ」です。

このカメラは、ファインダーの中央で写したものが、材質や、内部構造もそのまま、立体になって出て来るというもの。

 

 

主人公は、明確には語られませんが、恐らく、大企業の経営者で、引退をして間もない老人。

老人と言っても、まだ、見た目も若く、体力的にも元気である。

悠々自適な生活をしているのだが、これといって、趣味もなく、何もすることが無い。

毎日、ボーっとしていては駄目だと、何か、趣味でも持つか、妾でも作ったらどうだと、家に来た娘にも言われてしまう。

 

そこに、家にやって来たヨドバ。

カメラを売らないと、ご飯が食べられないと、老人に、カメラのセールスをする。

紹介したのは、「ミニチュア製造カメラ」というもの。

何としても、カメラを売らなければならないヨドバに食い下がられ、老人は、10万円で、カメラを買うことに。

 

老人は、町に出て、そのカメラで、撮影をしてみる。

すると、本当に、撮影をしたものが立体になって出て来ることに驚く。

ファインダーの中央に来たものを捕らえ、それを立体化。

木とか、人間といった、生きたものは、写らない。

 

老人は、そのカメラで製造したミニチュアで、この町全体をジオラマにしようと思いつく。

家の中の広い部屋の中で、大きなジオラマの製作を、老人は、趣味として始めることに。

土地とか、川とか、広大に広がるものは、カメラには写らないようなので、自分で製作。その土地を製作するために、知り合いの会社に依頼して、航空写真を譲ってもらう。

また、家の庭なども、出来るだけ忠実に再現したいと、普通のカメラを持ち、町の風景を撮影して回る。

 

その中で、老人は、ある家の庭を撮ろうとして、その家の部屋に、若い女性が一人、座っているのに気がついた。

老人と女性は、目が合い、老人は、写真を撮るのに夢中になりすぎたと、慌てて、逃げ出す。

 

しかし、家に帰った老人は、その若い女性のことが、気になっていた。

たまたま、写真に写っていた、その若い女性の、悲しそうな顔を見て、老人は、考える。

 

老人のジオラマ製作を、感心した様子で見ていたお手伝いさんが、ある家のミニチュアを見て、「その家、可愛そうなんですよ。旦那さんと、お子さんが、交通事故で亡くなって、奥さん一人、残されて」と、老人に言う。

 

老人は、写真に写った、悲しそうな女性の姿を見て、気になって、様子を見に行くことにする。

しかし、その家は、雨戸が閉められていて、中の様子を伺うことは出来ない。

老人は、ミニチュア製造カメラが、内部構造も、全て、立体化することを思い出し、そのカメラで家を撮影。

ミニチュアは、その瞬間の家の中の様子を、忠実に再現しているはず。

そして、老人は、ミニチュアになった家を解体し、中の様子を伺う。

人間は、写らないので、当然、若い女性の姿はない。

そして、居間のテーブルの上には、何かが乗せられている。

虫眼鏡で、それを拡大してみると、それは、睡眠薬と、書きかけの遺書だった。

老人は、女性の自殺を止めるために、家を飛び出す。

 

この「ミニチュア製造カメラ」は、今の技術でも、似たものが出来そうですよね。

カメラで撮った画像の構造物を、パソコンに取込み、AIによって、立体化し、更に、それをデータ化して、3Dプリンターに送る。

そうすれば、写真に撮った構造物のミニチュアが出来るということになりますよね。

もっとも、この漫画のような、内部構造まで立体化をしたり、構造物の材質までが同じという訳には行きませんが。

 

そして、この「ミニチュア製造カメラ」は、ドラえもんの秘密道具として、同じようなものが登場する。

それは、「ポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ」というもので、「夢の町のび太ランド」という一話の中に登場。

 

実は、この「夢の町のび太ランド」は、テレビ朝日で放送されたアニメ「ドラえもん」の第一話だったんですよね。

当時のことは、よく覚えている。

 

「ドラえもん」のアニメが始まるということで、子供の僕は、とても楽しみにしていた。

しかし、その放送時間が、日曜日の朝八時半からだということで、当時、ビデオなど、当然、無いので、せっかくの休日だというのに、朝早くから起きて、テレビの前で待機。

当然、最初の第一話なので、コミックスの第一話の、ドラえもんが未来から、のび太の部屋に来る話が放送されるのかと思っていたのですが、そうではなかった。

それを、とても、意外に感じたのを覚えている。

 

当時は、土曜日も学校で、休みの日は、日曜日だけ。

その週に一度の休みの日も、「ドラえもん」を見るために、毎週、早起きをしていました。

当時は、確か、30分の放送時間の中で、三話が、放送されていたはず。

 

ちなみに、コロコロコミックに、「ドラえもん」の放送予定も掲載されていましたが、それを見ると、関東地区では、毎週、日曜日にアニメ「ドラえもん」が放送されるのではなく、月曜日から金曜日の午後6時50分から、一話だけが放送されていたはず。

それを見て、毎日、アニメ「ドラえもん」を見ることが出来るのは、とても羨ましいと感じたのを覚えている。

何で、このような編成になっていたのでしょうね。