梶尾真治さんの小説「黄泉がえり」。

恐らく、草彅剛さん、竹内結子さんが主演をした映画の方が、有名なのではないでしょうか。

 

 

 

映画「黄泉がえり」は、大好きな映画の一つ。

映画と小説では、雰囲気が、かなり、異なる印象でした。

小説の方を読んだのは、随分と、昔のことで、あまり、詳しい内容は覚えていない。

ネットで内容を確認すると、小説の方は、死者が蘇る現象が、大きな地震と関わりを持っていたようですね。

そのため、あの熊本地震が起きた時には、「予言だったのではないか」と、話題になったということ。

個人的には、映画と比べると、SFチックな印象があった記憶があります。

 

さて、映画「黄泉がえり」について。

 

草彅さんが演じる川田平太が主人公。

平太は、厚労省の職員で、熊本で「死者が蘇る」という不思議な現象が起こり、話題になっているので、今、住んでいる東京から、生まれ故郷である熊本に、調査に派遣される。

 

熊本に戻った平太が向かったのは、竹内さん演じる橘葵の住む部屋。

葵は、その町で、役場の職員をしていた。

葵と平太は、幼なじみで、葵は、平太の親友の俊介の婚約者でもあった。

しかし、俊介は、すでに、亡くなっている。

 

アパートの部屋の前で待つ平太のところに、葵が帰って来た。

平太は、葵の助けを借りて、一緒に、この町で起こる、不思議な「黄泉がえり」現象についての調査を始めることに。

 

町の中では、次々と、死者が蘇り、生前、親しくしていた人の前に戻って来ていた。

次第に、この「黄泉がえり」現象について、詳細が、分かって来る。

 

死者が蘇るのは、この町の中だけ。

蘇った死者が、町を出ようとすると、その境界で、消えてしまい、また、生前、親しくしていた人の前に、姿を現す。

そして、死者が蘇る条件は、今、生きている人が、その人に「蘇って欲しい」という強い、思いがあること。

そして、この町の中に、遺体の一部があること。

例えば、その人の遺骨とか。

 

調査を続ける中で、葵は、なぜ、自分の婚約者だった俊介が、蘇って来ないのか、疑問を持つ。

もしかして、他の女のところに蘇って来ているのではないかと、心当たりの女性のところを訪ねてみたりもしてみるが、俊介は、蘇っていない。

 

実は、俊介は、亡くなった時に、遺言により、遺灰は、海に散骨をされていた。

つまり、俊介の遺骨は、残っていない。

俊介が蘇らないことに失望する葵だったが、平太は、そんな葵の様子を、複雑な気持ちで見ていた。

実は、平太もまた、葵に、昔から、恋心を抱いていたのだった。

 

そして、平太は、ある事を思い出す。

それは、俊介が、「アイバンク」に登録をしていたこと。

つまり、俊介の「角膜」が、この世に残っている。

平太は、その、俊介の角膜が、福岡の病院に保管されていることを突き止め、車で、その、俊介の角膜を取りに向かう。

 

無事、角膜を手にした平太は、車で、町に戻るが、柴咲コウさん演じる「RUI」という歌手のコンサートに集まった人の大渋滞に巻き込まれ、葵の居る場所までたどり着けない。

しかし、俊介の「角膜」が、この町にあり、葵が、俊介に会いたいと思っている以上、俊介が、蘇るはずなのだが、なぜか、俊介は、蘇らない。

「何で、蘇らないんだ!」

と、平太は、憤るが、そこで、平太は、ある事に、気がつく。

 

実は、葵自身が、「黄泉がえり」現象で、蘇ったものだった。

つまり、アパートの部屋の前で再会をした時、すでに、葵は、その直前に、交通事故で亡くなっていたのだった。

その交通事故は、山の中で起こったもので、誰にも、気づかれることは無かった。

だから、平太を始め、周囲の誰も、葵が、「黄泉がえり」だったことに気がついていなかったのだった。

 

そして、「黄泉がえり」現象のタイムリミットが近づく。

そのタイムリミットが過ぎれば、もはや「黄泉がえり」である葵に会うことは出来ない。

そこで、平太は、葵の居る場所が、境界の近くであることに気がつき、葵に、その境界に向かって走るように指示。

そして、境界を越えた葵は、姿を消し、平太の前に、姿を現す。

 

平太は、葵に、自分の思いを伝え、抱きしめようとした時に、タイムリミットで、葵は、目の前から姿を消した。

 

とても、切ない物語。

 

橘葵を演じた竹内結子さん。

何で、亡くなってしまったのか。

本当に、悲しい。