士郎正宗の漫画「アップルシード」。

随分と久しぶりに、本棚の奥から引き出して、読んでみました。

 

 

 

この「アップルシード」は、「攻殻機動隊」と並ぶ、士郎正宗の代表作。

そして、この「アップルシード」は、士郎正宗のメジャーデビュー作でもある。

 

士郎正宗さんの作品は、その物語が展開される「世界」の、非常に詳細な設定が特徴で、その世界観が、素晴らしい。

そして、登場するキャラクターや、そのデザイン、また、メカが魅力的で、緻密に描き込まれた絵もまた、特徴です。

恐らく、士郎正宗さんの漫画のファンは、こういう部分が好きなのだろうと想像します。

 

しかし、この詳細に創り上げられた世界観と、緻密な絵は、とても、読みづらく、内容が理解しづらい。

僕自身、「攻殻機動隊」そして、この「アップルシード」を読んでも、なかなか、内容を、上手く、理解することが出来ませんでした。

それは、今回、久しぶりに、この「アップルシード」を読み返してみても、同じでした。

 

では、面白くないのかと言えば、そうではない。

何だか、他の漫画にはない、不思議な魅力があるのは、確かです。

だから、「攻殻機動隊」も「アップルシード」も、手放すことなく、ずっと、手元に置いてある。

 

さて、ネットの情報を借りて、自分なりに、内容を、簡単に、紹介してみます。

もしかすると「アップルシード」に詳しい人が見れば「それは、違うよ」ということになるかも知れませんが。

 

地球全土を巻き込む大きな戦争があり、幸いにも、核兵器が使用されることは無かった。

アメリカ、ロサンゼルスで「SWAT」として仕事をしていた「デュナン・ナッツ」という女性と、その相棒だった「ブリアレオス・ヘカトンケイレス」という男性が、この物語の主人公。

このブリアレオスは、ある事故をきっかけに、全身を、ほぼ、サイボーグ化している。

 

デュナンとブリアレオスは、戦争を生き延び、廃墟となった町で、二人で生活をしていた。

ある時、そこに「ヒトミ」という女性が現れる。

このヒトミの目的は、デュナンとブリアレオスを、「オリュンポス」と呼ばれる、人工的に建設された理想都市に連れて行くこと。

デュナンとブリアレオスは、ヒトミの要請を受け入れ、オリュンポスに移住をすることになる。

 

この「オリュンポス」を始め、戦争後、世界を、影響下に置いているのが「総合管理局」という組織。

しかし、かつての大国を始め、地球上の地域勢力も無くなった訳ではなく、「総合管理局」の内部対立や、かつての大国、地域勢力などの謀略や、政治的駆け引きなどが、この「アップルシード」の世界観に大きく関わって来るようですが、それ自体が、物語の中に、詳細に描かれる訳ではない。

 

この「オリュンポス」の中で生活をしている人たちは、多くが、遺伝子操作をされて生まれた「バイオロイド」と呼ばれる人たち。

他に、「クローン」も、存在をしている。

ヒトミもまた、バイオロイドの一人で、年齢は50歳を超えているが、外見は、女の子の姿を保っている。

 

常人を超えた戦闘能力を持つ、デュナンとブリアレオスは、オリュンポスで、特殊部隊「ESWAT」に所属をすることになり、その特殊部隊としての仕事をこなしながら、様々な、事件、陰謀に関わって行くという物語。

 

この「アップルシード」の第一巻が発売されたのは、1985年ということ。

もう、40年近くも前のことになるんですね。

これだけ、詳細に、未来社会を描いたというのは、凄いことだと思います。

ただ、やはり、分かりづらいというのが、難点。

 

ちなみに、その後、描かれることになる「攻殻機動隊」は、この「アップルシード」の100年前という設定だそうですね。

もっとも、物語に、何かつながりがある訳ではない。

 

そして、この「アップルシード」は、未完。

今後、新しく、続きを描くこともないという話。

やはり、時代の流れで、この「アップルシード」の世界観自体が、今では、古いものということになるのかも知れない。

そういった、かつて、想像された未来社会のことを「レトロ・フューチャー」というそうです。

この「アップルシード」は、どうなのでしょう。