藤子F不二雄さんのSF短編の中に「征地球論」という作品があります。

この「征地球論」は、地球征服を狙う、ある異星人たちが、何時、地球に侵攻を開始するべきかという議論を会議で行うという物語。

 

 

 

 

さて、この会議の中で、出席をしている異星人たちの意見は、二つに分かれます。

一方の意見は、「今、すぐに、地球侵攻を開始するべきだ」というもの。

もう一方の意見は、「地球侵攻の時期は、もう少し、先に延ばすべきだ」というもの。

 

前者の「今、すぐに、侵攻を開始するべきだ」という意見の異星人たちの根拠は、「地球人類は、次第に、文明を進化させ、発達をしている。今、侵攻を開始しなければ、地球征服は、ますます、困難になるだろう」ということ。

 

後者の「地球侵攻の時期は、もう少し、先に延ばすべきだ」という意見の異星人たちの根拠は「地球人類は、次第に、文明を後退させている。もっと時間が経てば、ますます、人類の文明は衰退し、征服をしやすくなるだろう」というもの。

 

この二つの異星人たちの意見の衝突、議論が、なかなか、面白い。

 

確かに、人類の歴史を見ると、人類は、次第に、文明を進化させ、社会は良くなって行っているように見えますよね。

しかし、今の地球の現状を見ていると、必ずしも、そうとは言えないのではないかとも思ってしまう。

例えば、「地球温暖化」や、「核」をちらつかせて敵を威嚇するという戦争の不安。

また、先進国に見られる、著しい「少子化」もまた、人類が衰退に向かっていることを示しているのかも知れない。

 

この「征地球論」が描かれたのは、もう、何十年も前の話。

その時に、すでに、このような作品を描いているのが、凄いところ。

 

さて、この作品の中で、後者の意見の主張の中に、「最近の若い者は」という言葉を使って、この言葉を「人類が衰退に向かっている証拠だ」と言うものがありました。

この「最近の若い者は」という言葉は、大人が、若い人を批判するときの定番ですよね。

僕自身、最近の若者の話を、テレビやネットなどで見ていると、「何と、考えが甘く、わがまま勝手なのか」と思ってしまう。

つまり、「最近の若い者は」ということ。

 

この「最近の若い者は」という言葉は、太古の昔から、存在をするという話。

つまり、人類は、衰退に向かっているということ。

なかなか、面白い考えですよね。

 

ちなみに、「大空のサムライ」で有名な、零戦のエースパイロットの坂井三郎さんは、戦後、あるテレビ番組で、「最近の若者を見て、どう思いますか」と聞かれたところ「私たちも、若い頃は、『最近の若い者は駄目だ』と言われたよ」と答えたとか。

いつの時代も、同じですね。