雑誌「ニュートン」の今月号。
特集が「もつれる量子」ということで、個人的に、とても関心のあるテーマで、早速、購入。
パラパラと見ていると、特集記事の前に、「ミューオン」に関する記事がありました。
この「ミューオン」もまた、興味のある話の一つ。
さて、そもそも、この「ミューオン」とは、何か。
ネットで調べて見ると、色々とややこしく、難しいのですが、要するに、素粒子の一つ。
同じ素粒子である「電子」に似た性質を持つのですが、質量は、電子の約207倍。
とても不安定で、平均寿命は、約2.2マイクロ秒。
高エネルギーの衝突や、宇宙線によって、生成されるそうです。
この「ミューオン」は、絶えず、地球に降り注ぎ、厚い岩盤も通り抜ける強い「透視力」がある。
この「ミューオン」が、物質の中を通り抜ける時、密度の高い物質にぶつかると、散乱し、進路が、少し曲がる性質があるため、その「ミューオン」の数の減り方を調べることで、物質の中が、どうなっているのかを調べることが出来る。
近年、この「ミューオン」を使った調査で、クフ王のピラミッドの中に、未知の空間が見つかったと話題になりましたよね。
かつては、強引に、爆破をしたり、穴を掘ったりして、ピラミッドの調査をしていたようですが、今では、そのようなことをすることは出来ない。
そのため、こういった方法が、考古学でも使われることになる。
この「ミューオン」による調査は、様々な場所での応用が考えられているそうですね。
例えば、老朽化をしたインフラの検査。建造物や、高速道路の内部の検査などを、透視することによって、破壊することなく、調べることが出来る。
さて、この「ミューオン」という素粒子。
自然界では、飛来数は、毎秒、手のひらに1個程度ということ。
そのため、可視化に時間がかかり、検出器も巨大なものになってしまうそうです。
そして、今、この「ミューオン」を人工的に生成する研究が進んでいるそうです。
ミューオンは、加速器でも生成することが出来ますが、向きが不揃いで、扱いにくいそう。
そこで、そのバラバラのミューオンを、一旦、ほぼ停止させ、均一な状態にしてから電気の力で一気に加速させることを考案。茨城県東海村にある「J-PARC」(大強度陽子加速器施設)で、実証されたということ。
100万分の2秒の間に、毎秒6キロから、毎秒1万2千キロまで、ミューオンを加速する高周波加速器が開発されたということ。
これは、世界初のミューオン加速器の第一歩だそうです。
この「ミューオン」には、他にも、様々な応用が考えられているそうですね。
例えば、「ミューオン顕微鏡」。
この「ミューオン顕微鏡」が実用化されれば「電子顕微鏡」を遙かに上回る、様々なものを見ることが出来るそう。
そして、この「ミューオン顕微鏡」による観測から、新たな技術も生まれるという話。
更に、ミューオンを時計回りと、反時計回りに加速してぶつけることで、従来よりも、小型、かつ、高エネルギーで衝突させることが出来るため、アメリカが関心を示しているということ。
この技術は、物理学に革新を起す可能性もあるそうですが、この技術には、まだ課題も多いそう。
また、現在、ミューオンの磁気の強さについて、アメリカの研究所の実験値が、理論値と大きくずれている可能性が明らかとなり、未知の素粒子や、未知の力の存在が示唆される事態となっているそう。
これは、素粒子物理学の「標準理論」に関わる問題でもあるそうです。
「ミューオン」一つで、これだけの、面白さと可能性がある。
物理学って、面白いですよね。
さて、「ピラミッド」の話が出たついでに、少し、余談。
エジプト考古学者の河江先生のYouTubeチャンネル。
とても、面白くて、時々、見ているのですが、最近、たまたま見た動画の中で、興味深い話をしていました。
近年、日本のTV番組や、雑誌の記事などで「ピラミッドは、王の墓では無かったのではないか」という話を、時折、見かけます。
この話について、河江先生が、質問に答える形で、話をしているものがありました。
この「ピラミッドは、王の墓では無かった」という説は、河江先生によれば、日本でしか見られない話だということ。
世界の研究者の中で、そういう説を唱えている人は、一人も居ないそうです。
ピラミッドは、間違いなく、王の墓だったということ。
それが、世界の共通認識だそうです。
この「ピラミッドが、王の墓ではない」という話は、僕も、何度か、TVや、本などで見たことがあります。
しかし、日本で話されているそういう話は、まさに「トンデモ説」ということになるようですね。
詳しく知りたい人が居れば、河江先生のYouTubeチャンネルを見てください。
古代エジプトに関する、様々なことが話されていて、とても、面白く、興味深いです。