先週、映画「オッペンハイマー」を見に行こうと時間を調べていたところ、上映時間が3時間もあるということを、そこで初めて知り、3時間も映画館で見るのは、ちょっと長すぎると思い、断念。

ネット配信が始まるのを待つことにしました。

 

さて、クリストファー・ノーラン監督の映画の中で「インターステラー」が大好きだという話を、以前、書きましたが、この「インターステラー」は、相対性理論による「時間の遅れ」が、大きなテーマになっていた。

そして、この「時間の遅れ」の他にも、もう一つ、「情報は、光の速さを超えて伝われない」という話もありましたよね。

 

この「情報は、光の速さを超えて伝わらない」ということをテーマにした藤子F不二雄さんのSF短編が「老雄大いに語る」です。

 

 

この本に、収録されているようですね。

 

主人公は、中年の宇宙飛行士。

彼は、周囲の反対を押し切って、冥王星に向かう宇宙船に、一人、乗り込むことになる。

彼は、なぜ、この人類初の、太陽系の端、冥王星への危険な旅に、周囲の反対を押し切ってまで志願をしたのか。

 

以下、ネタバレになります。

 

この宇宙飛行士は、大変な恐妻家だった。

妻は、この宇宙飛行士に対して高圧的で、反論を許さない。

それどころか、妻の口数の多さに押されて、宇宙飛行士は、妻を相手に、まともに話すことも出来ない。

 

なぜ、これが、冥王星への旅と繋がるのか。

 

それは、「情報は、光の速さを超えて伝わらない」ということ。

 

冥王星と、地球との通信は、5時間20分の時間がかかるそう。

つまり、冥王星の宇宙飛行士と、地球の妻とが交信をするには、「5時間20分」の時間がかかるということ。

 

冥王星に着陸をした宇宙船には、その人類の快挙を祝い、妻との交信のため、妻の画像が、地球から送られて来る。

宇宙飛行士は、その妻の画像を見て、「黙っている妻を相手に話すことが夢だった。言いたいことが、たくさんある。私は……」

と、宇宙飛行士は、画像に話しかける。

 

最初、この「老雄大いに語る」を読んだ時、一体、何を描いているのか、そして、この作品で、何を言いたいのかということが、よく分からなかった。

この作品の、どこが面白いのか、よく分からなかった。

しかし、妻に虐げられている夫の状況を、ある程度、理解出来る年齢になってから、何となく、この作品の面白さが分かったところ。

 

もし、仮に、はるかな未来、人類が、宇宙に広く、活動域を広げた場合、問題になるのが、この通信手段です。

「光の速さを超えて、情報が伝わらない」

と、言うことは、「一光年」先のロケットに、情報を伝えようと思ったら、「一年」もの時間がかかってしまう。

「宇宙戦艦ヤマト」に登場する「イスカンダル」までは、14万8千光年もの距離があり、地球とイスカンダルの間で、情報のやり取りをするには「148000年」もかかることになる。

これでは、駄目ですよね。

 

さて、「量子論」の中には「量子テレポート」と呼ばれる不思議な現象があるそうで、これが、通信に使えないだろうかという話もあるよう。

もっとも、人類が、宇宙に広く活動域を広げるというのは、もし、可能になったとしても、遙かに先の未来の話。

個人的には、そういうことは不可能だろうと思っているところですが。