最近、急速に、「将棋」への興味が無くなってしまった。

昔は、プロ棋士の指す将棋が好きで、対局や棋譜など、熱中して見ていたのですが、すっかりと、見なくなってしまった。

 

理由としては、まず、「藤井聡太さんが、強すぎる」ということ。

拮抗する実力を持つ「ライバル」が居ないので、タイトル戦を見ていても、「どちらが勝って、タイトルを取るのか」という緊張感が無いので、見ていても、つまらない。

 

二つ目の理由は「似たような将棋が増えた」ということ。

特に、序盤から、中盤手前くらいまでは、同じような展開の将棋が増えた気がする。

これは、ほぼ、全ての棋士が「AI」を使って、研究をしているからでしょう。

コンピューターが、人間のプロ棋士よりも、圧倒的に強くなり、無限の手が広がり、人間の思考では研究が難しかった序盤から中盤にかけての手も、「AI」が、的確に、答えを出してくれる。

どうも、事前の「研究成果」の発表を見ているだけのような気がして、つまらない。

 

三つ目は「振り飛車の将棋が減った」ということ。

個人的に、大好きな「振り飛車」戦法。

しかし、今では「AI」が、「振り飛車の将棋は、不利だ」と判断をしているので、プロ棋士でも、この「振り飛車」を指す人が、減ってしまった。

今、プロ棋士の中で、この「振り飛車」を指す人は、ごく限られた人だけ。

これでは、見ていても、つまらない。

 

僕が、将棋を、熱中して見るようになったきっかけは、やはり「羽生善治」という「天才」が登場したこと。

そして、この羽生さんと同世代のプロ棋士の人たちは、軒並み、強かった。

彼らは「羽生世代」と呼ばれて、羽生さんを中心に、熾烈なタイトル争いを続けた。

まさに、「天才・羽生善治」と、互角の勝負をすることが出来た「羽生世代」の人たちのタイトル戦には、どちらが勝つのか分からない「緊張感」が、常に、あった。

 

しかも、この「羽生世代」の特異な点は、彼らが、約20年にも渡って、将棋界のトップレベルに居たこと。

これは、将棋の歴史の中でも、希有なことだそうですね。

これほど長く「羽生世代」が、将棋界に君臨出来たのは、なぜなのか。

そして、この「羽生世代」の当事者たちが、何を考え、そして、彼らに対峙した他のプロ棋士たちが、「羽生世代」を、どう思っていたのか。

それを、インタビューして、まとめたのが、この本です。

 

 

やはり、「羽生世代」の人たちにとっても、「羽生善治」という人は、別格だったようですね。

自分たちと、羽生さんは、レベルが違って、ひとまとめには出来ないという意識を持っていたよう。

しかし、「羽生世代」の人たちは、羽生さんに、果敢に立ち向かい、時には、羽生さんから、タイトルを奪取した訳で、当時の興奮と緊張感は、よく覚えている。

 

個人的に、特に、強く、印象に残っているのは、羽生さんが、当時、「七冠制覇」が成るかどうかという王将戦。

対戦相手は、谷川浩司王将。

激戦の末、谷川王将が、羽生さんの「七冠制覇」を阻止した。

これで、羽生さんの「七冠制覇」も無理かと思われたのですが、羽生さんが、他の六冠を、全て防衛して、再び、谷川王将に挑戦。

翌年、ついに「七冠制覇」が実現したんですよね。

 

そして、もう一つは、藤井猛竜王が、挑戦者の羽生さんを退けて、竜王のタイトルを三連覇したタイトル戦。

この藤井猛さんは「藤井システム」という画期的な戦法を生み出し、大活躍をしていた。

この「藤井システム」は、当時、将棋界を席巻し、大ブームになったんですよね。

この「藤井システム」に、羽生さんが、どのような戦いを挑むのか。

当時、緊張感を持ちながら、リアルタイムで、衛星放送で、鑑賞していました。

まさに、激闘といった将棋だった。

 

もはや、この「藤井システム」のような、独創的な戦法は、生まれることはないでしょう。

「AI」の登場は、個人的には、あまり、良いことではなかったと思っている。