雑誌「Jships」の8月号が発売されていたので、早速、購入。

 

 

特集は「潜水艦隊2024」ということ。

 

潜水艦は、その艦が、どれほど「電力」を使うことが出来るのかということで、性能が決まって来る。

そのため、電力を半永久的に生み出すことが出来る「原子炉」を搭載した「原子力潜水艦」が、潜水艦としては、最も、優れた性能を発揮することが出来る。

 

しかし、日本では、「専守防衛」ということで、「原子力潜水艦」は、持つことが出来ないということになっている。

もっとも、技術的にも、予算的にも、日本が原子力潜水艦を持ち、運用するということは、なかなか、難しいということになるのではないかと想像します。

 

原子炉を持たない「通常動力」の潜水艦は、基本的には、浮上、または、シュノーケルを海面に出して、空気を取り入れながら、ディーゼルエンジンを回して、「鉛蓄電池」に充電をすることになる。

そして、潜水中は、ディーゼルエンジンは使えないので、鉛蓄電池にためた電力で、航行することになる。

 

しかし、潜水艦が、浮上、そして、シュノーケルを海面に出すということは、戦時では、とても危険なことで、また、平時であっても、潜水艦の最大の利点である「存在が分からない」という特性も、そのようなことをしていては、意味が無くなってしまう。

そこで、考え出されたのが「AIPスターリング機関」というもの。

「AIP」とは「非大気依存推進」の頭文字を取ったもので、文字通り、大気に依存することなく、鉛蓄電池に充電をするためのシステムのこと。

「スターリング機関」は、「AIP」の種類の一つ。

 

この「AIPスターリング機関」は、スウェーデンが開発をしたもので、「液体酸素」を使用するということのようです。

しかし、この「AIPスターリング機関」は、あくまでも補助的なもので、潜水時間を長くするという利点はありますが、「液体酸素」を使い切ってしまえば、補給のために、基地に戻らなければならない。

 

日本の潜水艦では、「そうりゅう」型から、この「AIPスターリング機関」が搭載されるようになりましたが、11番艦の「おうりゅう」、12番艦の「とうりゅう」では、この「AIPスターリング機関」を廃止し、「リチウムイオン電池」を搭載することになった。

そして、最新の潜水艦「たいげい」型でも「リチウムイオン電池」が搭載をされている。

 

なぜ、「リチウムイオン電池」なのか。

これまで、疑問に思っていましたが、今月号の記事の中に、詳しく、書かれていました。

 

この「リチウムイオン電池」は、「エネルギー密度」が大きいのが特徴だそうですね。

それは、鉛蓄電池の2倍を超えるそうで、これにより、「AIPスターリング機関+鉛蓄電池」搭載の潜水艦よりも、「リチウムイオン電池」搭載の潜水艦の方が、長く、水中に留まることが出来るそうです。

 

そして、「リチウムイオン電池」は、その「充放電特性」によって、鉛蓄電池よりも優れているということ。

 

鉛蓄電池は、正極と負極の間で、電解液の化学反応によって電気が作られるということだそうで、高率放電時には、電解液の均一化に時間差が生じ、より急激に、電気電圧が低下をするということ。

このため、常に、使用可能な電池容量が、作戦を制約することになるそうです。

 

しかし、「リチウムイオン電池」は。有機電解液の中の正極、負極の間を、リチウムイオンが移動することによって電気を発生させている。このため、化学反応が無く、ガスの発生や電解液の変化も無く、密閉構造が可能になり、高率放電時でも、電圧の低下が低く、緩やかだそう。

 

また、鉛蓄電池は、電池温度に比例した電圧以下で充電をしないと、電解液の電気分解が起こり、水素ガスを発生するそう。

このため、高出力のディーゼル機関で、短期間で充電しようというのは、なかなか困難だそう。

しかし、「リチウムイオン電池」は、急速充電が可能だそうです。

これは、潜水艦にとって、とても便利。

 

また、鉛蓄電池は、電池の寿命や、安全性を確保するため、頻繁な管理、メンテナンスが必要だそうです。

しかし、「リチウムイオン電池」は、基本的に、メンテナンスフリー、管理は、必要ないそうです。

 

このように、潜水艦にとって、「リチウムイオン電池」は、利点しかない。

 

この「リチウムイオン電池」は、ノートパソコンや、携帯電話にも使われていますよね。

ハイブリット車や、電気自動車も「リチウムイオン電池」が使われているよう。

今では、生活に欠かせないものですよね。

 

ネットで調べてみると、この「リチウムイオン電池」を、世界で最初に商品化をしたのは、日本の「ソニー」の系列の会社だそう。

かつては、この「リチウムイオン電池」の世界シャアのほどんどを日本企業が占めていた時代もあったそう。

 

しかし、この「リチウム」は、確か「レアメタル」なんですよね。

日本では、あまり採れないのでしょうから、やはり、資源の無い国は、厳しいですね。