映画「トップガン」で有名な「F14トムキャット」戦闘機。
翼が、開いたり、閉じたり。
こういった翼の形状を「可変翼」と言います。
なぜ、翼を、閉じたり、開いたりさせるのか。
飛行機は、空を飛ぶために、翼で「揚力」を得ている訳で、離着陸時や、低速で飛行をする時には、翼は、広く、大きい方が、この「揚力」を得るのに有利。
つまり、短距離で、離着陸をすることが出来、低速で、安定して飛行することが出来る。
しかし、高速で飛行をする時には、大きな翼は、かえって、抵抗が増え、邪魔になります。
より、高速で飛行をしようと思えば、翼は、空気抵抗を抑えるため、出来るだけ、小さい方が良い。
この、二つの要素を、一つの機体の中に取り入れたのが「可変翼」です。
離着陸時や、低速飛行の時には、翼を広げ、高速で飛行をする時には、翼を畳む。
そうすることで、飛行機の性能を、最大限に、引きだそうというもの。
この「可変翼」の研究は、第二次世界大戦中に、ドイツで始められたのが最初だそう。
そして、最初に飛行したのは、1951年、アメリカの実験機「X5」だそうです。
ベル「X5」。
そして、最初の実用機となったのは、1967年に、運用が始まった、アメリカの「F111アードヴァーク」です。
このF111は、一つの機種で、様々な役目を果たすために開発をされた機体ですが、戦闘機としての性能は低く、その点では、失敗作と言えるそうです。
当初は、空母で運用する艦載機としても使う予定だったようですが、採用されなかった。
しかし、攻撃機としては、かなり、優秀な機体だったということ。
そして、1986年に運用が始まった爆撃機「B1ランサー」。
そして、1979年、イギリス、西ドイツ、イタリアが共同開発した攻撃機「トーネード」。
そして、同時期に、旧ソ連でも、「ミグ23」戦闘機、「Tu160」爆撃機といった「可変翼」の飛行機が開発、運用されています。
しかし、その後、この「可変翼」の飛行機は、無くなってしまった。
理由としては、やはり、「可変翼」は、構造が複雑になるということ。
そのために、開発、生産、維持に、大きな費用と手間がかかってしまう。
そして、飛行機として大きなマイナスポイントである「重量が増える」ということも理由の一つのよう。
一つは、エンジンの性能の向上により、可変翼でなくても、高速を出すことが可能になったということ。
また、マッハ2を超えるような速度は、実用的ではないという考えに変わったこともあるようです。
そして、他にも、いくつも理由があるようですが、個人的には、この「可変翼」は、デザインとして格好良いと思っているので、無くなってしまったのは残念なところでもある。
やはり、飛行機は、「デザイン」では作れないということです。
さて、この「可変翼」で、印象的な機体が、もう一つ。
それは、アニメ「超時空要塞マクロス」に登場する「VF1バルキリー」です。
可変翼を持つ「VF1バルキリー」です。
この飛行機の形態は「ファイター」と呼ばれます。
そして、この飛行機に、手足を付けたような形態。
この形態を「ガウォーク」と呼びます。
そして、このロボットの形態を「バトロイド」と呼びます。
この「VF1バルキリー」の、三つの形態への変形の様子が、実に、見事。
よく考えたものだと思います。
さて、今度は、逆に、この「マクロス」に登場しそうな、実在の飛行機が、一つ。
それが、ロシアの「Su47ベールクト」です。
こちらは、「可変翼」ではないですが「前進翼」という独特の形状。
技術実証機ということのようで、生産されたのは、一機だけ。
なかなか、格好良い。
デザインで選ぶなら、トップクラスです。