雑誌「ニュートン」の今月号を読んでいます。

面白い話が、色々と。

まずは「熱電変換」について。

 

 

人間は、毎日毎日、莫大なエネルギーを消費していますよね。

日本人、一人が、一年間に消費するエネルギーは、石油に換算すると3.2トン分にもなるそうです。

まさに、膨大な量。

 

さて、この「エネルギー」は「仕事」をするために使われることになる。

この「仕事」とは、基本的に「物を動かす」こと。

そして、「エネルギー」を使って「仕事」をすると、その「エネルギー」が、「仕事」をされた物質に移ることになる訳ですが、その時に、「利用出来ないエネルギー」が発生し、無駄に捨てられることが分かっている。

 

人類は、この「利用出来ないエネルギー」を、如何に、減らすかということに努力をすることになる。

その究極のものが「永久機関」です。

 

この「永久機関」には、二つの種類があります。

それは「第一永久機関」と「第二永久機関」です。

 

まず、「第一永久機関」について。

 

この「第一永久機関」とは「外部から力を加えることなく、永久に動き続ける」というもの。

様々な「第一永久機関」が考えられましたが、18世紀の終わりから、19世紀の半ばにかけて、この「第一永久機関」を作り出すことが不可能だということが受け入れられて行ったということ。

この頃、蒸気機関などの研究から「熱力学」が生まれます。

この「熱力学」の中から「物理現象では、エネルギーの総和は、常に、一定である」という「エネルギー保存則」が導かれることになる。

そして、「第一永久機関」は、この「エネルギー保存則」に反している。

つまり、「第一永久機関」は、絶対に作り出すことは出来ないということ。

 

さて、「蒸気機関」の発明により、産業革命が起こる訳ですが、この「蒸気機関」は「熱エネルギー」を「力学的な仕事」に変換をするもの。

そして、この「熱エネルギー」を、如何に、効率的に「力学的な仕事」に換えられるのかというものを「熱効率」と呼びます。

この「熱効率」を100パーセントにしようというのが「第二永久機関」です。

ちなみに、現実の蒸気機関の熱効率は10パーセント未満。

後の時代に生まれた内燃機関では、20パーセントから30パーセントだったということ。

 

この「熱機関」の効率は、どのように決まるのか。

 

単純化をすれば、「低温の熱源」と「高温の熱源」があり、「高温の熱源」から熱を貰って、その一部を「仕事」に変換し、残りを「低温の熱源」に捨てるということ。

これを公式として表したのが「ウィリアム・トムソン(ケルビン卿)」という人物です。

そして、この公式によれば、熱機関の効率が100パーセントになるのは、低温熱源が絶対零度になるか、高温熱源が無限大になるかのどちらかしかない。

これは、現実的に不可能なこと。

ここから「熱の全てを仕事に換えることは出来ない」ということが導かれる。

つまり、「第二永久機関」を作り出すことは不可能です。

これを「熱力学第二法則」と呼ぶ。

 

ちなみに、自動車のガソリンエンジンの熱効率は、約40パーセント。

最新の火力発電のシステムでは、約60パーセントだそうです。

 

以上のことから、熱機関では、必ず、「廃熱」という、使用することが出来ないエネルギーが発生をすることになる。

そして、今度は、この「廃熱」を、上手く、利用出来ないかという考えが生まれます。

 

19世紀に「熱電変換」という現象が、発見されていました。

 

この「熱電変換」とは、「異なる金属に温度差を与えると、電位差が生じる」というもの。

具体的に言えば、異なる金属の導線、2本をつないで閉じた輪を作り、一方の接点を温め、もう一方の接点を冷やすと、導線に電流が流れるというもの。(ゼーベック効果)

その後、逆に、異なる金属の導線、2本をつないだものに電流を流すと、一方の接点が暖かく、もう一方の接点が冷たくなることが発見されました。(ペルティエ効果)

ちなみに、この「ペルティエ効果」は、USBで動く小型の冷却デバイスや、CPUクーラーに使われているそう。

更に、一種類の金属導線の中でも、部分的に温度差を与えると、電流を流す場所ごとに放熱、吸熱の現象が起こることが発見される。(トムソン効果)

 

この三つの効果は、「熱エネルギー」と「電気エネルギー」が、相互に変換されるこっとを表している。

これを「熱電変換」と言うそう。

 

そして、この「熱電変換」による発電を「熱電発電」と言うそうですが、「ゼーベック効果」による発電は、かなり小さく、実用としては、他の化学反応を使った「電池」や「太陽電池」が主流になっているそう。

しかし、一部の宇宙探査機の電源として、この「ゼーベック効果」による「原子力電池」が使われているそうです。

 

さて、この「熱電変換」を、日常生活における電源として実用化できないのか。

今、その研究が進められているようです。

今後、社会の、あらゆるものに、センサーやコンピューターが搭載され、それらが、インターネットに接続される、いわゆる「IoT社会」が構想されている。

当然、膨大な量の電気エネルギーが必要になる訳で、今の電力網や電池でまかなうのは不可能で、メンテナンスにも、膨大な労力がかかる。

そこで、社会環境の中に存在する「人の体温」や「物の振動」などの、少量のエネルギーを利用できないかという考えがうまれ、「小さな熱源」から「小さな電力」を生み出すことができる「熱電発電」が注目をされているそうです。

 

自然界には、なかなか、面白い現象がありますね。